第82話 幻影地獄
「ここは幻影地獄だ。よく見ろ。今までの地獄と比べると一風変わってるだろ?」
肉浩は辺りを見渡す。藤彦の言った通り今まで進んできた地獄と違うものを感じた。
「確かに、ここは地獄というよりなんか、こう例えるなら、魔女が住んでるような、そんな感じですね。」
怪しげな木々にキノコ。怪しげに光る森、この森の奥には本当に魔女でも住んでそうな雰囲気を醸し出している。
これまで通ってきた地獄とは別の不気味さがある。
しかしビビってはいられない。この地獄を抜け先に進まなくてはならない。
肉浩は歩みを進める。
「あっ、下手に動くな。危ないぞ!」
ゴンッ
藤彦が静止したが間に合わず肉浩は何かにぶつかりコケて尻餅をついた。
「いててててて一体何なんだ?」
肉浩はぶつかった何かに視線を移す。しかし
「………何も……無い!?」
目の前に何もなかった。目の前にある何かにぶつかり転んだのだがそこには何もなかった。
「何だ!?どうなってんだ!?」
肉浩は前に手を伸ばす。すると手に感触があった。
しかし感触がある場所を見てもやはり何もない。
「まるで、見えない何かがあるような……」
「その通り。」
後ろから藤彦が話し始めた。
「ここは幻影地獄だと言っただろ?目に見える情報に惑わされるなよ。」
砕がやって来て怨力であたりを照らす。すると肉浩の前に巨大な岩が突然現れた。
「な、何だこの岩、これにぶつかったのか!?」
肉浩は岩に手を伸ばした。岩は確かに存在しておりしっかりと触れた。
「幻影地獄……ひょっとしてこれ光を当てると本当の景色が見えるんですか?」
「素晴らしい答えだ。と言いたいところだが、惜しい!95点の答えだ。」
飲み込みの早い肉浩に藤彦は称賛を送った。
「砕の怨力は真実の光。砕の放つ光の前ではどんなまやかしも意味をなさなくなるのさ。」
「成る程、つまり懐中電灯で照らしても意味はないってことですか。」
砕はさらに光を強くする。すると辺りの景色も照らされ本当の姿を見せる。
怪しく光る森は消え去り他の地獄とそう変わらない景色が現れた。
「………なるほど、メルヘンチックな森は仮初の姿だったわけだ。」
「そうゆうことだ。さぁ先へ進むぞ。」
脱出メンバーは出口を目指して進み始めた。
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一方その頃、鬼獄長は脱獄囚を捕らえるための具体的な作戦を考えていた。
「さて、どうするかオニ。まず小手調べに下鬼をけしかけるべきかオニか。」
鬼獄長がまず最初に悩んだのは下鬼を頼るか否かだった。
鬼獄長は閻魔から送られてきた脱獄囚と鬼獄長の戦いを収めた監視カメラの映像を見て脱獄囚の戦い方を分析する。
「7対1とはゆえ他の地獄の鬼獄長を倒したその実力は本物オニなぁ。オイラ一人で行った所で返り討ちに合いそうな気しかしないオニが……」
「だからとゆって下鬼を下手に向かわせれば被害が増すだけオニ。下手すればゴーグルを奪い取られて脱獄囚を有利にしてしまう事に繋がりかねないオニ。」
鬼獄長は悩んでいた。しかしいつまでも悩んでいられない。モタモタしていればそれだけ脱獄囚が出口に近づくことになる。早く決断しなくてはならない。
「せめて、オイラと同じ強さの獄卒がもう一人いれば何とかなるかもしれないオニが……」
「ダメだオニ!作戦が思い浮かばないオニ!」
鬼獄長は作戦が纏まらず不安を抱えながらも脱獄囚を止める為走り出した。




