第7話 学び/特訓の時間
ホントはまだ書くつもりでしたがいつ出来るか分からなかったので区切りの良さそうなところで投稿です。
「………なるほど。まぁ仲良くなれて良かった所じゃが」
ここでレアンは一度言葉を切り、ミーシャに何か話しかけていた。
内容?俺の理解できない言語だったから分かりません。……まぁ何となくは予想できるけど。
俺は今胡座をかいて座っているんだが、その脚の上にミーシャが座っているのだ。要するに俺をイス替わりにしているのだ。
…まぁイス替わりは良いのだ、別に。ただお尻がアソコに当たって……あとは男性諸君は分かるだろう、と言うか察してください。
『さて二人とも我の話を傾聴せよ』
いつの間にかオオカミの姿に変えたレアンにそう言われた。……どうやらオオカミの姿になると俺とミーシャ、両方に分かる言語になるらしい。……もしかしたら「テレパシー」みたいなモノかも知れないけど。
『ミーシャ、今までは狼の時の身体の動かし方と人の形になるための特訓をしてきた。………未完成じゃがな』
そう言われてミーシャは顔をうつむく。………まぁあの耳と尻尾だとなぁ…。
そんなことを思っていると、今度は俺の番のようだ。
『ユウト、主は戦いとは無縁の世界で生きていた。じゃがこの世界ではそうは行かん』
耳の痛い話です…。
俺も同じようにうつむいてしまう。するとレアンは苦笑した。
『そんなにショックを受けんでも良い。我は別に説教のためにこんな話をしているのではないのだからな』
俺とミーシャは顔を上げてレアンを見た。それを見たレアンは
『さて此方に意識が向いたところで話を進めよう。ミーシャ、ユウト、主達には明日から我が出す課題を行って貰う。詳細は明日改めて伝える』
そう言った。そして言い切ったと同時に真面目な空気が霧散したのを感じた。その証拠に人型に戻った?レアンが
「さてユウト、一緒に寝るぞ!」
とかぬかしやがった。
「ぅをい!またか!またなのか!?」
「良いではないか、良いではないか」
「だからどこで覚えた!そんな言葉!」
するとミーシャが
「よいではないか、よいではないか」
「どうすんだよ!アンタの娘さんも使い出したぞ!!」
「良いではないか、良いではないか」
「良くねぇよ!!」
………結局三人で寝ることになったが一切手を出してないことを言っておく。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「起きろ、ユウト!」
「んぎゃぁあ!?」
またもダイナミックな起こし方をされた。つーか夜明け!?
「夜明けじゃねぇか!?そしてちょっと優しく起こしてください!!」
「此処は野生の世界じゃ!日の出ている時間が貴重だと自覚せい!そしてこうでもせんと主は起きんじゃろ!!」
そんな風に無理矢理起こされた俺は水場で顔を洗ったり、ミーシャに果物を分けてもらったりして時間を過ごす。
そしてオオカミの姿になったレアンの元に行き、昨日言われた課題をこなすことになった。
『さて各々の準備が整ったところで課題その1を伝える』
俺は日本語で、ミーシャはたぶんこの世界の言語で返事をした。ちなみに果物を分けてもらった時に知ったことだが、自己紹介の時に日本語をしゃべったけどそれはレアンに教わったから出来たことで普通に会話は無理らしい。
『ユウト、主はこの世界の言語を覚えてもらう。ちなみに書き取りだけは絶対にやって貰うからのぅ』
マジか…。朝から嫌いな語学をやらないといけないのか…。
そんな風に絶望に打ち萎れる俺をレアンは無視しミーシャに課題を告げる。
『ミーシャは人の形を保ったままの戦闘手段を教える。……狼の姿で戦えば良い?それが出来ん状況になった場合どうするつもりじゃ?』
そう言われてミーシャは俺と同じように打ち萎れていた。
『では開始………と言いたいがミーシャは少し待て』
そう言ったレアンは人の姿に変え俺に話し始めた。
「さてユウト悪いが」
「一人でやってくれ、だろ。それは良いんだけどさ何で書き取りだけは絶対?」
「それは午後に……と言ってもかなりいい加減な時間じゃが、教える。教材は寝床に置いてある」
「分かった」
それだけ会話を交わし俺は教材を取りに、レアンとミーシャは戦闘訓練に行った。
さってとどれどれ…………。
………………………。えっと、何だ、喜ぶべき、なのか?
日本語にかなり近かった。具体的には五十音順。
これはパターンを覚えれば大丈夫、か?………それまでは苦労しそうだけどな。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
『さてこれより課題その2を伝える』
二人が帰ってきて軽く食事をとったあとオオカミの姿になったレアンにそう告げられた。
これは余談だがミーシャはけっこうボロボロになっていた。……午後に支障が出ないか?
その答えはレアンの次の言葉によって解消された。
『二人に共通することは「魔法を覚えて貰う」と言うことじゃ』
魔法かぁ、なら大丈夫か。………え?
「魔法?魔法があるの!?」
『我の変身を何だと思ってたんじゃ?』
「考えたことも無かった」
『…まぁ良い。とにかくユウトは魔法について詳しくない、なのでミーシャはしばらく「人化」の訓練を行ってくれ』
そう言われたミーシャは一つ頷きどこかに行ってしまった。そしてレアンはまた人の形に戻り俺に付いて来るように言った。どうやら水場に行くらしい。
「何で水場?」
「大きな理由として水場で使うと我の魔法が目に見えて分かりやすいと言う事じゃ。それより魔法の説明を行うぞ」
「はいさー」
………とは言ったけど話が長かったため要約すると
・魔法は基本の火・水・風・土・聖・呪の六属性と火・水・風・土の派生八属性で成り立っている
・普通誰でも二属性の適性をもっている
・ただし戦闘で使えるレベルなのかは人それぞれ
・上記の属性のほかも例外として存在する
・基本の相性は下図のようになっている
火 ← 水
↓ 聖⇔呪 ↑
土 → 風
・ただし派生に関してはその限りではない
………とのことだ。正直に言います。
「嫌いな語学をやったばっかりで頭が回りません」
「我からは頑張れとしか言い様が無いな」
ちくせう!語学なんて嫌いだ!何で神は言語を分断したんだ!
そんな恨み言をブチブチ吐く。そんな俺を見てレアンは苦笑する。
「この世界の識字率はそこまで高くは無い、が主はそこまで馬鹿では無い。故に文字を知らんとなると悪目立ちする」
「うぇ!ヘンに目をつけられるのは嫌だな…」
「じゃろ?だからこそ文字を学ぶ必要があるのじゃ」
………理屈は分かっても嫌いなものは嫌いなんじゃい!
そんなことを思いつつ、気がつくと水場についていた。
「……で何を見せてくれんの?」
「少し待て……『我が求めしは停滞する青き力、我が右手に触れる物を凍てつかせよ』」
詠唱らしき言葉をつぶやいたあと、水に触れると
パキパキパキパキパキパキ………。
「………すっげー」
水面に薄い膜を張った氷があった。
「ふぅ…。どうじゃ?中々の物じゃろ?」
「比較対象が無いから何とも言えない」
「…そう言えばそうじゃったな」
けど感動したことははっきり伝えた。その言葉に気を良くしたのかせっかくなのでやってみようと言う話になった。
「『我が求めしは停滞する青き力、我が右手に触れる物を凍てつかせよ』!」
水に触れてみる。
………………。
「そ、そう落ち込むな。他の属性だったら使えるかもしれんからのぅ」
「あ、うん、ありがとう。…う~ん」
「どうした?」
う~ん…。他に言いようがないもんかなぁ?
そう思ったが他に言いようがないので言うしかなかった。
「なんつーか…夜の営みを終えたあとのような感じが…」
「あぁ、成る程。…そしたら適性は在る様じゃの」
どうやらこの感覚は体内の魔力が抜けたことを意味しているらしい。間違ってると、この感覚はないらしいからな。
でもさ…。
「適性が分かっても使えなきゃ意味ないだろ」
「…起動するイメージが在るか?それが無いと魔法は使えないぞ」
「先に言ってくれよ…」
イメージか…。イメージ、イメージ。………よし。
俺は水に触れて唱える。
「もう一度!『我が求めしは停滞する青き力、我が右手に触れる物を凍てつかせよ』!」
ガシャァァァアアアアン!!!!!
「……………」
「……………」
み、水場が………完全に凍りました。
それと同時に俺らの身体も凍りつきました。もちろん別の意味で。




