第8話 地獄の真実
本来閻魔というのは絶対的に正しい審判を下さなくてはならない。死者のその後を決める審判に私情を挟むなどあってはならない、というのが肉浩の閻魔に対するイメージだった。
「オイラ達がここにいるのが不当な審判?どうゆうことだ?マイコーは勿論としてオイラも本来はもっと軽い地獄に行けたとでも言うのか?」
「その通りだ。閻魔様は不当な審判を下し、君はこの地獄の最下層である無限地獄へ落とされたんだ。信じられないか?」
「信じられないね。そもそも貴方にオイラの何がわかるんだ?オイラのこと何も知らないくせによくもまあそんな知ったふうな口が聞けたもんだ。」
イライラして声のトーンが上がる。自分がどれだけ周りに迷惑をかけ、父や先生達を困らせてきたか、今思うと当時の自分を殴りたくなる。自分は地獄に落ちて然るべき人間だ。なのに何も知らない赤の他人が知ったふうな口を利かれたことに怒りを覚えたのだ。
「しー、声が大きい。この広場は牢獄の地下に掘られている。あまり大きな声を出すと鬼達が来てしまう。とにかく一旦落ち着いてくれ。」
そう言われて冷静になる。と言っても表面上だけであり、心の中は怒りで燃えていた。
「不快にさせてしまったようで申し訳ない。確かに某は君の生前の行いは何も知らない。心優しい正義の人なのか、悪行を重ねた悪の人なのか分からない。だが君は間違いなく不当にこの地獄に落とされた。これだけははっきり言えるさ。」
「いや、君だけじゃない。この地獄にいる囚人全てが不当に落とされたんだよ。」
肉浩は話に全くついていけていなかった。冷静に考えればそんなに難しいことは言っていないのだが話があまりにも想像の上をいっていたので完全に固まってしまった。
「続けるよ。君達は閻魔様の審判を受けたとき異世界へ行くかと聞かれたかい?」
「…………聞かれた。確かに聞かれた。マイコーはどうだ?」
「ボクも聞かれたよ。断ったけど……」
「セカンドチャンス。15〜30歳の内に亡くなった人にもう一度人生をやり直す制度だ。ちなみにここにいる全員が生き返ることを断ったんだ。」
「話は変わるが某も昔一度この地獄の拷問に耐えられず脱獄しようとしたことがあるんだ。その時結構いい所まで行ってねぇ、地獄の第6層を抜けたんだ。んで第5層に向かう途中大きな建物があってだな。急がなきゃいけないのに何故かオイラはその建物に入っていったんだ。するとそこには何があったと思う?」
肉浩とマイコーに問いかけるも二人が答える前に藤彦は答えを喋りだした。
「沢山の本だよ。その建物は書庫だったんだ。ふと目についた本を手にとったらその本はこの地獄のルールが書かれていたんだ。オイラは脱獄中だということも忘れてその本を読み耽ったよ。そしてセカンドチャンスについて書かれたページに辿り着いたんだ。そのページにはこう書かれていたよ。」
・セカンドチャンスについてのルール
・セカンドチャンスとはもう一度生き返って人生を別世界でやり直す制度である。
・セカンドチャンスは15〜30歳の内に亡くなった者にのみ適応する。
・閻魔はセカンドチャンス適応者には生き返るか否か聞く義務がある。
・生き返る選択をした者には生き返らせ別世界に送る。
・生き返らない選択をした者にはそのまま審判を下す。
「さて、ここまで聞いて何が気づくことはないか?」
「気づくことって………」
特に何もない。マイコーは何か気づいているのかと思い後ろにいるマイコーの方を振り向く。
(………そういえば)
肉浩はマイコーとの会話を思い出す。
『そんなことより、何でマイコーがここにいるんだよ。オイラはともかくマイコーが地獄に来るなんてあり得ないって!』
『そんなこと言われても分かんないよ。閻魔様は君なら天国へ行けるって最初は言ってくれてたんだ。』
(…………まさか!)
「ようやく気づいたみたいだな。そう、ここにいる者達は全員、セカンドチャンスで生き返ることを拒んでここにいるんだ。」
衝撃の事実に肉浩とマイコーは固まってしまった。




