第20話 本当の実力
二話更新なので一話分戻るのを推奨!
「あぁ…身体がフラフラする…」
「だ、大丈夫か?」
「大丈夫に見えるのか……?」
「す、すみませんでした…」
俺と刀華は異界「死屍累々の廃村」を出てレアンの眠る森に向かっていた。
あのあとホントに大変だった。色々と…。とりあえず口に出すのはアレだから一言だけ。
脱いだら色々とすごかったです。
「とりあえず、まともな食事をしてないのがマズイな」
「水でふやかした物だったからな…。わっちが食べなくても良いのがせめてもの救いか」
「…ホントに大丈夫なのか?」
「今のわっちにとって『食事』は嗜好品の意味合いが強いからなぁ」
そんなことを話しながら歩いていると魔物に遭遇した。
「白狼だな。数は8匹か」
「あ~…。こんな調子の悪い時に…」
「主殿は下がってくれ。ここはわっちが」
「主言うな!…で良いの?」
「まぁ、調子悪いのわっちのせいだし…」
ここで無理に言っても平行線になりそうだな。そう思った俺は素直に頼むことにした。ちなみにゾンビはいない。今は太陽が出てるし、当然だ、が………アレ?じゃあ刀華は?
……………考えるのやめよう。調べるにしたって瞳を使うのはアホらしいし…。
そう決めて俺は身を守るために魔法の詠唱を始める。
「んじゃ頼むわ。俺、引きこもってるから」
「ひ、引きこもる…?」
「まぁ、あとはよろしく。『我が求めしは白の力、戦乙女よ我に汝の盾を貸したまえ』―――戦乙女の神楯―――」
詠唱が終わると蛇の意匠をした球体(半透明)の中に俺はいた。うん、成功だ。
戦乙女の神楯は俺が使える魔法の中で最も堅牢な防御魔法だ。全方向からの攻撃を守れるからな。ただし欠点として使用者しか守れないこと、再使用には使用時間×5のインターバルがあることがある。「再使用のインターバル?そんなもんやめる事無く使っていれば良いだけだろ!」と思った人。甘いです。こんなトンデモ魔法ずっと使えること無いでしょ。戦乙女の神楯自体燃費が良くないから俺でも後先考えずに使うなら15分が限界だ。先のことを考えると1分ぐらいだろうな。
まぁ今回は魔力全部使って戦乙女の神楯の中で引きこもって観戦しよう。
「引きこもるってそういう意味か…」
「ジト目はいいからサッサ倒してくれ」
「分かったよ。憑依『イザナミ』!」
何故か刀華は日本神話の神の名を叫ぶ。すると突然閃光が発生した。思わず目を閉じる。しばらくして目を開けるとそこには帯電している刀を持った刀華がいた。
「何その刀!?カッコイイんだけど!」
「か、かっこいい…?ま、まぁ嬉しそうで良かったよ」
そう言って刀華は苦笑した。男はみんなこんなもんだろ、きっと。
刀華は構えを取ると帯電していた刀が光を放ち始めた。そしてその刀を振るうと
「は?え?どうなったの??」
全ての魔物は斬られていた。完全に分断されているモノから切り傷があるもの、さらにはなぜか肉の焼ける臭い―――もちろん良い意味では無い―――がする。わけがわからないよ…。
「七連雷閃、っと………少し腕が落ちたか」
「え!?アレで!?」
ありえね~…。てかどうなったの?
俺は戦乙女の神楯を解いて刀華に近づく。そしてさっきのことを聞くことにした。
「刀華、今の何?」
「ん~、神降ろし、かな」
「…イタコみたいなやつ?」
「イタコ…か。うん、それが一番しっくりくるな」
刀について聞いたら普通の物ではないらしい。………というか刀の形をしていたのはその方が使いやすいからであり最大8つの刃物(形状問わず)をにすることが出来るらしい。まぁ帯電してる時点で普通じゃないのは分かってるが。
さっきの技は帯電したワイヤーを7つ飛ばしたものらしい。………「と○る」の堕天使エロメイドかよ…。
「あの時は本気じゃ無かったってか…」
「何か言ったか?」
「んにゃ、何にも」
他の魔人もこんなだとあーだこーだ言って手を抜いたら死ぬな、間違い無く。
本気でそう思いつつ俺たちは森に向かうため歩き出した。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「スゥ…スゥ…スゥ…」
「良く寝てるな…」
「ここ数日もこんな感じ?」
「そうだな」
森に帰って来て数日後、色々あった。…ホントに。おかげでミーシャの看病を任せっきりになってしまった…。
まず初めに森の中に家が出来た。場所は元々棲家にしていた近くだ。どこにでもあるログハウスだがこれで雨や雪の心配が無くなった。暖炉もあるから冬も安心だ。…すぐ使いそうだけど。
次にこの森に魔物が棲み始めた。と言うのも今までの棲んでいなかったのがおかしかったのだ。何でも魔人には同族―――ミーシャなら獣系、刀華なら不死系―――の魔物が集まりやすいフェロモンのようなものがあるらしい。が、レアンはどうもフェロモンのようなものがかなり薄いらしくこの森に来ることは無かった。………が、ミーシャは違ったらしく森がとんでもないことになっていた、主に勢力争い的な意味で。もうその処理が大変で大変で…。あとはミーシャに何とかしてもらいたい。俺はもう疲れた…。
「顔が社会に揉まれたサラリーマンのようになっているぞ…」
「そりゃ色々走り回っていたからな。時間があったら古い魔法の復元とかもしてたし」
「…顔ぐらい見せに来い。ミーシャが悲しんでいたぞ」
「すみません」
家庭を顧みないお父さんみたいなことを言われた。まぁ仕方ないんだけど。
「それで今後はどうするんだ?」
「刀華には森に残ってもらって俺一人でラスペルに行こうと思う」
ミーシャのリハビリもあるため刀華にはそのサポートに回ってもらう、って意味で言った。
………が、俺は地雷を踏んでいたことに気付いた。理由?それは
「優人、そこに正座しろ」
「…あの?」
刀華のこめかみがピクピク動いていたからだ。要するに非常に怒っているようだった。
「 正 座 し ろ 」
「はい…」
おかげで説教+足のしびれという嫌なコンボを食らいました。…自業自得なんだけど。
もう一つの小説を進めたいのでこちらはしばらくの間更新速度が遅くなります。




