第118話 第四部隊
「お疲れやで肉浩、ようやったなぁ。」
第三部隊との戦いを終えた脱出メンバーは先の戦いで負った傷を癒すため一休みしていた。
暫くすると先の戦いで深手を負っていた藤彦が目を覚ました。抉れた脇腹は完治しており、何時でも出発出来る状態だった。
肉浩も隊長との戦いで負傷していたが、藤彦が治る頃には完全に回復していた。
二人が回復したので脱出メンバーは岩石群を抜けるため歩みを進めた。
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プルルルルル
プルルルルルル
プルルルルルルル
通信機が鳴り響いた。
ガチャリ
「はいもしもしこちら蟲喰地獄長オニ。」
『こちら第三部隊ですオニ。第三部隊、第五部隊共に岩石群にて脱獄囚と交戦し、敗北しましたオニ。』
「何!負けただとオニ!?分かったオニ。お前は傷を癒やすことに専念しろオニ。後はこちらでなんとかするオニ。」
『はい。よろしくお願いしますオニ。』
ガチャリ
ツーツーツー
通信は途切れた。
鬼獄長は頭を抱えた。
「まさか、第三部隊と第五部隊がやられてしまうとはオニ……さすが無限地獄からここまでやって来ただけのことはあるオニ。」
しかし褒めてばかりいられない。このままでは自分率いる出口前の部隊すらやられてこの蟲喰地獄を突破される可能性がある。
鬼獄長は地図を広げ作戦を考える。
「脱獄囚は岩石群を抜けたと言っていたオニな。岩石群を抜けると……」
「またしても分かれ道オニか……奴らがどの道を選ぶのか分かれば作戦を立てられるオニが……」
鬼獄長が頭を悩ませていると下鬼の一人が助言する。
「獄長、この分かれ道付近、第四部隊が控えていますオニ。どの道に進むか偵察してもらうのは如何でしょうかオニ。」
「でかしたオニ。その手があったオニ。すぐに第四部隊に連絡を取るオニ!」
鬼獄長は通信機を取り出して操作する。
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プルルルル
プルルルルル
プルルルルルル
通信機が鳴り響いた。
ガチャリ
「もしもしこちら第四部隊ですオニ。」
『鬼獄長だオニ。第四部隊、すぐに近くの三叉路へ向かうオニ。今脱獄囚がその三叉路に向かっているオニ。』
「な、なんですってオニ!?分かりましたオニ。直ちに第四部隊を総動員して向かいますオニ。」
隊長は通信を切って第四部隊全員を集めて向かおうとするも鬼獄長に止められる。
『待て、第四部隊は脱獄囚と交戦することを考えるなオニ。今回の任務は脱獄囚がどの道に進むか見てきて報告してほしいオニ。いいか、決して脱獄囚達と戦おうなんて考えるんじゃないぞオニ。第四部隊では勝ち目はないからなオニ。』
ガチャリ
ツーツーツー
通信は途切れた。
「獄長め、オイラ達第四部隊を甘く考えてるなオニ。オイラ達では勝てないだとオニ?」
「ここで脱獄囚を捕らえることが出来ればオイラはきっと次期鬼獄長になれるオニ。」
隊長は第四部隊を集めて例の三叉路へ向かった。