第10話 名誉最高司令官
「スゲェな君!何者なんだ!?」
黒を叩き出した生徒は他の生徒達から質問攻めにあっていた。
「え、えーと僕は……」
質問攻めにあいもみくちゃにされる。
「静粛にするのである。」
教官の一声で彼の周りから離れ教官の言葉に耳を傾ける。
「では適性検査はこれにて終了するのである。それでは皆、解散するのである。適性検査の結果は後日、発表するのである。」
教官の言葉を合図にそれぞれが解散してゆく。
ニックも自分の寮に戻ってゆく。
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生徒全員が魔力測定を終わらせた後、二階から一人の男が一階に降りてきた。
軍服には勲章がいくつも付いており軍の中でも位が高いことが伺える。
男が降りてくると教官達は全員挨拶し、敬礼する。
「「「ご苦労様であります!!閣下!!」」」
「うん、お疲れー。」
軽いノリで挨拶を返す。
今降りてきたこの男こそがリオーレ軍の名誉最高司令官、レイモンド・キリンである。年齢30歳。
「いや〜今年の新入生たちすごかったのぅ。上から見ておったが、今年は有望な子が多いみたいじゃ。」
「やはり今日視察に来て正解じゃった。のぅリッちゃん、あの子名前何とゆうんじゃ?」
「しょッ、少々お待ち下さい。」
リチャードは名簿を取り出して名前を調べる。何時ものである口調も司令官の前では封印している。
「彼の名前は………マイク……ですね。」
「マイクとゆうんか。彼は凄い軍人になりそうじゃ。ワシの勘がそうゆうておる。」
「私もです。水晶が黒に染まった所など初めて見ましたよ。」
リチャードの言葉を聞いた司令官は話が噛み合っていないことに気付いた。
「黒?ワシがゆうておるのはその少年じゃのうて、君が最後に測定した少年の事じゃ。」
「こッ、これは大変失礼致しました。えーと……彼の名前は………ニックですね。」
再び名簿を確認し名前を探し出した。
「ほう。ニックとゆうのか、あの少年は。」
「お言葉ですが司令官、何故あの様な少年に注目を?彼は水晶の色が変わらなかった。黒く染めたマイクを差し置いて何故……」
リチャードの質問に司令官は少し考えてこう答えた。
「そうじゃな、強いてゆうなら彼の瞳かのぅ。」
「瞳……でありますか?」
「そう、瞳じゃ。彼の瞳は他の生徒とは一線を画す眼差しをしておった。例えるなら……そうじゃな……いくつもの死線を潜り抜けてきた、歴戦の英雄の様な目をしておった。彼の過去に何があったのかは知らんし、詮索するつもりは無いが、あんなに若い少年がするような目ではなかった。」
「……そ、そうですか……」
リチャードはキリンのゆっていることが分からなかったがとりあえず頷いた。
「それに、魔術の適性だけで人間の強さが決まる訳ではないぞ。現にワシだって魔術は一切使えんが若い頃戦場で武功を立てこの地位にいる。魔術が全てではないのじゃよ。」
「あまりピンと来ない顔をしておるな。まぁ君もいずれ私のゆってる事がわかる日が来るじゃろて。さて、ワシはこれで失礼するかのう。」
司令官はそうゆい残して立ち去った。
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「やっと終わった……どっこいしょ。」
ニックは測定を終えすぐに寮に帰ってきてベッドに腰を下ろした。
「さてと、日課の素振りでもしますか。」
この学校では申請をすれば木刀など武器を借りることが出来る。
館にあった木刀は持ってきたのだが軍に志願し、寮に案内される時に没収されてしまった。
なので学校の木刀を借りて日課の素振りをしようとした時に寮に誰かが入って来た。
「「あっ、どうも。」」
部屋に入って来た時に目があってお互い挨拶を交わした。
この寮は4人で一部屋の寮なのでルームメイトは後二人いる。
残りの二人もすぐに寮に入って来た。
「おっ、全員そろってるじゃねぇか。折角だし自己紹介しようぜ?」
帰って来た生徒の一人が提案した。他の二人も頷く。
(参ったな……オイラは早く素振りに行きたいんだけど……)
ニックの気持ちなどそっちのけで自己紹介を始めた。
「俺はポールだ。よろしく。」
「俺はジェイク、よろしくな。」
「ぼッ、僕は……ニコラス…です。」
三人の自己紹介が済み残りはニックだけになった。
「ほら、君の名前も教えてよ。」
ニックはため息を付き自己紹介する。
「オイラはニックだ。」
「ニックか。皆これから一年間よろしくな。」
自己紹介も済んだのでニックは素振りをしようと外に出ようとすると
「そうだ、皆昼飯まだだろ?親交を深めるためにもさ、皆で一緒に食べに行こうぜ?」
ルームメイト四人は昼食を食べに食堂へ向かった。
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