「 カロリーゼロ 」 で楽々億万長者異世界生活
過度なほどに煌びやかな部屋
大きく輝くシャンデリアとそれに負けない美術品の数々
一般庶民が一生働いたとしても買うことができない高価な絨毯に不釣り合いな男が立っている
「まー素晴らしい絵画だこと」
その男の正面に立つのは肥え太った中年の女
彼女が見据える先にあるのは絵画
そこにはまるで絵具を叩きつけたようなものが描かれていた
深紅のドレスに身を包み首元にも指にも大きく輝く宝石で身を飾っている。彼女はこの世界の貴族、そしてその中でも上位の権力を有しその財は自身でも正確につかめないほどに膨れ上がっている
「ワグネル様!その絵に価値はありません。絵具も額装も3流の安物です。安物の絵画を塗りつぶしその上から描いた物です!そんなゴミを購入されるなどオンアイサート家の名を汚すことです」
クロズミは感情を抑えきれずに叫んだ
彼はこの国有数の美術商でありオンアイサート家とも長い付き合いがある。その実質的な当主である女帝ワグネル・カフェインレスが無名の画家の品に興味を持ったと聞いて飛んできたのだ
「ハッ!」
安物の服を身にまとった男がクロズミの言葉を鼻で笑った
「何がおかしい!」
激高したクロズミが男を睨みつけた
「それなら聞こう!芸術とはなんだ?」
「!?」
クロズミ自身、美術商の息子として生まれその瞬間から芸術に囲まれて育ってきた。そして知識と経験を重ね今の地位を築き上げたのだ。そんな根本的な質問などされた事など無く言葉が出てこなかった
「確かにあなたが言う通りそれは安物の絵を塗りつぶして書いたものだ絵具だって安物だ。だからなんだ?芸術にそんなものは関係がない!芸術とは美だ!心を動かすものだ!芸術に必要なのはそれだけだ!」
男はクロズミより遥か高みから言葉を発した。その挙動は自信に満ち溢れており一切の揺るぎもない
「アーハッハッハッハッハ!確かにあなたの言うとおりだわ。いいわ、あなたの絵を買わせてもらうわ。おいくら?」
ワグネルは贅肉を震わせながら大笑いした後に男を見据えそう言った
「大金貨500枚です」
「「!!!」」
ワグネルとクロズミの息が止まった
それは5億Gもの大金。それは国宝級の美術品の価値を意味する
「馬鹿げてる!!このゴミにそんな価値は無い!!!」
クロズミは血管が切れんばかりに激昂した。一流の美術商として無価値なものに途方もない価値をつけることなど到底見過ごすことはできなかった
「そうおっしゃるのであれば仕方ありませんね。私は忙しい身なのでこれで失礼します」
男は踵を返しドアへと向かった
「ちょっと待って!あなたは絵画のほかにも商品を取り扱っているんでしょう?」
クロズミの眼には女帝ワグネルが慌てているように見えた。そんなこと滅多にあるはずがない。貴族の中でも上位に位置する彼女が3流芸術家に心を乱されることなどあるはずがないのだ
男は高価な絨毯の上で半身だけ振り返るとワグネルを見据えて語った
「ええ。お譲りしていますよ、神食をね」
「?」
初めて聞く言葉に首をかしげるクロズミ。この男は何を言っているんだ
「本当にあの効果があるの?」
「ええそうですよ」
ワグネルの目は真剣そのものだ
「神食は途方もなく美味であり、口にするとその日一日全く空腹感を感じないのです。そして・・・・・・・」
「そして?」
ワグネルは僅かの沈黙すら待つことが出来ず男に問いかけた
「神食はまったく太らない。ゼロカロリーです」
「太らない・・・・」
女帝は茫然と男の言葉を繰り返した
狂おしいほどに望んでやまないものだから
「ただしお譲りしているのは特別なお客様だけです」
「・・・・・・・・・・・買わせて頂くわあなたの絵画」
男の言葉は絵を買ったものだけに神食を売るという事を指していた。
初めからワグネルにとって最も欲しかったものはそれ。そのためなら金など惜しくはなかった
男は5億Gの大金を手に入れた
男の名は加賀輪胤。異世界転生した日本人でありこの異世界ではカガと名乗っている
こうしてカガは落書きとゼロカロリーで億万長者となった
修正です ゼロキロカロリー → ゼロカロリー




