断罪〈下〉
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「言い逃れしようにも先程の大勢の紳士淑女が、君の発言を聞いているからね」
ロイト達は、嫌がらせの全てがライラによるものだと、やっと信じ、自分達が間違っていたのだと項垂れた。レナードは、三人の様子にニッコリ笑うと、青い顔のライラに近づき、
ザクッ
ライラの美しいハニーブロンドの髪を持っていたナイフで切ってしまった。
「なっ!」
驚いたライラは、腕を持ち上げ、無くなった髪を探すよう動かす。
「何するの!!女性の髪を切るなんて!!」
「………」
無言で今度は、ライラの服を切り裂いた。服を切り裂かれたライラの瞳は見開かれるが、レナードは、なんの表情も浮かべていない。一同には、それが、かえって恐ろしく写る。
「これから君には最果ての修道院に行ってもらうよ」
「嫌よ!!そこってゲームだと、入ったら一生出られないし、戒律がとても厳しい所じゃない」
ざんばら髪を振り乱し、ライラは語調を強くする。修道院などに行きたくないライラは必死だ。
「そうだよ。虚言癖もあるし、酷い事をした君には相応しいだろう?」
「キョゲン?」
「虚言だよ。それから……」
ロイトの方に一足飛びで肉薄すると、強化魔法を手に纏り付かせると彼の腹部におもいっきり拳を叩き込む。その一撃で肋骨が折れ、内臓が破裂したのを拳で感じた。
「ぐぶっ」
殴られたロイトは血飛沫を撒き散らしながら後方へと吹き飛ぶと壁に減り込んだ。拳を突き出した状態から構えを解くと
「後、三回かな?」
にっこりと笑っているのに背筋には寒気が走るのを感じたケネス、ジョナサン、ライラの三人は真っ青な顔で動く事ができなかった。と、言ってもケネスとジョナサンは動きたくても動けない状態だ。
「!」
「!」
「!!」
続けて三人の腹にロイト同様に拳を叩き込んだレナードは、それはそれは清々しい笑顔になった。
「えげつないな」
まさかここまでするとは思っていなかったグレンは呆れ半分で笑っている。
「そうかい?本当だったら、三人には去勢してもらっても良かったんだよ?」
いつもの様に笑っている筈のレナードの瞳は、一切笑っていなかった。
「ウワァ、ナンテ、ヤサシインダ」
グレンは、疲れたような笑顔で頷き、去勢という言葉で男性勢がキュッと内股になった。それを面白そうに見て、ジルベルトへと歩み寄った。
「今まで悔しかったよね。愚兄だけど、王族だものね。でも、大丈夫だよ。私が、幸せにしてあげるからね」
そう言って、レナードはジルベルトの両手を取った。
「それは、ジルベルトが言う言葉ですよ!」
すかさず、ナルサスがツッコむ。それにレナードは笑顔で応え、ジルベルトは訝しげに疑問を口にする。
「え?あの…でもレナード様って…」
「レナードは、私の弟では無いぞ。男ですらないがね」
やれやれといった風情でグレンが疑問に応えてくれた。
「え?」
ジルベルトのこてりと首を傾げる仕草にレナードは、可愛いなと思いながら、そんな彼の両手に自分の手を絡めて微笑んだ。
「私は、アナベル。女なんだよ、ジルベルト。グレン王のもう一人の子供だよ」
「今まで、隠していたんだがね。どうしてもジルベルトと一緒になりたいと懇願されてね。それにロイトは、もう駄目だからね」
壁に減り込み白目で泡を吹いている四人に視線を向ける。懸命に近衛騎士達が、助け出そうとしているが、かなり難航しているようだ。ロイトとジョナサンとケネスには、強めの拳を叩き込み、ライラには、撫でる程度にした。
「どうせ、後で治癒術師を呼ぶんでしょ?放っておいて良いんじゃ無いですか」
ナルサスが、不機嫌そうに言い放ち、これから、どうやって彼等からジルベルトに対しての謝罪の言葉を引き出そうか考え始めた。
「そうだ。ジルベルト」
思い付いた、といった風にジルベルトへ言葉を掛け、自分の方へと向かせる。
「はい、何ですか?アナベル様?」
「アナベルで良いよ。寧ろ、アナと呼んでくれて構わないよ。それでね?傷痕を無くしたくないかい?」
「そうですね。誰にも見られたくないですし…」
ある程度の治癒魔法であれば、傷痕も残らずに治す事もできるが、それは完治する前でなくてはならない。完治した後にどれだけ治癒魔法をかけても傷痕が薄くなる程度しか作用しない。
「では、私が治してあげよう」
ニッコリと笑うレナード、改めアナベルはやっと愛しいジルベルトが手に入ったとよく笑う。
「アナベル様…」
「んん?」
ニコニコと笑顔で凄むアナベルに、彼女から一歩下がったジルベルトは、
「アナベ…」
「…」
笑顔で無言のアナベルと泣きそうなジルベルト。多分、勝てないのだろうとそれ以上は名前を呼ぶのは止めた。
「できるんですか?」
「アナベルは、最高クラスの治癒術師だよ。部分欠損さえも癒すよ。傷痕を無くすなんて昼飯前だよ。まぁ、属性攻撃魔法も最高クラスだけどね」
事も無げに言うグレン。それにナルサスは不思議そうに問う。
「なんで、昼飯なんですか?」
「え?まだだから?」
途端、グレンのお腹から「クキュッ」と可愛らしい音が鳴った。
「そうですね。そろそろ執務に戻らなくては、いけないですね。城に帰りましょう。お昼抜きで馬車馬の如く働いて下さい」
「え?なんでお昼抜きなの?」
「こんなに長く城抜け出した分の帳尻を合わせるには、無駄を省かないといけないでしょう?」
「私のお昼は、無駄かな!!!?」
「え?無駄じゃないですか?」
「ねぇ!!知ってる!!!人ってご飯食べないと死んじゃうんだよ!!!」
「一食抜いた位では、人は死にませんよ…ああ、睡眠も削りましょう」
「ねぇ!!知ってる!!!人って眠らないと死んじゃうんだよ!!!」
「一日眠らない位では、人は死にませんよ」
「私、この国の王様なんだよ!?覚えてるかな!?なんか、扱い酷くないかな!!?」
「え?………帰りますよ」
「え?って、何?え?って!!」
「はいはい」
「雑っ!!!!」
ギャアギャア騒ぎながら、ナルサスはグレンを羽交い締めにして引き摺りながら帰ってしまった。壁減り込み息子をそのままに。
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天使の顔の暴力悪魔は、女性でした。