第12話 怨力 その2
「光るだけとはなんじゃい光るだけとは!ええか、光ってゆうんはこんな使い方も出来るんじゃあ!」
どうやら肉浩の一言が砕の逆鱗に触れたらしく砕は手のひらを肉浩の目の前に近づけ結構強めに光を放った。
「うぉっまぶしっ」
急に強い光を浴びせられ眩しさのあまり暫く目を開けられない。その様子を見て
「ただ光るだけ。やけどそれが強いんや。あんまし甘う見てたら痛い目見るで」
「今物理的に痛い目見てます……」
まだ目を抑えて悶絶している肉浩に藤彦が話しかける。
「ハッハッハッ、これが怨力だよ。砕もからかわれたからといってムキになってからに大人気ないなぁ。」
「肉浩もこれで分かっただろ?確かに砕の怨力は光るただそれだけだが、この脱出作戦において最も必要になる力なんだ。」
「必要?そこまで使い道のある力とは思えないけど。」
「直に分かるさ。さてこの怨力だが、お前さん達も使うことができるぞ。二人の怨力ちょっと見せてくれ。」
「……え?いやちょっと待って下さいよ、オイラそんな力使えないって、なぁ?マイコーも知らないよな?」
後ろにいるマイコーの方を振り向く。
マイコーも無言で頷いた。
「ほら、オイラ達使えないって、だいたい今初めて見たのに何で使えるなんて思ったんですか?」
二人にとっては未知の力である怨力。当然使えないしどうやって使うのかも知らない力。それをやってみせろと言われ困惑する二人に藤彦が話し始める。
「いや、君達は既に怨力を使っている。思い出してごらん。公開処刑でドリルの刑にされそうになった時のことを。」
「ドリルの刑………?」
二人は公開処刑の時のことを思い出す。
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『あれ、ドリルが変な方向に曲がったオニ、貴様、一体何をしたオニ!』
『獄長!こっちはドリルが消えましたオニ!』
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「………まさか、ドリルが曲がったり消えたりしたあの時の事ですか?あれがオイラ達の怨力だって言うのかい?」
「理解するのが早いな。その通りだよ。そして君達に謝らなくてはいけないことがある。」
「鬼達に君達が脱獄しようとしていると密告したのは某の仕業だ。」
その言葉を聞いた肉浩とマイコーは頭が真っ白になった。