第63話 罪と罰
下山している最中、特に大きなハプニングも無く順調に山を降りていった。
半分程降りた時に森田の索敵に反応があった。
「藤彦さん。12時の方向、2.7km先、沢山の反応がある。恐らく鬼だ。」
「本当か?厄介だな……なんとか迂回するか……?」
鬼に遭遇するのは面倒だったため迂回することを考えたが
(いやダメだ。下手に進路を変えたらどこ進んでるか分からなくなる。)
藤彦は暫く考えた後
「仕方ない。皆、強引に突破するぞ。」
相手が下鬼であれば油断しなければどうとでもなる。多少面倒くさいだけ、と考え下鬼を全員倒すことを決意した。
鬼の集まりのすぐ近くまで接近し、近くの物陰に身を隠して鬼達の様子を窺う。
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「オラッ!もっといい声で叫んでみろオニ!」
ゴンッ
「ぎやああああああああああああ」
「この悪党がオニ!」
ビチィィィン
「きやああああああああああ」
山の中腹で鬼たちによる拷問が行われていた。囚人はこの寒い中、薄い囚人服だけで拷問を受けていた。
「も、もうやめてくれえぇぇぇぇぇぇぇぇ」
囚人の声が辺りに響き渡る。唯でさえ寒い中薄着でいるだけでも拷問なのにその上鬼達からも拷問を受けている。悲痛の叫びだった。
「黙れ!この極悪人が!貴様らの生前犯した罪はこの程度で消えると思うなオニ!!貴様は一体どれだけの命を奪ってきたオニか!?どれだけの人の人生を踏み躙ってきたオニか!?それに比べれば今貴様が感じている苦痛などそよ風みたいなもんだろうがオニ!!甘ったれるなオニ!!」
ゴチィィィィィン
拳骨の音が雪山に響き渡った。
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「うへぇ、容赦ねぇなぁ。」ヒソヒソ
肉浩が下鬼の拷問にドン引きしていた。肉浩だけでなく脱出メンバー全員が同じ気持ちで拷問を見ていた。
「しかし拷問中だったとはな。ここで攻撃すれば囚人達も巻き添えを喰らう。流石に囚人達巻き込むのは可哀想だ。」ヒソヒソ
「じゃあどうする?一人づつ地道に倒していくか?」ヒソヒソ
「いや、それだと時間がかかり過ぎる。」ヒソヒソ
「じゃあどうすんだよ。」ヒソヒソ
「それを今考えてる所だ。」ヒソヒソ
藤彦は頭を抱えた。こうして考えている間にも時間は過ぎてゆく。囚人達を巻き添えにしてでも突破するしかないのか。考えてみてもそれ以外の方法が思いつかない。
囚人諸共鬼を一掃する事にした。皆に作戦を伝えようと振り向いたその時
ジリリリリリリリリリリリリリリリ
けたたましい音が鳴り響いた。
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「おっ、もうねんねの時間オニか。今日の拷問はここまでだなオニ。」
鬼と囚人がそれぞれ帰ってゆく。
あっという間に誰もいなくなった。
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「………藤彦さん。」
「ああ………鬼達、帰ってったね。」
非常によいタイミングでベルが鳴り響き脱出メンバーは戦闘を避けることが出来た。
そのまま特に大きなハプニングも無く脱出メンバーは山を降りることができた。




