第5話 変化の原因
「………あのさ」
「………なんじゃ?」
「何で道端に果物が『置いて』あるのかな?」
「…我の娘がやったのじゃろう、きっと」
「知識の宝庫」に向かう途中、メシをどうするか考えて歩いていると果物が「置いて」あった。
「置いて」を強調したのは果物の下に大きな葉が敷いてあるからだ。しかも果物は水で洗ったように見えるし…。まぁ、せっかく用意してくれたんだし…。
「もらっておくかな。…レアン」
「…早く会わせろ、じゃろ?」
「良くお分かりで」
そんなことを言いながら感謝を持っておいしくいただきました。ちなみにモモ(リンゴ)だった。
食べながら向かう途中、気になったことを聞いてみることにした。
「ムシャムシャ…ンム!あのさレアン」
「何じゃ?」
「前にさ、食べながらしゃべった俺を叱ったことがあったじゃん」
「あぁ、それがどうかしたか?」
何か普通に返してるけどそれが変なんだよな。
「文明人っぽいんだよな。……いまさら気付いたって感じなんだけど」
「まぁ人間と共に暮らしていた時期があったからのぅ…」
その言葉は何かを懐かしんでおり、悲しんでいるように感じた。だから俺は
「そうか」
それ以上聞くのは止めておいた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「知識の宝庫」に到着した。……のだが
「どうすんだよ?」
「何がじゃ?」
何がじゃねぇよ。
「言い伝えのことだよ」
「……あぁ、アレのことか?大丈夫じゃ、あの言い伝えは前提に『欲する者を白き狼が導く』と言うのがあってな」
「……じゃあ前回オオカミの姿は」
「言い伝えに則って行っただけじゃ」
今は人の姿をしてるから問題無いってことか…。
「それってヘリクツなんじゃ…」
「言い伝えの穴を逃れておるのだから問題無い!」
「だからそれをヘリクツ……まぁいいや」
言っても聞かなそうだし…。
そんな話をして遺跡の中に入った。
ヤコウタケの目印に従って進んで行く。そして強烈な光が目に入り、目を細める。そして
「ふむ…。此処に来るのも何時以来かのぅ…」
到着した、巨大な図書館「知識の宝庫」に。
「………ん?」
「どうした?」
「何か変な感じがする…」
「そうか?我には何も感じないがな」
何でだ?何か違和感を感じる…。
何気なく本棚に近づくとその違和感の正体がはっきりした。
「…全部『日本語』だ」
「何を言っておる、我には色んな言語の本が在るようにしか見えんぞ」
「何ですと?」
でも言ってることは理解できる。この棚は俺も一度確認したからだ、………けど
「やっぱり俺には全部『日本語』に見える」
「…そうか。もしかしたら変化した瞳の影響かもしれんな」
それは俺も思った。英語が出来ないとは言ったけどそれでも全くじゃない。だからこそ言えるんだけど翻訳してるのは全く違うのだ。
そんなことを考え、話しながら進んで行くと不意にレアンが
「……おい、さらに奥に進むのか?」
と言ってきた。
「うん、もうちょい奥」
「…何故変化したか、原因を察したぞ」
その会話を最後に進んで行くと目的の本棚に到着した。
「ここだな」
「…やはりか。ユウトこの棚の側面に書いてある文字を音読せい。今の主だったら読めるんじゃろ?」
「はいよ~。…うん、読めるね。え~『禁書棚に付き読むことを禁ずる』」
………え?これってつまり…。
「自業自得じゃ、全く足を運んで損したわ」
「……………」
「ん?どうした、ユウト」
「…しばらく放置してください」
そう言って俺は外に出ることにした。ぶっ倒れるにしてもここは埃っぽいからな。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「…やっと戻って来たか」
「呆れ顔をしないでくれ。ついさっき立ち直ったばっかなんだから」
そんなことを愚痴りながらレアンの元に歩いていく。目のことについては諦めることにした。…と言うよりこれはこれで便利だしな。
「主が読んだのはコレか?」
「…うん間違い無い。それだ」
レアンが見せた本は俺が読んだ本だった。どうやら探してくれたらしい。
「これが何か知っておるか?」
「ん?知らないの?」
「知ってる訳がなかろう。禁書に関しては我は一切触れたことすら無いからな」
…ん?アレ?
「じゃあ何で見つけることが出来たんだ?」
「床に落ちていたからな。簡単に見当が付いたよ」
俺の見当は違っていた。しかし…。
「分かんないか…」
「分からんなぁ…」
そんなことを言いながら禁書が穴が開くんじゃないかってぐらい見る。
…こんなことしても意味な……ん?何だ?…ッ!?
「イテテテ!」
「どうしたユウト!?」
「いや、大丈夫、だ…」
「強がるな、顔色が悪い!」
そう言って俺はレアンに担がれて帰ることになった。
男として悲しくなりました。まる。
活動報告で詳しい事情を書きますが8/17まで更新停止です。




