第2話 友との出会い
「不死身と呼ばれたオイラが……」
腕っぷしに自信があった肉浩だが鉄の塊に勝てるわけもなくあっさり亡くなってしまった。
(まさかあの世なんてものが本当にあるとは……極楽浄土とか地獄とか信じてなかったけど……)
(本当にここがあの世なら閻魔様に裁いて貰うんだよなぁ………閻魔様はどこにいるんだ?)
辺りを見回すも閻魔様はおろか人っ子一人いない。
ここでジッとしてても始まらないので移動する事にした。
少し歩くと長い列が見えてきた。
肉浩は行列を見た瞬間それが審判の順番待ちであると理解した。
肉浩は早速列の最後尾に並んだ。
行列は少しづつではあるがゆっくりと前へと進んでゆく。
この長い待ち時間に肉浩は生前の行いを振り返った。
喧嘩に明け暮れる日々、先生や父を何度も困らせた。
こんな自分に対して下される判決など決まりきっている。
地獄ゆき、それ以外にない。
「地獄、か……」
今更地獄に落とされる事が怖い訳では無い。
しかし地獄に落ちれば二度と父には会えないと思うとせめて最期に父と会って話がしたいと思う肉浩であった。
地獄ゆきの審判を下される様を想像して気が滅入っていると前から何やら声が聞こえてきた。
「Hey are you OK?」
「………えっ?」
前に並んでいたブロンド髪のお兄ちゃんが話しかけてきた。
ブロンド髪といえば不良仲間の竹星も金に染めていたがこのお兄ちゃんは素でブロンド髪なんだろうか。
「Sorry my name is Michael nice to meet you」
元々内気な性格の肉浩は知らない人と話すことさえハードルが高いのに英語で話しかけられたこともあり完全に固まってしまった。
それでも勇気を振り絞って
「ソーリーアイドントスピークイングリッシュ。
アイアムジャパニーズ」
完全に声は裏返っていたがなんとか伝わったようだ。
「Oh sorry 日本語で話すよ。ボクはマイコーだ。ヨロシク」
「マ、マイコーってゆうんだ。オイラは鈴木だ。マイコーは日本語上手いんだね」
「パパの仕事の都合で8年日本にいたんだ。」
話が弾んで最初の緊張はすっかり消え、二人はあっという間に意気投合した。
「マイコーはまだ若いのにどうして死んだの?」
「交通事故だよ。暴走した車にはねられて気がついたらここにいたんだ。」
「そうなんだ。実はオイラも交通事故。」
他愛ない話に花を咲かせすっかり仲良くなった二人は時間も忘れて話し合った。
気が付くと最前列が見えてきた。
列の先には小さな小屋が見える。あの中に閻魔様がいて審判を下しているのだろうか。
とうとうこの時がやって来てしまった。
地獄に落とされ二度と父に会えなくなる悲しみに心が沈んでいた肉浩だったが、マイコーとの他愛ない会話ですっかり心が軽くなり審判に臨む心構えも変わった。
(地獄に落ちれば地獄の拷問だって楽しんでやるさ。なんたってオイラは不死身のヒロなんだからさ。)
そんな事を考えているととうとうマイコーの番がやってきた。
「次の方どうぞー」
「ボクの番だ。行ってくるよ。」
肉浩は審判の小屋に入ってゆくマイコーを見届けた。
(生前のオイラにもあんな友達がいれば、悪い子にならなくて済んだかもしれねぇな。)
マイコーと話した時間は今まで生きてきた時間に比べるとほんの一瞬の時間だが、唯それだけの時間でここまで心が打ち解けたのは初めての事だった。
出来ることなら来世ではあんな友達が欲しいと考えていたその時、小屋の中から大きな叫び声が聞こえてきた。
「Go to hell!!」
ゴートゥーヘル、直訳すると『地獄へ落ちろ』
英語はからっきしダメな肉浩でもこれくらいの英語は理解できた。
それ故に何故この状況でこの言葉が出てきたのか理解出来なかった。
マイコーが地獄に落ちる可能性は全く考えていなかった。
マイコーの話を聞いてる限り自分とは正反対の人間だった。
だから小屋の中からGo to hellと聞こえてきたときは耳を疑った。
(Go to hell? 地獄?マイコーが?あり得ねぇだろ。)
完全に思考が追いつかなかった。
するとまた小屋の中から声が聞こえてきた。
「Next!!」
(オッ、オイラの番だ。)
肉浩は小屋の中へ入っていった。




