ギィウィウエルちゃん 天川 結様(@Yume_YumeV)
お名前:ギィウィウエルちゃん
設定:体は人間足は鳥類単眼デカ耳甘えんぼなクール美女!身長175cm!
https://twitter.com/Yume_YumeV/status/1428316040010768384
世界最大の鳥類といえば何を思い浮かべるだろうか?
翼長でいえばコンドル。翼を広げれば3メートル以上にもなる。
体高や体重で言えばダチョウだ。
オスであれば体高は2メートルを超え、メスでも170センチから2メートル近くまで成長する。体重も人間並かそれ以上で、まさしく最大の鳥類という称号にふさわしい。
ダチョウは食肉や皮革の原料としても世界的に注目をされており、日本でも各地で牧場が作られはじめている。
おれもそのクチで、一攫千金を目指して祖父の土地を借りてダチョウ牧場をはじめた。
がんがんダチョウを増やして大儲けだ! と意気込んでいたのだが、最初に仕入れた番の卵から孵ったもののせいでその目論見はすっかり御破算になってしまった。
人間……人間? 人間のような子どもが生まれてしまったのだ。
全体的なシルエットは人間そのものだ。
腕が二本に足が二本、少々脚が長いがそれだけなら人間のモデルにだっている。
その足が、硬質のウロコに覆われ、先端が鋭く丈夫な爪になっていなければ。
頭は金色の羽毛で覆われており、まるで髪の毛のように見える。
耳は人間のものではない。まるで狐のように三角の耳が髪の中から立っている。
最大の特徴は眼だ。
吸い込まれるような大きな瞳はシトリンのように金色に輝いている。
そして――ひとつしかない。
顔の真ん中に、ひとつだけ大きな目玉がついているのだ。
人によっては気味悪がるかもしれないが、おれにはこれがとても美しく見えてしまった。
生まれたころの鳴き声がそんな風に聞こえたので、「ギィウィウエル」という名前をつけて、まるで自分の子どものように育ててしまった。
こうなるともう、ダチョウを潰して食肉にしたり皮革材料にするのなんか無理だ。
おれは方針転換をし、ダチョウ牧場を観光スポットとして運営することになった。
――そして17年の月日が経った。
「ギィおねーちゃん、速い速い!」
「ふん、私がこの牧場で一番速いのだ!」
ギィウィが小さな子どもを背負って芝生を走り回っている。
ゴールテープを切ると腕を組んで自慢気に胸をそらした。
遅れてダチョウに牽かれたソリがいくつかゴールラインを超えていく。
本牧場の名物、ちびっこダチョウレースである。
普通、気性の荒いダチョウはこうした用途には向かないのだが、どういうわけだがギィウィの指示だとどのダチョウも素直に従うのだ。
ひょっとして、ダチョウ語がわかるんだろうか?
ギィウィは10歳を過ぎたころから牧場の看板娘として働いてくれている。
変わったコスプレをする子どもがいるということで随分話題になったが、誰も本当に人外なのだとは考えなかったらしい。
SNSで写真が何万もシェアされているのを見たときには血の気が引いたが、いまではそれも笑える思い出だ。
ちびっ子を降ろしたギィウィがこちらに向かって歩いてくる。
本当は駆け出したいのが丸わかりの、見ていてむずむずする歩き方だ。
「どうだ、今日も1位だったぞ」
腕を組み、胸をそらし、そうしながらも徐々に頭を近づけてくる。
まったく器用だな。
「うん、ギィウィはすごい速いな。お前がこの牧場の一番だ」
ギィウィの頭を撫でてやると、引き締めた口元が緩んで変な表情になっている。
鳥類……なのかどうかそもそもわからないが、思春期というやつなのか素直に甘えず、変にクールぶろうとするのだ。
まあ、まったくできていないのだが。
「当然だ。明日も、明後日も、ずっとずっと私が牧場の一番だぞ」
ギィウィの返事を聞いて、今度は頭をクシャクシャにかき回してやった。
(了)
瘴気領域(@wantan_tabetai)




