第62話 山登り その2
鬼獄長との戦いを終えた脱出メンバーは緊張が解けてその場にへたり込む。
「お……終わった……」
厳しい戦いを乗り切った脱出メンバーは暫く休憩を取ることにした。
「しかしまた襲って来るとは思わへんかったわ。こいつめっちゃ執念深いやん。」
「そうだな……………」
このやり取りを最後に休憩の間、誰一人言葉を発することはなかった。鬼獄長との戦いが余りに過酷だったため、喋る元気すら残っていなかった。
沈黙の時間が流れ………
「よし、そろそろ時間だ。行こう。」
皆が回復した頃合いを見計らい出発の準備を整える。
また辛く苦しい山登りの時間が始まった。
山を登り始めて直ぐに脱出メンバーの前に巨大な崖が立ち塞がった。
「うわっ、崖だ。」
ほぼ90度に傾いた垂直の崖、普通に登ることは不可能だった。
「こうゆう時って、なんか崖に生えてる木とかにロープを引っ掛けて登って行くんだっけ?」
「そう都合よく木なんか生えてる訳……」
藤彦は上を見上げて木を探す。吹雪のせいでよく見えず探すのに苦労したが、うっすらと崖の上に生えた木を発見できた。
「あったぞ!吹雪で見えにくいけどあそこだ!世助、ロープを頼む。」
「ほいっ。」
世助はロープを作り出した。早速投げ縄にして崖の上の木に引っ掛ける。ぐいぐいと引っ張って強度を確認する。強度に問題は無かった。
「よっしゃ!まずオイラから行くぜ!」
肉浩が意気揚々とロープに掴まり崖を足場にして上ってゆく。その様子を他のメンバーが見守る。
「へへっ、余裕余裕。」
順調に崖を登ってゆく肉浩。しかし崖の半分を登った所でハプニングが起こる。
「あっ、おわああああああああああ」
ロープを引っ掛けた木に積もった雪が肉浩の顔面に落ちてきた。突然のことに驚いた肉浩はパニックになりロープから手を放した。
ドスッ
幸い雪がクッションとなって落下の衝撃は無く肉浩にケガはなかった。
「何でこうなるんだ………」
山登りになるととことん悪い事ばかり続く。他の脱出メンバーが次々登ってゆく。
何とか崖を登り終えた脱出メンバーはその後特に大きなトラブルもなく山頂に辿り着いた。
「今回は早く着いたな。」
一回めの山より標高が低く、なだらかな道が多かったためか今回の山登りは非常にテンポよく進んだ。
脱出メンバーは山頂からの景色を眺める。
一回目の山の光景と特に違いは無かったが、遠くてはっきりとは見えないが出口の扉が見えた。
「ひょっとして、あれ極限地獄の出口ですか?」
「あぁ、間違いない。もうすぐこの地獄を抜けられるぞ。」
出口が近いと聞いた脱出メンバーは元気を取り戻した。すぐに出発の準備を整える。
「よし、それじゃ下山しよう。」
脱出メンバーは出口を目指して歩きだした。




