第35話 深淵地獄の決戦 その4
「遅いで肉浩!介抱にどんだけ時間掛けとんねん。」
肉浩がみんなの元に戻ると鬼達との戦いが始まっていた。
「すいません、ちょっと色々あって。」
「目の前の戦いに集中せぇよ。油断したら死ぬと思え。いやもう死んどったわ。」
砕は世助の作り出したライフルを手渡した。
「さぁ、これで戦え。」
「ありがとう。」
肉浩はライフルを受け取り鬼に向けて放つ。
他の三人もそれぞれ武器を使って戦っていた。
しかし数が多すぎて一向に鬼の数が減らない。
鬼達がどんどんと距離を詰めてくる。接近されるたびに後退るも後ろには大きな崖が待っていた。
「下鬼達!あそこでのびてる三人を狙うオニ!復活されると厄介オニ!」
鬼獄長が的確に指示を送る。戦える四人に全ての戦力を割く必要はない。未だ満足に動けない藤彦達ならば下鬼でも十分に勝てる。
(あかん!このままやと藤彦さん達がやられる!でもこの状況、助け出す余裕なんかないで。)
砕は焦っていた。下鬼が数人藤彦達の元へ向かっている。藤彦達はまだ戦えるほど回復していない。助けに行きたいが砕達も自分の事で精一杯だった。
「オイラが行く。」
肉浩はそう言うとライフルを放り投げ藤彦達の元に向かった。
藤彦達に近づく下鬼を殴り飛ばした。
「痛てっ、よくもやったオニな。人間のくせに凄いパワーオニ。」
殴られた下鬼がお返しと言わんばかりに殴り返す。下鬼のパンチを軽く避けカウンターを叩き込む。
「くそっ、人間のくせにやってくれるオニ!」
「人間だと思って甘く見てたら痛い目見るぜ?」
目の前の鬼に意識を向けており背後からゆっくり忍び寄る鬼に気付かず肉浩は攻撃をモロに喰らった。
「ぐわあっ」
「や、やったオニ!後ろががら空きだったオニな。」
下鬼の攻撃を喰らい気絶しそうになる肉浩。ギリギリ意識は保ったが既に満身創痍だった。
「貴様よくもやってくれたオニな?覚悟は出来てるんだろうなオニ?」
肉浩の髪を掴みボコボコに痛めつける下鬼。
顔面は腫れ上がり体もボロボロになる肉浩。
「何してるオニ!早くソイツに止めを刺すオニ!」
鬼獄長は止めを刺すよう下鬼に呼びかけるが
「まだまだ早いですオニよ獄長。こいつらに同胞が沢山やられたオニ。オイラ達の怒りはこの程度じゃすまないオニ。」
そう言うと動けない肉浩に殴って蹴って痛めつける。
下鬼達に集団リンチにされている中、肉浩は藤彦の言葉を思い出す。
『怨力は極限の状態で成長する』
今まさに絶体絶命のピンチ、極限の状況に陥っている。ここで怨力を次のステージに進めなくては脱獄の旅はここで終わってしまう。
(くそ、駄目だ。何も起こらない。)
「あかん。このままじゃ肉浩がやられてまう。なんとかせんと。」
「人の心配してる余裕は貴様には無いんだぞオニ!」
肉浩に気を取られた一瞬隙が生まれ鬼獄長の攻撃を受ける砕。
「ぐわぁッ!」
「砕さん!」
マイコーと世助が砕に駆け寄る。しかし
「やめろおおおおおおおおおおお!!!」
肉浩の叫びも虚しく鬼獄長の攻撃を喰らいダウンする三人。
「散々梃子摺らせてくれやがってオニ。今引導を渡してやるオニ。もう死んでるオニけど。」
鬼獄長は棍棒を構えて三人に向かって振り下ろした。




