第37話 深淵地獄の決戦 その6
「い、一体何をするオニか!?」
脱獄囚に止めを刺そうとした瞬間、横から同胞の攻撃を受けて困惑する下鬼。
「いくぞ!脱獄囚を守るんだオニ!」
「「「オオオオオオオオオオオ!!!」」」
下鬼の一人の声で数十名の下鬼の士気が上がった。
すると下鬼が下鬼を襲い始める不思議な事が起きた。
「ぐわあああああああ」
「お前達、一体何してるオニか!?」
「何で俺達を襲うオニ?敵は脱獄囚達だぞオニ!」
「脱獄囚を守れオニ!!」
「下鬼をやっつけろオニ!!」
「脱獄囚に下鬼達を近づかせるなオニ!!」
時間が経つに連れ裏切る下鬼の数が増えていった。最初は数十だったのが百、二百、三百とどんどん増えあれ程優勢だった鬼の軍勢が一気に押されていった。
「い、一体何が起きてるオニ!?」
鬼獄長が訳も分からず焦っているといつの間にか隣に肉浩が立っていた。
「こ、これはお前の仕業オニか!?」
「……………」
「質問に答えろオニ!!」
成長した肉浩の怨力は触れた鬼の認識を捻じ曲げ鬼獄長ではなく肉浩を上官と思い込ませ脱出メンバーを守り下鬼同士で戦うように仕向けた。
しかし鬼獄長にはこの力は通用しなかった。
とはゆえ、下鬼達に通用しするだけでも十分であった。
認識をねじ曲げて同士討ちをさせる。
洗脳のような事もできるのかと肉浩は感心した。
「貴様を斃して下鬼達はを元に戻すオニ!」
鬼獄長は肉浩に左ストレートをぶちかます。肉浩は躱して鳩尾にパンチを叩き込んだ。
(ぐっ……やはりコイツは危険だったオニ。あの時オイラが出向いてでもコイツを潰しておくべきだったオニ。)
膝をついた鬼獄長を放置し下鬼の乱戦の場へ向かおうとする肉浩。
(これはまずいオニ、これ以上裏切りる下鬼が増えればますます状況が悪くなるオニ。)
鬼獄長は地面を蹴り上げ地面の破片を礫にして肉浩に飛ばして攻撃する。
全てを躱しきれず幾つかが体に当たる。
「ぐわあああああああああああ」
かなりのダメージを負い悲鳴を上げる肉浩。
「お前が味方につけた下鬼の数は精々数百程度オニ。しかしこちらはまだ数千の下鬼がお前達脱獄囚を狙っているオニ。」
肉浩は下鬼の乱戦の場に視線をやる。
認識を捻じ曲げ味方につけた鬼達がどんどんやられていた。
数百vs数千。どちらが勝つかは火を見るよりも明らか。
味方に引き込んだ鬼が全て倒され仲間達に手が及ぶのは最早時間の問題だった。
「そしてお前のその怨力は触れなければ味方には引き込めないみたいオニなぁ。オイラはお前の相手をして下鬼達がお前のお仲間の首を取ってくるのを待っていれば良いだけオニ。」
「仲間に手が及ぶ前に、お前を倒せばいいんだよな?」
肉浩の言葉を受け一瞬固まるも、その後大きな声で笑い始めた。
「ワッハッハッハッハッ面白い冗談を言うオニな。そんな簡単に倒されちゃ鬼獄長としての面子が立たんオニ。」
肉浩と鬼獄長の戦いが始まった。




