第87話 八大悪魔
脱出メンバーと鬼達の乱戦は激しさを増していった。
脱出メンバーは鬼獄長の圧倒的な力に押され気味ではあるものの戦況は拮抗していた。
「喰らえ!」
藤彦は大量の氷の塊を飛ばして攻撃する。
「「「うわああああああああ」」」
氷の塊に当たった下鬼達はそのまま倒れてゆくが鬼獄長は全てを捌き切る。
肉浩とマイコーが接近戦を仕掛ける。しかし肉浩の拳もマイコーの刃も鬼獄長には届かなかった。
戦況がやや鬼達に傾きつつある中、戦況に変化が起きた。
「もう諦めろオニ。貴様ら脱獄囚に勝ち目はないオニ。正義は勝つオニ!」
鬼獄長は圧倒的な力でどんどん脱出メンバーを追い詰めてゆく。このまま鬼達の勝利に終わるかと思いきや鬼獄長の様子が変化した。
「ぐおっ、何だ!?何だオニ!?」
鬼獄長は突然膝をつき倒れた。脱出メンバーは一瞬戸惑ったが鬼獄長を倒す千載一遇のチャンス。脱出メンバーは鬼獄長に畳み掛けようとしたその時
「うおっ」
「何だ!?」
「か、体が……」
脱出メンバーも突然膝をつき倒れる。周りでは下鬼達もどんどんとバタバタ倒れてゆく。何が起こっているのか、脱出メンバーは困惑した。
「な……何だ!?一体何が起きているんだ!?」
体が突然痺れ体の動きが鈍くなり、意識も遠くなる。体の力が抜け立っていられなくなる。この症状は一体何なのか。終いには頭もボーッとしてきて思考が纏まらない。
皆が倒れた中、謎の男が戦場に出てきた。鬼獄長と一緒に扉の上にいた男だ。
鬼獄長は男に問い詰め始めた。
「おい!これはどうゆうつもりだオニ!戦わないどころか、脱獄囚を捕まえる邪魔をするとはオニ!」
「おっと、勘違いせんといておくんなまし。オレは別に獄長はんの邪魔をしたわけやあらへん。契約に従うて脱獄囚を捕らえる為に戦場に降りただけやさかい。」
「巫山戯るなオニ!オイラ達まで動けないオニ。轍、今すぐ貴様の術を解除しろオニ!」
(轍………?轍だと!?)
藤彦は目の前の男の名前を聞き何者なのか回らない頭で思い出した。
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遡ること600年以上前、藤彦が初めての脱獄をした時だった。
藤彦は極限地獄を抜けることが出来た。次の灼熱地獄に向かう途中、書庫を見つけた。
先へ進まなくてはいけないことは分かっているが、どうしてもその書庫が気になり中へ入っていった。
『くそ、とうとう某一人になってしまったか……』
100人以上で脱獄したが、無限地獄を抜ける頃には半分以上脱落し、極限地獄を抜けた今はとうとう自分一人になってしまっていた。
藤彦は脱出そっちのけで書庫の本を読み漁った。
書庫には様々な本が並んできた。この地獄のルールが記載されている本から地獄の情報が乗っている本まで時間の許す限りひたすら読んだ。
読んだ本の内の一冊に『地獄に住まう悪魔』というタイトルの本があった。
藤彦は気になりその本を手に取り読んだ。
・地獄の悪魔
コノ地獄ニハ八人ノ悪魔ガ住ンデイル。見ツケ次第殺セ。
(殺せとは、あまり穏やかじゃないな。)
本には八人の悪魔の名前と精巧な絵が描かれていた。
(悪魔………この地獄に来て長いが一度も見たことないなぁ……)
藤彦は地獄に住まう悪魔を読み終えると本を閉じ棚に戻す。
『さて、そろそろ行こうか。』
藤彦は書庫を出ようとすると見回りに来ていた下鬼とばったり会った。
『いたぞオニ!脱獄囚だオニ!』
藤彦は無限地獄に連れ戻されてしまった。
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(思い出したぞ!あいつは……この地獄の八大悪魔の一人、轍の悪魔!)
藤彦は思い出せずずっとモヤモヤしていたが漸く思い出しスッキリしたのであった。




