表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/144

十二話 泥沼な東国状勢なんです

【非常に重要なお知らせ】

この話は、今日の19時過ぎに投稿した、同じ題名の12話を書き直した差し替え版になります。

展開ごと大幅に書き直した為、元の話との差をわかりやすくするため、別口で投稿することにしました。

まだ前の話を読んでいない方はお気を付けください。


読者の皆さんには、混乱を招くような間際らしい行為をして本当に申し訳ありません。


先ほどの十二話は作者自身も非常に納得がいかないモノであり、その後良い展開が思いついたために書き直しをすることにしました。これも良い作品を作るためなので、ご理解ください。



修正前の話を読んだ方で、変更点だけ簡単に知りたい方は、本編を読み飛ばして後書きを読んでください。


なお、修正前の作品は削除済みです。


「俺が援軍・・・ですか?」


「ああ、遠江・掛川城の今川氏真を攻めている家康から、援軍の要請があったんだ」


そう、信長様が切り出した。



突然信長様に呼び出されたかと思ったら与えられた任務・・・、それは家康殿への援軍だった。


事の発端は、武田家の駿河侵攻だった。




◇◇◇




ここで、今回の「駿河侵攻」の全貌を紹介しよう。


1568年、武田信玄は今川義元の跡継ぎ・今川氏真が治める駿河の国に侵攻した。これは史実では駿河侵攻と呼ばれる出来事である。


そもそも、今川氏真は諸説あるが、一般的な評価としては「桶狭間で敗死した父・義元の弔い合戦もせず、相次ぐ家臣の謀反も止められずに、一代で今川を滅亡させた無能」といったものだろう。

別視点から見れば「和歌や蹴鞠に通じた優れた文化人であり、様々な大名の元を転々としながらも江戸まで生きながらえた世渡り上手」と評価されている点があるのだが・・・。

どちらにせよ戦や政治に関してはからっきしである。まぁそれはいい。


この頃の今川氏真は父・義元が残した、北条・武田との同盟、通称「甲相駿三国同盟」によって守られていた。

妹の嶺松院が武田信玄の嫡男・義信に嫁ぎ、自身の元には北条氏康の娘・早川殿が嫁いでいた氏真は、その婚姻関係によって、甲斐の武田、相模の北条から身を守って生きながらえていたのだ。


しかし、海に面した領土を抑えたい武田信玄は、妻の実家である今川家との関係を尊重する嫡男・義信を幽閉し妻と離婚させ、今川との同盟を一方的に破棄した。

そして、信玄は駿河攻めを決行したのだ。


この時、信玄は始め、北条氏政に対して今川領を分割することで協力を仰ごうとしていた。

しかし、氏政の母の父が今川氏親、つまり母が今川家の出であったこともあり、北条家はこれを拒否し、今川家に加担した。

その為信玄は、過去に今川家から謀反し独立した経緯のある徳川家と密約し、協力して今川家を攻めたのだった。


今川家からは謀反する武将が相次ぎ、戦わずして今川軍は撤退。駿府城を始めとした今川勢の城は落ち、今川氏真は掛川城へ逃げこんだ・・・。


だが、それを聞いた北条氏康は、愛娘である氏真の妻・早川殿が徒歩で掛川城まで落ち延びる目に遭わされたことに大激怒。

武田との同盟を破棄し、今川の援軍として北条氏政が駿河へ向け出兵した。


この次点で「甲相駿三国同盟」は崩壊し、武田・徳川と北条・今川が対立する状況が出来上がったのだ。


しかし、欲を張った武田家は、徳川家との領地分割の密約を破って徳川領に侵攻。それにより武田と徳川の同盟関係はあっと言う間に崩壊した。

更に北条は、掛川城を囲む徳川と、武田に睨みを利かせる上杉に同盟を申し入れて武田家を孤立させる。それに対して武田家は北条家に隣接する佐竹や里見などの家を動かして北条に対抗。また足利将軍と織田に依頼して上杉と和睦。

結果として北条は氏真・早川殿の夫婦の救出に成功。武田は旧今川領の大部分を獲得するも関東状勢で孤立。

「甲相駿三国同盟」は崩れ去り、その場凌ぎと名前だけの同盟関係が乱立する泥沼の状勢が生まれてしまう。



これが史実における「駿河侵攻」の全貌である。




◇◇◇




「このまま掛川城攻略に手間取ってると、甲斐の武田信玄が追いついちまう。今の徳川軍が武田まで相手をするのは無理だろう。

それに、相模の北条氏政も出陣したって噂だ。

掛川城には氏政の従兄弟の氏真、姉の早川殿がいる。それの救援の為に出撃したという可能性もありえなくはない。

掛川城を攻め落とすにしても、和睦するにしても、のんびりはしていられない状況だろう」


と、信長様は言う。


信長様の言う通り、史実通りであれば、北条家は掛川城救援の為に進軍しており、来年春には武田軍を打ち破って掛川城に到達するはずだ。

織田家の介入が無くても、本来ならその時点で和睦となるのだが・・・、史実を知らない信長様や家康殿にはそんなことがわかるわけがないし、何より最低のケースを想定するのは大切だ。

史実通りに事が進むとも限らないしな。既にこの援軍が史実通りでないし。


仮に掛川城を落としたとして、北条が撤退するか、進軍する北条を武田が食い止めてくれるかすればいいが、そうでなくなった場合は武田か北条を迎え撃つために援軍が必要になる。

また、掛川城の攻略を諦めて武田か今川・北条と和睦する場合も、織田の後ろ盾があれば交渉もし易くなるだろう。

流石は狸。よく考えるもんだ。



「わかりました。この滝川、早急に駿河へ向かいましょう」


「おう、よろしく頼むぞ。っと、そうだ。鶴千代と奇妙も連れていけ」


「奇妙丸もですか?」



意外だな。元服までは戦場に出さない方針と言っていたのに、奇妙丸を連れていけとは・・・。



「俺の予想だが、おそらく大きな戦は起こらんだろう。家康は"待つ男"だ。慎重なアイツなら危険を背にして攻めるようなマネはせん。それならもうすぐ元服させる二人に経験を積ませようと思ってな」


「なるほど、了解しました」



流石、信長様は家康のことをよくわかっている。

"待つ男"か・・・、"鳴くまで待とう ホトトギス"の通りだな。



史実の駿河侵攻に織田家の介入は無かったはずだが、掛川城で徳川と北条が戦闘になるような事態にならなければ、史実と大きな相違が生まれる事態にはならないだろう。


それよりも・・・。



北条だよ!! やっと会えますよ!! 北条氏政!! 氏照! 氏邦に氏規! そして地黄八幡の綱成に北条五色備え!

うーん、テンション上がってくるね!!


この戦には誰が来ているんだろう? 氏政はいるよね! 綱成・・・も、居た気がする! 

うろ覚えなのが悔やまれるけど、そこは行ってのお楽しみってことでいいでしょう!!


いやー! 楽しみだ!! 早く行きたい! 早く行きたいなぁ!!



「・・・久助、どうしたよ、お前」


「ハッ!? あっ、いえ、大丈夫です。お任せください!」


「ならいいんだが・・・。まぁ気楽に行けよ。お前なら大丈夫だろう」



しっかりやってきますよ。と信長様に一礼し、俺はその場を失礼した。




さぁ、念願の北条家との対面へ!!


俺は配下に戦の準備を命じたのだった。







1568年、冬。 徳川との援軍だけど、そんなことよりも、遂に北条家と対面なのです。

【修正前との変更点】

・久助の役割

「同盟締結への使者」⇒「掛川城の戦いの徳川への援軍」


・時間

「北条と和睦する直前」⇒「武田が駿府城を落とした後」


・北条と聞いた後の久助の反応

「"史実と違う"と困惑」⇒「オタク魂が爆発し狂喜乱舞」



主にこんな感じです。

あれだけ北条家に会いたがってた久助君があんな塩反応をするのは流石に無いな・・・と思って書き直しました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ