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第72話 ツーリング

灼熱地獄を自転車で進み始めて暫く経った。途中下鬼の妨害が何度かあったが力を合わせ何とか切り抜けてきた。



「それにしても地獄によって脱獄囚への対処って全然違うんだな……」

肉浩が呟いた。下鬼を駆り出して脱獄囚を捕まえようとしたり、下鬼には頼らず鬼獄長自ら捕まえにきだり、平常通り拷問してたりと地獄によって対応が様々だった。

そしてこの灼熱地獄はまあまあの頻度で下鬼が襲ってくる。囚人の姿を見ないことを考えると拷問は中止して脱獄囚の捕獲に回していることが窺える。



暫く進むと森田の索敵に反応があった。



「皆、12時の方向に7km、鬼達が待ち構えている。かなり多いぞ気をつけてくれ。」

森田の警告を聞き気を引き締める脱出メンバー。戦闘は避けられない以上戦うしかない。



どんどん鬼の集団に近づいてゆく脱出メンバー。鬼達の姿が見えてきた。



「うわっ、想像よりずっと多いぞ。」

肉浩は精々2〜300位だと思っていたが少なく見積もっても500は軽く超えていた。



「よぉ見たら鬼獄長もおるで。これちょっとやばいんちゃう?」

下鬼の群れの奥に確かに鬼獄長が鎮座している。

下鬼だけならともかく、鬼獄長までいるとなると苦戦を強いられる。



「こいつは骨が折れるな。でもやるしかねぇよなぁ。」

全員覚悟を決めペダルを漕ぐ。鬼達のすぐ近くまで近づき自転車を降り戦闘態勢を整えた。





____________________





「獄長!脱獄囚が現れましたオニ!」

双眼鏡で見張りをしていた下鬼が鬼獄長に脱獄囚がやって来た事を知らせる。



「やっと来たオニか。まず狙うべきは脱獄囚のリーダー格だオニ。双眼鏡を貸すオニ。」

鬼獄長は下鬼から双眼鏡を受け取り脱獄囚を見る。



「閻魔様の話だとリーダー格の男は氷の怨力使いであんまり特徴が無いって仰っておられたオニ。どれどれ……」

鬼獄長は脱獄囚を見るが殆ど全員特徴が無かった。



「うーん分からんオニなぁ……一人金髪がいるオニ。ということは奴は違うオニな。」

マイコー以外は全員黒髪で全員これといった特徴が無く見極めるのを諦めた。



「実際に戦って見極めるしか無いようだオニ。下鬼達!戦闘になれば脱獄囚は怨力を使って戦うオニ。氷使いを見つけて奴を優先的に攻撃するオニ。」



「「「オオオオオーーーーーーッ!!!」」」



鬼獄長の号令で下鬼達の士気が上がる。



「さぁ来い脱獄囚共!お前達の旅はここで終わるオニ!」





____________________





遂に鬼の大軍との戦闘になった。下鬼が大勢で襲いかかってくる。



「ぬぅぅぅぅん!」

海澤が炎で下鬼達を焼き尽くす。しかし



「アチチチチチオニ」

「ちょっと髪が燃えてるオニよ!」

「あっ腰巻きが燃えてるオニ!」



炎では決定打にならなかった。

「やっぱり灼熱地獄というだけあって暑いのには慣れてんだな。」

藤彦は怨力で辺りを全力で冷やした。



「ブワァッ!氷の使い手だオニ!」

「ちべたいオニ!ちべたいオニ!」

「つまりコイツが脱獄囚のリーダーかオニ!」



極限地獄長は炎がよく効いたように灼熱地獄の鬼には藤彦の怨力がよく効いていた。



「喰らえっ!」

巨大な氷の塊を作りだし鬼達に向かって落とす。



「ぐえっ」

「さッ、寒いオニ!」

「氷の男を狙えオニ!」



下鬼達は藤彦を狙って襲いかかってくるが全てを返り討ちにする。



「やっぱりここの鬼は寒さに弱えみてぇだな。皆藤彦さんを狙い出しやがった。」

脱出メンバーは藤彦を守るように陣形をとる。鬼側が数で優位を取ろうとこれでは簡単に手出しは出来ない。



藤彦は氷を飛ばして敵の数をどんどん減らしてゆく。



その様子を遠くから眺める鬼がいた。

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