第148話 血ノ池地獄長との戦い その5
鬼獄長のタフさに脱出メンバーはどんどん消耗してゆく。どれだけ攻撃してもピンピンしている鬼獄長に脱出メンバーは不気味さすら覚えた。
そんな様子を見た鬼獄長は脱出メンバーに警告する。
「諦めろオニ!お前達ではオレには勝てないオニ!そしてもうすぐ増援がここに来るオニ!そうなればお前達に勝ち目は無いオニ。今降参するなら手荒なマネはしないと約束しようオニ。」
鬼獄長が降参するように諭してくる。しかし脱出メンバーの答えは決まっていた。
「断る!オイラ達はようやくここまで来たんだ。こんな所で諦めてたまるか!」
「……やはり諦めないかオニ。いいだろうオニ!貴様らを倒し無限地獄に送り返してやるオニ!」
ズゴォン
鬼獄長は棍棒を地面に思い切り叩きつけた。
すると至る所から血の間欠泉が噴き出してきた。飛沫が脱出メンバーに当たる。
「うぉっ、あちちちち」
鬼獄長が地面を殴った衝撃で源泉が刺激されたようだ。
鬼獄長は棍棒を凪いで衝撃波を連続で飛ばして攻撃する。
肉浩は土の壁を展開し攻撃を防ぐが、何度も耐えられる程頑丈ではないので4〜5発目で土の壁は壊れてしまう。
近距離、遠距離共に隙のない鬼獄長に脱出メンバーは徐々に追い詰められてゆく。
「くそッ、飛び攻撃のせいで近づくことすら出来ねぇ。」
肉浩が愚痴を溢す。土の腕で攻撃しようにも鎌鼬の発動が早すぎて迂闊に使えなかった。どうするべきか考えていると
「肉浩、作戦があるんやけど聞いてくれへんか?」
砕が作戦を持ちかけてきた。話を聞こうにも鬼獄長の攻撃が激しくとても聞ける状態じゃなかった。
しかしその時、話を聞くための画期的な策を思いついた。
肉浩は土のドームを展開する。
脱出メンバー四人がドームに覆われる。
「何だオニ?今更こんな防壁でオレの攻撃を防げると思ったオニか!!」
鬼獄長は衝撃波と鎌鼬をドーム向かって飛ばす。案の定、直ぐにドームは崩壊した。
土煙が晴れるとそこには一回り小さいドームがあった。
「チッ、何重にも重ねて防壁を作ってるオニか!しかし!防壁の数だけ破壊するだけだオニ!」
鬼獄長は再び衝撃波と鎌鼬の攻撃を仕掛ける。
「よし、これなら暫くは持ちます。それで砕さんの考える策とは何ですか?」
「あぁ、それはだな。」
砕は作戦をメンバーに話した。
「………なるほど、それは上手くいくのか?」
「そればっかりはやってみんと分からんわ。せやけど上手く行ったら倒せるかもせぇへん。」
砕が作戦を伝え終えた頃
ドガシャァァァァァァァァァァァン
最後の防壁が破壊された。
土煙が立ち込める。
「さぁ出て来いオニ脱獄囚!こんな壁の中に隠れようとも所詮は姑息な手段だオニ!ほんの少しオレにやられるまでの時間が伸びただけだオニ!」
土煙が晴れるとそこには脱出メンバー三人の姿があった。
「ん?あれおかしいなオニ。脱獄囚は全部で四人居たはずだがオニ。」
鬼獄長は脱出メンバーが三人しか居ないことに違和感を覚えた。
鬼獄長は辺りを見渡すももう一人の脱出メンバーの姿が見当たらない。
(何処だオニ!?最後の一人は何処に居るオニ!?)
鬼獄長は辺りに衝撃波と鎌鼬を撒き散らす。
ズドドドドドドドドドドド
あたり一面に攻撃を撒き散らすも手応えなし。
(居ないオニ!まさか逃げたのかオニ!?)
鬼獄長は消えた肉浩を探すのに夢中になり他の脱出メンバーに意識を向けていなかった。
それが命取りになり鬼獄長はマイコーと砕の接近に気付けなかった。
「今だッ!!」
カッ
「ぐあああああッオニッ!!眩しいオニ!!!」
砕の怨力により鬼獄長は一時的に視力を奪われる。
ここまで砕の作戦通りだった。
ここで鬼獄長の足元に隠れていた肉浩が飛び出し土の腕で鬼獄長にパンチを叩き込む。
ズガガガガガガガガガガガガ
「ぐわああああああああああああああああああああああああああああオニ」
鬼獄長に止めを刺せる絶好のチャンスに肉浩はありったけ拳をぶつける。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
鬼獄長を30本の土の腕で殴りつける。
鬼獄長は遠くの壁まで飛ばされ埋まった。




