第58話 山登り
鬼獄長との戦いを終えた脱出メンバーは出口に向かって進んでいた。
鬼獄長を倒したので後はこの極限地獄を脱出するだけである。
鬼獄長戦のMVPであるマイコーは日本刀を大事そうに持っていた。
「やっぱりこれが一番ピンとくる。」
世助が作り出した武器の一つの日本刀。先の戦いではこの武器とマイコーの怨力で何とか乗り切った。
マイコーは鞘から刀を抜くと刃こぼれしていた。
日本刀は滅多なことでは刃こぼれしない筈だが、鬼獄長の硬い皮膚を斬れば刃毀れも起こす。
「マイコー、その武器気に入ったのか?」
「パパがこうゆう日本の古い骨董品のコレクションが趣味だったんです。コレクションの中に日本刀もありましたから。」
「鬼の体は硬いからな。日本刀だとすぐに刃こぼれを起こす。そんなに気に入ったならほれ。」
世助が新しい日本刀を作り出しマイコーに渡す。砥石を創り出して研ぐよりも早い。
「また刃こぼれしたら作ってやるから遠慮なく使ってくれ。特に銘はないが切れ味は抜群だ。」
話をしながら地獄を進む。途中下鬼に何度か見つかり戦闘になったが全て何とか退け順調に進んでいた。
暫く進み続けていると脱出メンバーの前に巨大な雪山が行く手を阻む。
「でっけえ山だなぁ。」
肉浩が圧巻の光景に気圧される。この雪山を越えないことには出口に辿り着けない。登らない選択肢はなかった。
「前に来たときはこんな雪山無かったのに……登山の経験は無いから何が必要とか分からないぞ……誰か登山の経験のある者は居ないか?」
藤彦がみんなに問いかける。脱出メンバーは全員首を横に振った。
「とりあえずそのまま登ろう。必要なものが有ればその時は世助、頼むぞ。」
脱出メンバーは目の前の雪山を登り始めた。全員登山の経験など無いためかなり苦労していた。
「皆、ちゃんと着いて来てるか?」
「大変だ藤彦さん!肉浩がどこにもいない!」
「えぇぇ!?」
「うわあ雪崩だあ!!」
「オレに任せろ!!」
炎の壁を作り出し雪崩を防ごうとする海澤。しかし
「うわあちぃ!!」
炎で解けた雪崩が熱湯に変わり脱出メンバーを襲う。
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「や……やっと山頂に着いたぞ……皆大丈夫か……?」
山頂に到着した脱出メンバーは満身創痍になっていた。
「と……とりあえず休憩しましょうよ………オイラも皆もボロボロですから……」
「せやな、お前が足滑らしてクレバスに落ちてへんかったらもっと早くついてたんやで。」
「それはもう謝ったじゃないですか。掘り返さないで下さいよ。」
「ってゆうか、クレバスに落ちてよう生きとったな。」
「もう死んでますけどね。」
「おいおい二人とも喧嘩するな。ほら見てみろ皆、頂上からの景色、最高だぜ?」
藤彦が指をさした方向を見るとそこには地獄とは思えない景色が広がっていた。
一面銀世界、あまりの美しい景色に脱出メンバーは見惚れていた。
「「「すげぇ景色だ………」」」
暫くの間脱出メンバーは山頂から見える光景に釘付けになっていた。
「あれ………?」
「どないしたんや肉浩?」
「遠くにうっすら見えるんですけどあれって、雪山じゃないですか?」
肉浩が指差す方向を見ると遠くて分かりづらいが確かに雪山が見えた。
「え?これまた、山登りしないといけない感じですか?」
地獄の山登りコースがもう一回ある事が確定した脱出メンバー一行は頭を抱えた。




