表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/14

周回

皆さんどうも、ガクーンです。

では、お楽しみください。

『Sランク報酬……』


 これは当然だな。



『報酬一覧』


・STR+4、MND+4、LUK+6


・スキル[馬鹿力]




「ステータス上昇はいいとして……馬鹿力?」


 このダンジョンでは固定報酬でスキルは無かったはず。という事は、隠しクリア条件のクリア初回ボーナスのスキル抽選に当たったってことか。



 ブレイブダンジョンクエストでスキルを得るには、ダンジョンの初回クリアボーナスで手に入る固定報酬でというのが一般常識であった。しかし、他にも方法が無いわけではなく。



・ダンジョン隠しクリア条件のクリア初回ボーナスの内部抽選でスキルを当てる。


・レベルアップ時にスキルを手に入れる。


・スキルブックと呼ばれる、本を読むだけでスキルがゲットできる本を手に入れる。


 等のスキル取得方法がある。


 それで今回のスキル獲得は一つ目の内部抽選でもらったものだな。


 内部抽選は非常に低い確率でスキルが当たり、この確立を上げるにはステータスのLUKを上げる必要があるのだが、LUKが少し上がったぐらいではどうにもならないから今は無視でいいだろう。



 蓮はスキル[馬鹿力]を選択し、効果を読み始める。



 スキル[馬鹿力]――数秒の間、力が増大。



「へー。初めて見るスキルだけど中々に使えそうだな」


 ブレイブダンジョンクエストには万のスキルが存在すると言われている。いくら蓮が廃人の如くやり込んでいたとしても、見たことも無いスキルがあって当然である。



「お次は……ステータスオープン」


 報酬一覧のウィンドウを消した蓮は、直ぐにステータスウィンドウを表示する。


 どれどれ……一体レベルはどれだけ上がったのか。

 



 名  :冥利蓮  

 性別 :男

 LV :1→6


 HP :10→38


 STR:5→10[+14]

 DEF:5→11[+8]

 INT:5→9[+4]

 MND:5→10[+14]

 DEX:5→8[+3]

 AGI:5→14[+10]

 LUK:5→10[+10]


 スキル:疾走、馬鹿力



「一体倒すだけでレベルが5も……」


 蓮はレベルの上り幅を見て、だらしなく顔を緩ませる。


 ステータスは一般人らしい上り方だが、AGI(素早さ)が他と比べて成長してる。やはり、ある項目のステータスに依存する行動を繰り返しているとその項目が上がりやすくなるな。


 俺を例とすると、毎回ダンジョンを攻略するのに走り回っているから、ステータスもAGI(素早さ)が上がりやすくなっているように。


 他にも遺伝などがあるらしいが、俺にはあまり関係ないだろう。



 こうして蓮はステータス確認を終えた後、帰還ポータルを開き、ダンジョン攻略を終えた……はずだったのだが。




~~~


「馬鹿力……フンっ!」


 何故か木漏れ日の森ダンジョンにもう一度入り直し、重い岩を押して湖に落としている姿が。



『レベルアップ』


 慣れた手つきでレベルアップを表示したウィンドウを素早く閉じて、目の前に現れたポータルへと入って行く。



『ロード中……。NEW RECORD! おめでとうございます! グリード様のお名前を殿堂へと記録しますか?』


 蓮は無言でウィンドウをスライドさせ、次の画面へと移る。



『記録 19分23秒』


「あれから随分記録が伸びたな。えぇと、今回の攻略で……20回目か?」


 平気そうな表情で、この世界の住人が聞いたら発狂するレベルの事を言ってのける。


 あれから蓮は何食わぬ顔で木漏れ日の森ダンジョンを周回し始め、もう既に20回目の攻略成功。しかも、スキル馬鹿力を手に入れ、更にレベルアップによりステータスが伸びたことも影響し、攻略スピードが速くなっていた。



 安定して20分を切れるようになってきた。いい調子だ。


「まだ、殿堂に記録するのは置いといて、どれだけレベルが上がったか見てみよう。ステータスオープン」




 名  :冥利蓮  

 性別 :男

 LV :6→13


 HP :38→81


 STR:10→19[+14]

 DEF:11→18[+8]

 INT:9→13[+4]

 MND:10→18[+14]

 DEX:8→12[+3]

 AGI:14→23[+10]

 LUK:10→18[+10]


 スキル:疾走、馬鹿力



「よしよし、順調順調」


 これまた短期間であり得ないレベルの上がり方をしている蓮のステータス。


 基本的にこの世界の住人は1日1回~2回のダンジョン攻略で生計を立てており、1日に3回以上の攻略をする者は非常に稀である。


 そんな中、蓮はこの世界の常識を覆す20回攻略。しかも、自身のステータスに見合わない大物狩りをしている為、この様にあり得ない上がり方をしている。



 今日1日の成果としては十分。明日もここでレベル上げをして、レベル15過ぎになったら難易度3のダンジョンに挑むために他の難易度2ダンジョンを9個クリアしよう。


「報酬画面っと」



『報酬一覧』


・グランスライムの核


・湖水花×3




「やっぱ報酬は美味しくないな」


 前世基準でいくとグランスライムの核は一個2500ポイント。湖水花は一個150ポイントって言ったところか。


 これらのアイテムは前世では常に有り余っており、初期のレートに比べ、何倍も値段が下落していた。


 そりゃあ、需要と供給が釣り合ってないんだから仕方ない事だが……


 

「目標の20回は終えたことだし……ひとまずは手に入れたアイテムを売りに行くか……」


 こうして蓮は帰還ポータルに入り、ダンジョンを後にするのであった。




~???視点~


「また……」


 私は木漏れ日の森ダンジョン前の物陰に身を潜めていた。


 何故私が身を潜めているかと言うと、その事の発端は数時間前に遡る。



「今日こそは難易度2ダンジョンをクリアするぞ」


 私はこの木漏れ日の森ダンジョンをクリアしようと思い、いつもより早くここへと足を運んでいた。


 既に冒険者になってから1年が経過し、難易度1ダンジョンは10個クリアしたものの難易度2ダンジョンはクリアできず。身近に潜む死という恐怖に恐れて、毎回途中まで攻略して逃げて帰る日々を送っていた。


 何故私が難易度2ダンジョンを攻略したいかというと、自分の夢でもあるサポータ職。皆のアイテムを背負い、パーティーが狩ったモンスターのアイテムを拾い集める縁の下の力持ちになりたいからである。そのためには、最低でも難易度2のダンジョンぐらい一人で攻略できるほどの力を持っていなければ足手まといになる事が多く、誰もパーティーに入れてくれないのだ。


 

 そこで、私は難易度2ダンジョンでも簡単な部類に属する木漏れ日の森ダンジョンに足を運び、ダンジョン攻略しようと考えていたんだけど……



 うん? 帰還ポータルが開いた。


 いつもは誰一人いないダンジョンの帰還ポータルが開いたのだった。



「こんな美味しくないダンジョン。一体だれが……」


 気になった私は、身を潜めている物陰へと隠れる。


 すると出てきたのは丁度20歳ぐらいの男の人だろうか。


 黒髪の背丈は180くらいあり。顔はいい見た目をしているが……



「はっ?」

 

 帰還ポータルから出てきた男の人は何も考えてなさそうな顔でもう一度ダンジョンへと入っていったではないか。


 あの人……馬鹿なのかな? あのダンジョンにもう一度入るの?


 レベル上げにも適さず、報酬もまずいダンジョン。


 もっと報酬が美味しくてレベル上げもしやすいダンジョンは難易度1にたくさんあるのに。



 そう考えながら、何故かそこでその男の人の帰りを待ち続け始めてしまった私。


「はぁ、私は一体何をやっているんだろう。少なくともあと数時間は出てこないはずなの……まただ」


 それから20分後。またも帰還ポータルが出現した。



「今日はあの男の人以外にも潜ってたのか……え?」


 その時だった。



「あの男の人は……さっき潜っていった人じゃない?」


 先ほど潜っていったばっかりの黒髪の男の人が20分もしないうちに帰還ポータルから出てきたのだ。



 前に入った時は確か、最速クリアタイムは1時間を超えていたはず。いくらあの男の人が早いと言っても……20分は可能なの?


 開いた口が閉じない私。


 一体何者……


 そうして私があの男の正体を考えていたその時だった。



「え、えぇー!」


 またしても何も考えていない表情でダンジョンに潜っていく黒髪の男の人。



 ヤバイ! 大声を出してしまった。


 直ぐに私は両手で口を塞ぎ、地面にしゃがみ込む。



 それにしてもあの人……一体何周するつもりなの?


 全く知らない赤の他人に興味を持ってしまった私。


 こんな事、一度も無かったのに……



「……決めた。あいつが周回を終えるまでここに居てやる」


 それから私は黒髪の男の人が周回を終えるまでここで隠れている事を決めたのだった。


 

~それから数時間後~


「あぁ……やっと帰っていった」


 それからあの男の人は計16回もの木漏れ日の森ダンジョン攻略を行い、最後には見たことも無い笑みを浮かべながらその場を後にしていったのだ。


 私が来た時には既に何度か攻略してきた可能性もある。多くて20回かな? 


 ……うん。化け物ね。



 私はその場に居続けたせいで重く固まってしまった腰をさすりながら立ち上がり、通りへと出ていく。



「あの化け物……いや、彼の名が知りたい」


 必ず彼は有名になる。例え、彼が望んでいなくとも。


 私の直感がそう告げていた。


 

「……うん。決めた。私は……あの男のパーティーに入る」


 これは運命。神が私に授けてくれた運命なのだ。


 そうと決まれば……


 そうして、茶髪の少女は何かに導かれるようにその場から去っていくのであった。

お読みいただきありがとうございました。

この話が面白いと思って頂けたら高評価やブックマークよろしくお願いします!

では、また次回お会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ