第30話 訪れた根無し草 後編
ドカンッ!!
「なっ!なななn」
「何事でしょう…?」
「何で落ち着いてんの!?」
「良くあった事ですから」
お前本当に何があったんだ…。
思考が完全に脱線したが、それを戻したのは
「おっじゃましまーーーすっ!!!」
という叫び声だった。一人は黒髪黒眼の日本人―――断言したのは見慣れていたからだ―――の男と金髪碧眼の容姿が整った…訂正、たぶん10人が10人振り返るだろう容姿をした美少女がいた。
………ていうか
「超うる…」
「黙れバカッ!!」
「あべしっ!」
…何?このコント?
そう思ったのがどうやら口に出ていたようで
「それを言ってやるな…。言われる側は少し、いや結構辛いぞ」
と刀華に窘められた。
「おかえり。それは実体験ですか?」
「ただいま。昔、彼女の位置にいたのはわっちだからな」
「苦労してますね」
「…今更だし、今と比べれば随分マシさ」
うわ~…、遠い目をして黄昏てるよ…。そっとしておこう…。
そう決めて俺は、相変わらずコントをしている二人に話しかけた。
「…あの~」
「あっ、え~っと…」
「誰だいチミは?」
「『南海優人』、一応ここの家主」
「私の名は『リアべル・ディルアーブ』です。気軽に『ベル』と御呼び下さい」
俺とベルは初対面だったので自己紹介をした。ちなみにミーシャと刀華は知り合いだったので自己紹介はは無かった。その代わりにあいさつを交わしていた。
「ひさしぶり~。元気そうだね」
「このダメ親父相手にしてると、弱ってらんないわよ」
「このダメ男の世話係の前任として苦労を察するぞ」
「おい!誰かフォローを!」
「「するか!!」」
「ゴメン。わたしもできない」
「超アウェイ!?」
…アウェイはこっちだよ。
話を修正するために声をかける。
「そんであんたらは?」
「あたしは『アリス』。一応このダメ男の娘です」
「ダメ男ゆーなっ!オレッチは『紀陸雅斗』よろしくぅ!」
…ん?娘?
俺は何となくアリスに尋ねてみた。
「よろしく。…んでアリス、だっけ?本名は『紀陸アリス』なのか?」
「あ~…。それが全く違うのよ」
「違う?よろしければ教えていただいても?」
「良いわよ。あたしの正式名称は『試作型多目的式人型戦闘兵器ALC』。俗的に『ろぼっと』ってヤツね」
「何ですか?その、ろ、『ろぼっと』とは」
「…キリク、相変わらず好き勝手やってるな。今世に合わない物を好きに作って」
「だから自重しろと?それしたらオレッチらしくないっだろうがッ!!」
「…全く」
「マサ、相変わらずだね~」
あぁ、何となく性格を察した。
このままだと雑談に入りそうなので俺が質問する。
「んで紀陸親娘、何しに来た」
「母さんに会いに来たんだって。…わたしが案内するよ」
「良いのかミーシャ?」
「うん、任せて!」
そう言ってミーシャは紀陸親娘を連れて部屋を出た。
「…大丈夫なのか?」
「心配するほど弱くないよ、ミーシャは」
「私もそう思います。彼女はとても強いです」
「…二人は過信しすぎだと思うが?」
「それは神のみぞ知る、だな。さて俺は部屋に戻るかな。………あ、ドアどうしよう?」
「雅斗に直させておくから気にするな」
「あぁそう」
そう言って俺は自室に戻った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ね、ねこじゃらしはどこだ!!………アレ?」
………どうやら寝てたようだ。しかも背もたれにもたれながら。………良くこんな格好で寝れたな、俺。
自分に対し何とも言えない複雑な感情を感じながら伸びをして一言つぶやく。
「何で『ねこじゃらし』なんて言ったんだろ?」
「いやオレッチに聞かれても…」
「だよなぁ………ん?」
思わず返事をしてしまったが何でこの部屋にいるんだ?
そう思い聞く事にした。
「何でこの部屋にいるんですか紀陸さん!」
「丁寧口調じゃなくて良いぞ。それとここにいる理由は、まぁ様子を見て来いって言われて」
「で、生きてて良かったなと。そしてパシリご苦労!」
「パシリ言うな!良い事教えてやろうと思ったのに」
「良いこと?」
俺が興味を引いたことに気付いたのかキリクは
「知りたい?知りたいか?卑しい奴め」
とのたまったので
「結構です」
と断っておいた。
「え、ちょ!?聞いてよ!?」
「何だお前、かまってちゃんか?メンドクサイ。良いよ話さなくて」
「ごめんなさい。おねがいですからきいてください」
「よろしい。話せ」
「へへ~」
まったくホントにメンドクサイ…。
「オレッチが話したいのはテーブルの上にある服と指輪のことだ」
そう言ってキリクはさっきまで作っていた服とベルを救い出すときに着けていた指輪を指差した。
「アレ、普通の服と指輪じゃないだろ。魔法が込められてる」
「分かるのか?」
「当然!オレッチがもらったチートは生産系だからな!」
三人目!?マジでか…。
俺は驚きつつ質問をした。
「じゃあ妙にいくつか文化が進んだのは…」
「あ、それオレッチがやった」
「アリスは確かロボット…」
「それもオレッチが」
………もう、深く考えるのはやめた方が良いな。
そう決めて話を進めるように促す。
「ハァ…。で、何が言いたいんだ」
「この作りじゃすぐにダメになる。良く出来てるけどな」
「批評かよ」
「ホメただろうっが!服を貸せ!」
「嫌だ!やるなら指輪にしろ!そっちならもう使わないから!」
「じゃあ遠慮なく」
そう言ってキリクは躊躇なく指輪を手に取る。そして注視し始めた。どうやら魔法の種類を調べているらしい。その証拠なのか瞳…というより眼球が変化していた。
生物の目じゃねぇよ、アレ。
「…何だこれ?見たことない魔法だな」
「あぁそれ『古代魔法』とか言う魔法。某青いタヌキの『四次元ポケット』に似た魔法が込めてる」
「そんなんあったんかい!?」
「知らないの?」
「知らねぇよ!専門外だし!」
そんなことを話していると
コンコンッ!
とノックされた。
「…アリスです。こら!いつまで話し込んでるつもり!!」
「げっ!い、いやこいつが何か面白いもん作ってるから…」
「問答無用!…優人さん、中に入るよ」
アリスはそう断りを入れて入室する。そしてキリクの耳を引っ張る。
「あだだだだ!!!」
「ほらさっさと出る!それと優人さん」
「はい何でしょ?」
「ベルさんから伝言。『夜食が必要ならば御呼び下さい』だって」
「………夜食?夕食じゃなくて?」
「もう夜遅いですよ」
…わぉ。そんなに寝てたんだ。
「ではお休みなさい」
「出るから!耳離せ!痛い!それとユウユウ!指輪明日には返すから!」
「え~っと…おやすみ」
「あとも一個!俺らも旅について行くから!」
「は!?」
返事をすると二人は出て行った。
しかし「ユウユウ」って。猫の名前じゃないんだから。それに付いて来るって…。
そう思いつつ俺も部屋を出た。
それとこれは余談だが、キリクに持って行かれた指輪は翌日返された。しかも俺が手を加えた物より良く出来てた。専門外だが何か、悔しかったとです。しかも気付いたらナイフも改造れてたし…。
ハァ…。
一区切りついたのでしばらくこっちは休みます。




