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第79話 灼熱地獄長との戦い その6

鬼獄長は敢えて積極的に攻撃せずに肉浩を消耗させ弱った所を仕留める作戦でいくことに決めた。

鬼獄長の予想通り肉浩は時間が経つにつれ動きにキレが無くなっていった。



そして肉浩は限界を迎えたのか膝を付いてしまった。



「この地獄の暑さにやられたようオニなぁ。とはいえ人間の身でここまで戦えたのは褒めてやるオニ。」

体に力が入らず膝をついた肉浩に止めを刺そうと近付く。

肉浩は周囲を見渡すも倒れた仲間達は起き上がりそうもなかった。



(ここでオイラがやられたら奴は動けない皆を嬲り殺しにする。もう死んでるけど、オイラがやらなきゃいけねえんだ!!)

しかし気合と意気込みだけではもうどうにもならない程に消耗していた。



そうこうしている内に鬼獄長が目の前まで迫っていた。



「人間の身でここまでよく足掻いたがここまでだオニ。」

鬼獄長は肉浩の頭を左手で鷲掴みにし、自分の顔の高さまで持ち上げた。



そのまま右手で肉浩を殴り始めた。頭、腕、同体、足まで弟の恨みを全て肉浩にぶつける。



「あぶっ、あがっ、ぐぶっ、おえっ、ぎやっ」

体中の骨は砕け折れた骨が皮膚を突き破り痛々しく突き出ていた。一頻り殴ると興味を失ったのか放り投げる。



「お前はもう放っといてもその内死ぬオニ。いやもう死んでたかオニ。そこでお仲間がオレ様の手によってやられてゆく姿を見ているんだなオニ。」

鬼獄長は肉浩に背を向けて一番近くで転がってる森田の方へ歩きだした。森田は完全に気を失っており逃げることは出来ない。



(まずい!このままだと森田さんがやられてしまう!なんとかしなくては……)

肉浩は動こうとするも両足の骨が粉々になっており立ち上がることさえ出来なかった。



(クソッ立てねぇ、這ってゆくんじゃ間に合わねぇ。)

肉浩は体が動かなかったので口を動かしてみた。



「………逃げるのか鬼獄長?瀕死の囚人一人がそんなに怖いのか?臆病者め。」

肉浩は苦し紛れの挑発をした。鬼獄長はピタリと足を止め後ろを振り返る。



「何だとオニ、貴様!このオレ様を臆病者と言ったのかオニ!?」

肉浩自身、こんな挑発に乗ってくるとは思わなかったので少し驚いたがそのまま続ける。



「そうだ!瀕死のオイラ一人止めを刺さないで行くとは余程オイラが怖いということだろう。オイラに負けるかも知れないのがそんなに怖いか?」



「黙れ!両足の骨を砕かれまともに立ち上がることすら出来ない負け犬がオニ!このオレ様を侮辱するなオニ!」



「その負け犬に背を向けたのはどこの誰かな?その両足の骨を砕かれ立つことも出来ないオイラを放置して、怖いんだろう?このオイラが。」

鬼獄長は肉浩の挑発を受け頭に血が昇っている。



「いいだろうオニ。貴様から先に片付けてやるオニ。但し、貴様が来いオニ。このオレ様の前までその折れた足でなオニ。」

肉浩は唯一無事な右腕を使い這って進む。体中の骨が折れているので這うたび体中に激痛が走る。



「ハッハッハッハッハッのろまめオニ。果たしてオレ様の前に辿り着くのにどれだけ掛かるだろうなぁオニ。」

鬼獄長の皮肉を意に介さずゆっくりと進み続ける肉浩。そして漸く鬼獄長の元まで辿り着いた。



「本当にやって来たオニか。その根性だけは褒めてやるオニ。しかしその体でどうやってオレ様と一戦交えるつもりオニか?」

肉浩は右手で鬼獄長の足にパンチを繰り出した。

しかし肉浩は完全に限界を迎えておりパンチに全く力が入っていなかった。



「ハッハッハッ情けないパンチだオニ。微風でも吹いたかと思ったオニよ。とはいえこの状態でここまで喰らいつくその精神力だけは認めてやるオニ。その執念に敬意を表しオレ様自らの手で引導を渡してやるオニ。」

肉浩は辛うじて意識を保っているが指一本動かせなくなった。



鬼獄長はしゃがんで肉浩の頭目掛けてパンチを繰り出した。



ゴッ



ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ



「なッ、ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッオニッ」



パンチは肉浩の頭を撃ち抜いたが肉浩は無事だった。そして何故か鬼獄長の拳から血が流れていた。

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