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第20話 魔術訓練

「それではこれより、魔法訓練を始める!」



(うわぁ……オイラ大丈夫かな……?)

ニックは内心不安だった。どんなに練習しても今まで魔法を使うことが出来なかった。

その上水晶の検査でも0点を叩き出した。



(もし魔法が出せなければ皆の前で恥をかくことになるぞ……)

ニックは魔法が使えないことがバレた時の皆の反応を想像する。





____________________





『うわ、おい皆、ニックの奴魔法が使えないみてーだぞ!!』

『マジかよ、初級のパイロとかオレは二歳で使えたぞ。』

『なっさけねぇの。剣が得意でも魔法が使えなきゃ意味ねぇよなぁ。』



『『『ギャハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!』』』





____________________





(うわぁ……これはキツイな……)

皆にバカにされる姿を想像してニックはため息を付いた。



「では講義の時にチラッと言った初級中級上級の違いを見せよう、皆少し離れていろ。」

生徒達が注目する中、レオン教官は的に向かって魔法を放つ。



「まずは初級の炎魔法、パイロだ。」

レオン教官は手のひらに火の玉を作り出し的に向かって投げた。



ゴォォォォォ



火の玉は的を燃やし尽くした。



「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」」」

生徒達は教官の技に見惚れていた。



初級とはいえ、的を正確に狙い撃ち、的を焼き尽くすその威力は使い手のレオン教官の熟練具合が伺える。

 


「これがパイロだ。次は中級のニトロだ。よく見ておけ。」

レオン教官は指先に魔力を集中させ一気に放出する。

指先から放たれたニトロは火炎放射器の如く窓に向かって進んでゆき的を焼き尽くす。

ニトロの熱気が離れた生徒達にも届く。



「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」」」

生徒達は教官の技に見惚れていた。



「最後に見せるのが上級のプロミネンスだ。この技は大分威力を抑えてやるがそれでも危ないからもっと後ろに下がれ。」

教官の忠告に生徒達は全員後ろに下がる。



「それじゃあ、いくぞ!」

教官がプロミネンスを放った。



ドガァァァァァァァァァァァァァァァン



的を中心に凄まじい爆発が起きた。

だいぶ距離をとって見ていた生徒達もあまりの熱風に目を開けていられなかった。



「これが、プロミネンスだ。いや、正確には威力を1/100まで抑えたプロミネンスだ。全力で放てばどうなるか想像つくだろう?」

生徒達は唖然としていた。

上級魔法など滅多に見ることの出来ないモノを間近で見せられ呆然とするしか無かった。



『すげぇな。これが、魔法か……』

肉浩は教官の圧倒的な強さに感激する。



「さて、次はこれをお前達にやってもらう。初級の魔法を的に向かって当ててみろ。」

教官の言葉に生徒達は早速的に向かってそれぞれ魔法を撃ち始めた。

初級魔法であれば才能があれば子供でも自然に使えるようになる程の習得難易度なので皆誰にも教わらずとも魔法を撃つ。



「パイロ!!」

「フラッシュ!!」

「スノウ!!」

生徒達はそれぞれ自分の扱える魔法を的に向かって放つ。

的に命中させてもやはり教官程の威力は出なかった。



他の生徒達がどんどん魔法を撃つ中、ニックは何も出来ないでいた。



どうせ出来ないことは分かっていたが、それでも皆と同じ様に魔法を撃とうとやってみた。



「パイロ!!」



シーーーーーン



「ショック!!」



シーーーーーン



「フラッシュ!!」



シーーーーーン



結果、何も出なかった。



(やっぱり、オイラには魔法の才能無かった……)

分かってはいたものの、皆と同じ様に撃ってみたかった。

皆が魔法を次々撃ってゆく姿をじっと長めていたら教官が声をかけてきた。



「ニック訓練生!何をしている!貴様も撃たんか!」

レオン教官がサボりと勘違いしニックに声をかける。

ニックは反論しようとしたが、実際に見せたほうが早いと思い皆と同じ様にやってみる。



「パイロ!!」



シーーーーーン



「シャドウ!!」



シーーーーーン



「サイクロン!!」



シーーーーーン



(まさか、ニック訓練生は魔法が使えないのか!?)

レオン教官は名簿を取り出しニックの適正検査の結果を再確認する。



(魔力0点だと!?まさかッ!そんなことがッ!!)

レオン教官は困惑した。しかし有りえない話ではない。世の中には魔力を一切持たずに産まれてくる子供が稀にいることが最近の研究で証明されている。



魔力が一切無い状態で生まれた子供は後天的にどれだけ努力を重ねても使えるようにならないことも最近の研究で証明されている。



「分かった。ニック訓練生。見学を許可しよう。」



「ありがとうございます。」

そう言ったニックは辛そうな表情を浮かべた。

皆が当たり前に出来ることが出来ない。それだけで劣等感が生まれるものである。



(堪えろ、分かっていたことだろ!軍に入った時から惨めな思いをすること位分かっていただろ!)

ニックは劣等感と情けなさで涙が出そうになるのを必死に堪える。



暫く経つと訓練終了を接げるベルが鳴り響いた。



「そこまで!今日の訓練は終了する!」

生徒達は全員、魔法訓練場を後にした。

ここまで読んで下さりありがとうございます。


今後のモチベーションにも繋がりますので良ければ評価、ブックマークをお願いします。

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