表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/16

9

今までの更新分全部書き直しました。多分8話までが初めの方で纏まってると思います。



 愛とは何なのだろう?

 そんな哲学のような考えが浮かんでは消える。


 いじめの話をする教師の話を聞き流していると、「聞いているのですか!?」とヒステリックに叫ばれた。宵月は正直ほとんど聞いていなかったが、「思い当たるところがありませんので」とだけ言って苦笑する。

 何故だかわからないが、宵月が春陽を虐めたことになっていて首を捻る。そもそも、二人はしばらく顔を合わせてすらいない。宵月も現状に不満がないので特に他者に対する攻撃性を持ち合わせてもいなかった。



「鬼の番に手を出すなんて!」



 頭を抱える教師は宵月のことを全く信用していない様子で、それが徐々に鬱陶しく思えてくる。以前ならどこか怯えを滲ませた無表情だった宵月が全く関心を寄せていないことに女は更に腹を立てた。

 当の本人は窓の外に目をやって、「晴明さんのお迎え、まだかなぁ」と思う自分に気がついて、目をまあるくした。

 思ったよりも、自分が晴明との時間を心待ちにしているらしい、と。そのことに思い至って、ふふ、と笑う。



──その瞬間、職員室でけたたましくスマホが鳴り響いた。それに注意をしようと教師が口を開こうとすると、その端末についたストラップ。それに刻まれた家紋に気がついたのか顔色を変える。


 黙っているのをいいことに、電話に出ると「まだか?」という晴明の声が聞こえた。



「先生」


「何かしら?」


「私、番に呼ばれているのですが…」


「そ、そう。じゃあ今日はこれでいいわ」



 番、という言葉にも言葉を詰まらせた。急に態度の変わった教師を怪訝に思いながら職員室を出ると、担任が怖い顔で駆け寄ってきた。そういえば、あの女教諭は生徒からの評判が低い上に、権力を目当てに異種族の番に擦り寄っているという噂があったな、などと宵月は考える。すると彼は、「何もされていないか!?」と気遣わしげに宵月を見た。



「えーっと、この間お話しした件も多分あって、解放してもらえました」


「……そうか。君が気にならない程度のことであればいいのだが」


「ですが、姉が何かされているようですので、よければ気にかけてあげてください」


「君のお姉さんに対する対処は担任と学長に一任されている。俺が口を出すことではないよ」



 引き止めてすまなかった、と眉を下げる担任に挨拶をして、学校を出ると校門に人だかりができていた。右に春陽と鬼灯、それに目も抜けず左に晴明がいる。双方がタイプの違う美しい男であるので、非常に視線を集めた。



「思ったより遅かったな」



 晴明の差し出した手を取って、教師と話していたと伝える。ふと視線を姉のいた方へ向けた。

春陽たちはすでに消えていた。


 車に乗り込んだあと、宵月は晴明に正直にいじめ疑惑について話した。



「姉は私のことに興味がないはずですし、私もわざわざ喧嘩を売ろうとは思えません」



 不思議、と口に出した。

 晴明はそれに対して、彼女に悪意を持つ人間がいるのではと考える。宵月自体は悪い人間ではないが、人という生き物はふとした瞬間、化け物に変わることがあると長い生の中で知っていた。彼女を悪意を持つものたちから守るためにどうするか。



(大人しく閉じ込められてくれれば楽ではあるのだがな)



 晴明は、ふとそう思った自身に苦笑した。

 人族でない者にはままある傾向だ。

 神も、妖も番が見つかり、結ばれることでより強い力を得る。逆に、永遠に奪われてしまえば気力を根こそぎ奪われて無力となるか気が狂う。愛する存在であると同時に諸刃の刃なのだ。だからこそ、彼らの多くは婚姻と同時に番を閉じ込める。


 それを考えた時に晴明はふと疑問に思う。

 どうしてあの鬼は、番を外に出しているのかと。自分は番の信頼を得られるように、という理由がある。けれど、彼にそんな理由があるとは思えなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ