第23話 悪夢の果て
遅くなってすみません…。
「ヒヒッ!坊主、金銀財宝は欲しく…」
「いらねぇよ!馬のクソなんて!!」
俺は目の前にいる人…じゃない、悪魔にそう言い捨てた。するとお約束通り周りの景色が歪んで落ちていく。これで5回目、あと2回だな。
落ちる
おちる
オチル
!?光だ…。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「う、ぐぇ…」
少し、身体が痛い…。しかも…。
「ゴ、ゴホッゴホッ!」
ホコリくせぇ…。あ゛~クソ!吐き気がしてきた…。さっさと捜すか。
そう決めて俺は身体を起こし、目的の人を探すことにした。
「しっかしとんでもないとこだな!」
まさか閉じ込め、悪夢に堕とす異界だったとは…。だけど感覚的な話だが、どうもこの異界…未完成らしい。と言うのもさっき5回目で終わったことが関係している。
なぜならこの異界は「7つの大罪」が関係しているからだ。ちょっと振り返ろう。
一つ目は「色欲」。女になった時はホントに驚いた。鏡が無かったから顔は分からなかったけど見てみたかったな…。
2つ目は「暴食」、いや「食欲」だっけ?………まぁどっちでもいいや。今にして思えばあのまま食べ続ければブタになってたんだな。…コワイネ。
3つ目は「怠惰」。水平線まで布団で埋め尽くされてたな…。しかも、ものっそい寝心地が良い。レアンの強制起床法が無かったら墜ちてたな。レアンの強制起床法、娘のミーシャにも継がれてるんだよな。普通に起こしてほしいと思う今日この頃。
4つ目は「憤怒」。この時に気付き始めたな、確か。俺は学校にいて、色んな奴に罵詈雑言を浴びせられた。どんな対応したか?死んだ目をして聞き流した。学校を出たら周りが融けて落ちて行ったな。
5つ目は「強欲」。ここが最後だ。………いや「だった」が正しいか。そして完全に「7つの大罪」が関わっていることに気付いた場所だ。気付いた理由は俺が会話した相手。そいつの名前は「マモン」。「地獄の守銭奴」と呼ばれる者。………そして7つの大罪の一つ、この「強欲」を代表する悪魔だ。
さて、この時点で分かるだろうが、あと2つ抜けている。「傲慢」「嫉妬」の二つだ。もし完成していたなら、あと2つ経験していただろう。だからこそ俺は未完成と判断した、と言うわけだ。
そんな考察をしながら奥に進んで行くと最奥の牢に着いた。牢は錆びた様子が無く、いくつもの錠が付いており厳重に閉じられているようだった。
………これも中途半端に異界化した影響か?…まぁ良いや。さて開けるために…
「魔法!………は使えないんだったな。したらば…」
俺は身に着けていた投擲用ナイフの一つ―――「種類」じゃなく「本数」って意味な。まぁ数種類持っているが―――を取り出し、刃を錠に当てる。本来なら意味の無い行動だが、
カランッ!カランッ!カランッ!カランッ!
ギイイイィィィ…
当てた刃が錠を切り、地面に落ちた。そして厳重に閉じていた牢の入り口を簡単に開いた。
投擲用だからこんな使い方じゃないんだがなぁ…。
そんなことを考えつつ
「失礼しまーす…」
俺は牢の中に入る。そして目的の人物を見つけた。
金茶色のメッシュが入った茶髪
燕尾服に似た服装
そして顔を半分隠している仮面
聞いてた外見とほぼ一致している。「彼」がそうだろう。
俺はそう判断して、「彼」の身体を縛ってる鎖を切る。
………てか身長低いな、コイツ!
「…貴方は?」
「あんたのヒーロー、ってとこだな」
俺はそう答えて、自分の手を影に触れる。すると
ズププププ…
と、手が影に沈んで行く。
「!ま、ほう…」
「えっと、どれだ…?」
手探りで探していると目的の物に触れ、それを引っ張り出す。
「パンと、水…」
「ほれ、たんと食いなせぇ」
「彼」はそれを受け取るとすごい勢いで食べ始める。
「ッ!ゴ、ゴホゴホッ!」
「慌てて食わなくてもメシは逃げんよ」
俺は背中を擦ってやる。
………え?
「有難う御座います。助かりました」
「……………」
「あの…」
「あ!あぁすまん!」
気のせい、だよな?隠してあるのに「女性の顔」に見えたなんて…。
気を取り直し、自己紹介をする。
「俺は『南海優人』だ」
「私は『リアべル・ディルアーブ』と申します」
これが俺と「リアべル・ディルアーブ」、愛称「ベル」との出会いだ。
次話は年明けになりそうです。なのでここでご挨拶!
あと数えるほどしか無いけれど、良いお年を!




