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たてぶえ1  作者: shige
1/1

第一部

好きな女の子の縦笛を吹いちゃう。

あまりにも、青春のほとばしりで先走りなお話が、事態をあらぬ方向へと展開させる、とある学校を舞台にした非日常的のような日常的のような話が、測量士さんを軸に展開します。

第一部


(神の悪戯)

そんなつもりなかったんです。

いや、その気がなかったと言ったら嘘になるのか。

あの子の事はずっと好きでした。

何をしてても、気になってました。

そう、所謂片思いというやつです。

あの時の心境を一言で表すと、なんていうか、うーん、思い浮かばない。

だけど、咄嗟に出た言葉はあります。

もしかしたら、「スタップ細胞はあります」よりか、説得力のない言葉かもしれません。


「違う、違う、俺じゃねえよ。」


少年の未来に幸あれ。

ザーメン、否、アーメン。


(プロローグ)

マクドナルドに行きたかった。

そして、グラコロが食べたかった。

去年、そして一昨年と連敗している憎いやつだ。

だけど、何処か憎めない。

何かと言えば、口の中を火傷するという、あまりにもヘボな失敗をここ2年続けてしまっているのだ。

そして今日が、グラコロの発売日だ。

だからどうしてもグラコロを食べてやる!火傷しない!完全勝利だ!そして男になるんだ!

でも、グラコロを食べても、本当の男にはなれないのだ。

何故なら、僕は童貞なのだから。

そんな、どうでもいい事を考えていた学校の帰り道。

主人公が宿題を学校に忘れた事に気づいた事から運命が動き出す。

しかし、主人公はまだ、自分の中学生活が大きな転換期を迎えていることに気づいていない。

彼の名前は、中神伸一。

性欲真っ盛りの、中学三年生である。


(秘密君)

そして、クラスのみんなは帰って行った。

彼は、目覚めた。

何に?

いや、言い方を変えると起きたのだ。

彼は、学校に何しに来てるんだという位に、眠る。

それでいて、そこそこの成績だ。

聖蹟桜ヶ丘だ。

クラスのみんなは、彼の事を秘密君と呼んでいた。

常々思っていた。

不思議な少年なら不思議君だろ。

なんで、秘密君なんだよ。

ただ、秘密君からはミステリアスな雰囲気が漂う。

秘密めいた何かがある。

「秘密は、あります。」

多分、彼がそう言ったんだろう。

「スタップ細胞は、あります。」以上に、現実味がある。

かな?

さて、その秘密君は椅子から立ち上がると、大きく伸びをした。

そして、大きくなっていた。

おー、想像以上に大きくなっている。

とても元気だ。

秘密君の名前は、根本義男。

彼には、あだ名通りの秘密があった。

でも、その秘密はまだ誰も知らない。


(マドンナ)

クラスに必ずいる可愛い子。

もう、何をしても許しちゃう。

目が合うだけでドキドキする。

動悸、息切れ、目眩に、救心、救心。

その位心が踊る。

主人公の伸一が心を寄せる片思いの子が、その彼女。

彼女の名前は、村田良美。

バスケをやっていて、ショートカットの似合う、可愛い子だ。

背は低い。

ポジションは、ガードル。否。ガード。

そして貧乳。

でも、頭がいい。

伸一は、馬鹿。包茎。童貞。

まさに、走・攻・守揃っている。

そして小さい。

でも、そんなの関係ねえ。


(宿題)

伸一は、友達のマサオを誘ってグラコロに行く事にした。

ちなみに、マサオはあだ名。

本名は、伊藤正幸。

伊藤という名字から、当初はマンショと呼ばれ、その内に、パンチョさんと呼ばれる様になった。

どっちも気に入らない。

だから、彼は無理矢理にマサオというあだ名を流行らせた。

いや、流行らせようとした。

実際は、8割方がパンチョさんと呼ぶ。

残りは、マンショ。

可哀想だから、伸一だけはマサオと呼んでやっている。

さて、そのマサオくん。

クラス一の秀才である。

特に、数学は90点以下を取ったことがないという位の秀才ぶり。

でも、どエロ。

マサオが言うには、ある日部屋で、男の祭りを開催中に、一人でふぇらちな事が出来ないかと思いつき、勢いでんぐり返ししてしまったとさ。

しかも、その姿を二つ下の妹に見られてしまった。

で、妹からはでんぐり返しと呼ばれている。

さすがに秀才は違う。

さて、話しは変わって、伸一はマサオの部屋に行きたかった。

理由は単純。

エロ本がいっぱいあるからだ。

しかも、宿題もマサオに教えて貰える。

エロ本が見れて、宿題も出来て一石二鳥だ。

それに、伸一にはもう一つの楽しみがあった。

「ねえ、マサオの家で宿題していい?マックの帰りに寄ってくよ。」

「あー、いいけどお前この前ウチに来たときさあ、俺パンツ手にしてたろ?」

「ん?」

「あれなあ、母ちゃんのだぞ。」

「ん?」

「まあいいけど。」

「知ってた。」

「ん?」

「あれがお前の母ちゃんのだって知ってたよ。」

「ん?まあ、なんだな。とりあえずマック行こうぜ。ところで、お前教科書あるの?」

「当たり前だよ。カバンにな。ん?いや、カバンに、あれ?忘れて来ちゃったよ。」

「馬鹿だね。まあ、とりあえずマック行ってから取りに行ってウチに来ればいいじゃん。」


そのときの伸一の心境はどうだったのだろう。

友達の母さんのパンツに興味があることがばれたから、かなり焦っていたのかもしれない。


「いや、今取りに行く。マックは明日でいいや。」

この時、マックに行っていたら事態はかなり好転していたことだろう。

伸一が人生最大の危機を迎えるまであと20分と迫っている。


(3P)

「良美、スリー!」

良美は、シューターだ。

特に外からのシュートが得意だ。

あまり、ドリブルは得意な方ではない。そして、背も低い。

シュートがズバ抜けていなければ、スターターにはなれなかっただろう。

今日は、三年生としては最初の練習試合だ。

隣町にある強豪校だ。

良美のアウトサイドシュートにも、期待がかかる。

だがしかし、今日はシュートの感覚が良くない。

いつものリストバンドを教室に置いて来てしまったのだ。

シューターにとって、繊細な感覚は大切だ。

いつも当たり前に着けているリストバンドがない。

それだけでリズムが狂う。

この試合で結果を残しておけば、スターターとしての立場を保てる。

「でも、試合始まっちゃうし。」

良美は、不安が拭えないまま練習を終えて、みんな顧問の元へと集まった。


(一時間遅れ)

それは、思いもよらない言葉だった。

「試合は、一時間延長になった。各自体を冷やさない様に。」

シュートの調整しなくちゃ、と良美は思ったが、それよりもリストバンドを取りに行く事を選んだ。

今から行けば、自転車で往復40分あれば行ける。

取りに行こう。

良美は、キャプテンの美咲に伝えてすぐに自転車に向かった。

思えば、その時出ていれば伸一があの様な目に遭わずにすんだかもしれない。いや、確実に済んだろう。


(バイナリー)

バイナリーとは、二進法の事を言うらしい。

また、それが組み合わさる事により、もたらされる効果もそれにふくまれる。

例えば、単体では無害なガスでも、あるもう一つのガスと交わると、有害なものに変わる、バイナリーガスと呼ばれるものもある。

って、マイケルクライントンの小説に書いてあった。


パクりか!


それはさておき。

そう考えると、人と人がある一つの空間に巡り会うこともバイナリーというのか。

紙一重で巡り会うときもあれば、巡り会えずに終わる事もある。

自分に起きた全ての事象は、自分だけでなく他人にも影響する。

その反対も然り。

0と1しか使わない二進法だか、その単純な組み合わせが重要なんだ。

世の中は、単純に二進法の組み合わせと応用から成り立っている…


っていう、自由研究をマサオは中2の夏休みに行い、学校の先生達を驚かせた。

そのマサオはと言えば、いまは苦り切った顔をしている。

「これか。伸一が言ってたのは。」

火傷である。

流石の秀才も、熱さには叶わないらしい。

「伸一は、学校に着いたかな?どうでもいいけど、あいつ母ちゃんの下着だって知ってるって言ってたな。確信犯?ん?熟女趣味?それにしても、俺の母ちゃんだぞ。」


(秘密君のヒミツ)

秘密君が違う席に座っている。

秘密君らしくない精悍な顔つきになっている。

普段の秘密君は、ボーッとしている様な感じで、何を考えているかわからない。

その秘密君が、何やら思い詰めた感じで、ある一点を凝視している。

しかし、放課後の学校は寂しい。

そして静かだ。

「キャー、のび太さんのエッチ!」

それもしずか。

でも違う。

彼のこの時の思いもよらない行動が、色んな事を巻き込み、大波乱を起こすのだった。


(幼馴染)

良美が自転車に乗ろうとしたその時に、後ろから声をかけた人物がいる。

中村陽子。

「陽子…」

気まずい雰囲気が漂う。

「陽子、馴れ馴れしく話しかけないでくれる?」

「良美、あなたまだあの事を。」

二人はしばらく無言でいた。

一体この二人に何があったのだろう。

時間だけが無駄に過ぎて行く。

二人とも、何か言いかけてはやめ、それを暫く繰り返すうちに、良美は急いでいることに気がつき、陽子にこう言った。

「私行くから。」


考えてみると、この数分はかなりの意味をもつ。

もしも、陽子に話しかけられなければ、良美は違った光景を見ただろう。


(一人残った放課後の教室)

相変わらず秘密君は、他人の席に座っている。

「よし。」

意を決した様に、机の中から何やら取り出した。

縦笛だ。

ケースに名前がかいてある。

村田良美

それからの彼の行動を、どう説明すればいいのか。

あまりの生々しい行動は、普段の秘密君からは全く想像出来ない。

ただ、途切れ途切れに「良美」という名前を呟いている。

秘密君は良美がすきだった。

彼は、良美に告白出来ずにいた。

入学してからずっと好きだった。

彼にとって、彼女はまぶし過ぎた。

「ひつまぶし」

違う。眩しいの方だ。

だからどう良美に声をかけていいのか悩んでいた。

寝ても覚めても、良美の姿が浮かぶ。

そしてある日、音楽の時間にアルトリコーダーを吹く彼女の姿を見た時に、我慢していた思いが切れた。

そしてついに、爆発した。

今彼が行っている事はまさにレイプ近い。縦笛をレイプってピンと来ないかも知れないが、秘密君はまさに縦笛に貪りついていた。

誰もいない教室に、アルトリコーダーの音色が響く。

シュールだ。あまりにも、シュールだ。

そして、性春だ。

まさに、りっしんべんな春を秘密君は満喫していた。


(マサオの母)

「あらマサちゃんおかえり。」

「ただいま。あっ、そうだ。後で伸一が来るよ。」

「えっ?そっそうなの?あら、どうしよう。ねえ、マサちゃん、どの位に来るの?」

「わからない。学校に忘れ物取りに行ってるから。」

「あー、そうなの。ねえ、伸一君て付き合ってる子とかいるの?普段どういう子なの?」

「付き合ってる子とかいないよ…

ん?急にどうしたの?」

「いや、別に。」

えっ?これって何?

そういえば、伸一は母ちゃんに興味あるみたいだし、一体何だ?

うわっ、キモ!


(運命)

刻一刻と、運命の刻は近づいてくる。

伸一、良美、秘密君それぞれがまだ気がついていない。

神は時に残酷な審判を下す。

だが、伸一は急ぐ。

マサオのエロコレクション、宿題を教えて貰う。そして、マサオの母の下着。

色んな、事が脳裏にチラつく。

待っているのは、輝かしい未来。

恍惚の時間。

学校まで続くみちを、伸一は走った。

(第一部 完)


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