風俗行ったら反抗期の娘が出てきたので。
こちらHHMD=風俗(H)行ったら反抗期(H)の娘(M)が出て(D)きたので。の略、試作版です。
主人公や娘の名前などを変更、シーン追加をする場合があります。
どんなに真面目な人間でも、人に言えない趣味のひとつやふたつあるだろう?
厳格な父親として、また尊敬できる上司として、会社の部下や周囲の人間から慕われている俺もまた、決して人に言えない月に一度の趣味がある。
それは、風俗だ。
「課長、給料も入った華金ですし、この後軽く一杯ひっかけていきませんか」
「悪い。今夜は大事な用事があってな」
「えー、さっそく家族サービスっすか」
「奥さんと娘さんが羨ましいー」
「ホント憧れます~。うちの主人にも見習わせたいくらい」
「ははは。じゃあお疲れさん」
羨望の熱い眼差しを背中に浴びながら、大事な用事を完遂するために俺は颯爽とオフィスを後にする。
(家族サービス? バカ言え。部下は勝手に俺の理想像を創り上げているだけだ)
そう。現実はいつだってフィクションの斜め上を行くものなのだ。
◇◆◇
まばゆいネオン街の雑踏をすり抜け、曲がりくねった裏路地を通り抜けた先にひっそりと佇む雑居ビル三階奥のとある一室。
もしここが隠れ家的なバーであったなら、堂々と口外できる趣味かもしれない。
ソープランド快楽くらぶラブまみれ。
ドアに立てかけられた小さな看板に書かれている、ゆるくて可愛い女子フォントに俺は思わず口元を緩めてしまう。
こんなだらしない顔、決して部下には見せられない。見せられないから、そそくさとノブを握り誰の目も届かない秘密の空間へと足を踏み入れなくてはならないのだ。
ムン……。
入室と同時に出迎えるのは、自宅では決して味わえない蠱惑的な香り。
これから始まることを暗に示す妖しいピンクアロマ。
幾度となく通っているにもかかわらず、この匂いを嗅いだとたん、胸が躍る。童心に返ったように心を弾ませてしまう。
「ノブオですが、ぷりんちゃん、お願いします」
給料が振り込まれた月末、家に入れるお金をすべて払い終わった後、遊興費として妻から手渡される通称「おこづかい」を用いて行うイケナイ火遊び。
不適切な行為や行動は、悪いことをしていると言う自覚があるからこそ余計に燃えると言うもの――。
『さっそく家族サービスですか課長』
ふと、頭をよぎる部下の言葉。
(ハッ。今のご時世、家族サービスと言う言葉自体が古いんだよ。そうだな。現代流に言うなら、頑張った自分へのご褒美と言ったところか)
一人娘もそれなりに成長し、夫婦の夜の営みも一段落を迎えた倦怠期。
恥ずかしながら、俺も男だ。疲れやストレスに加え、アレとかコレとか溜まることがある。
妻では決して着てくれない衣装、妻では決して言ってくれないセリフ、妻では決してできないプレイ……。
そんな男の欲望を叶えてくれる夢のパラダイスこそ、快楽くらぶラブまみれなのだ。
「えっ? 本当ですか」
しかし、今夜は想定外のことが起こった。
受付スタッフによると、俺が贔屓にしている推しの嬢ぷりんちゃんが体調不良で休みだと言う。
「代わりの女の子でしたらご用意できます。ただし、新人の子ですが」
「新人か」
ぷりんちゃんとの付き合いは長い。
(夜職において安易な指名替えはタブー……)
一度指名したお気に入りの嬢をコロコロ変えるような男は、得てして信頼関係が薄れやすいのだ。
現に先月も指名がダブルブッキングしたときは俺の指名を優先してくれた、金髪ロング清楚系Gカップ爆乳おっぱい天使ぷりんちゃん。
俺は俺でクソ真面目な性格かもしれないが、ぷりんちゃんはぷりんちゃんで風俗嬢としてのプロ根性を持った女の子なのだ。
だからこそ、本当は出直さなきゃいけない。日を改めて来店しなければならない。
それが唯一俺にできる彼女への誠意なのだから――。
と、カッコよく決めてはみたものの。
今は誠意よりも性意が勝っているのもまた事実。
(ぷりんちゃんには申し訳ないが、ここは男のサガってものを優先させてもらうぜ)
ま、本当は家族に対して今夜は飲み会で遅くなる旨を事前に伝えているからなんだけども。
早く帰れば逆に怪しまれるし、帰ったところで別段やることがない仕事人間はこういうときに不利だと思う。
独りで飲みに行ってもいいんだが、部下の誘いを断ってしまった手前、飲み屋で偶然部下と鉢合わせたらそれはそれで気まずいし、なおかつイメージダウンも免れない。
だから時間を潰す意味でも、ここは新人ちゃんの初々しいサービスを受けることが正解であり、最適解なのだ。
「お待たせしました~♪」
「おっ」
そう。正解であり最適解――。
「新人のまろんちゃんでぇ~~~~~~~~す♪ ご指名ありがとうございまぁ~~~~す♥」
と、思っていた。
「って!」
「え!?」
しかしこのとき俺は、童貞を殺すセーター姿で目の前に現れた栗色ロングヘアのハイテンション嬢とまったく同じ表情で、しかもまったく同じリアクションで相まみえる。
よくよく考えれば当然だ。
だって、俺と彼女は――。
「パパ!!!!」
「文香!!!」
実の娘と風俗店でバッタリ。しかも客と店員と言う立場で。
こんなことってあってたまるものかよ!
幸か不幸か。はたまた奇跡か絶望か。つくづく、現実はいつだってフィクションの斜め上を行くものなのである――。
◇◆◇
「なんだこの成績は! ちゃんと勉強してるのか!」
「してるよ」
「最近たるんでるぞ。塾代も馬鹿にならないんだ。いいか、俺がお前くらいの歳の頃はな……」
「分かってるってば、うるさいなぁ!」
「お、おい。まだ話は終わって――」
栗山文香は現在思春期&反抗期真っ盛りのああ言えばfor youな小生意気JKである。
性格は明るく素直で天真爛漫。少々ヤンチャが目に余るが、それこそ目に入れても痛くないほど可愛かった。物心がつく前は。
(中学生に上がるまでは毎年、俺の誕生日に欠かさず手紙や手作りのプレゼントを用意してくれたものなのに……)
都内有数の進学女子校へと上がり、途端に勉強が難しくなると周りについていけなくなったのか次第に塞ぎ込むようになっていった。
親切心で塾へと通わせたのも悪手だった。
マトモに通うのは三回に一回程度で、後はゲーセンに入り浸っていたり、コンビニでたむろして時間を潰してから帰宅する、と一部始終を目撃していた塾の講師から聞いた。
年頃の娘なんてどこの家庭もそんなものだと自分に言い聞かせているものの、いつか不良や悪い友達にそそのかされてしまうのではないかと内心心配しっぱなしであったのは言うまでもない。
そういう意味でも、ラブまみれでの時間は日常の悩みや不安を忘れ、思う存分現実逃避できる秘密の隠れ家――のはずだったのに。
「で、どういうことなのよパパ」
「……う」
父娘であることを周りに悟られぬよう、俺たちは用意された個室へとしけこんだ。
栗色のウィッグを乱暴に外し足を組みながらベッドにドッカリと腰かけ、さらには腕を組んで、おまけに眉間にシワを寄せて詰問する文香に、俺は真正面から目を合わせられなかった。
「とりあえず隣、座れば」
「あ、ああ」
本来なら、場所が場所だけに「こんなところで何をしているんだ!」と開口一番怒鳴りつけるべきだろう。父親として。
だが、今夜に限っては「こんなところで何をしてるのよ」と逆に娘から冷ややかに糾弾されている。
しかも俺がここを利用するのが初めてではなく常連客であることも、予め店の従業員からも聞かされていたと言うのだから余計に肩身が狭い。
「それにしても、ノブオとかダサい偽名まで使っちゃってさ。ウケる」
「お前だって同じじゃないか。まろんちゃんなんてふざけた源氏名使って! 栗色のウィッグかぶってるだけにまろんちゃんってか!? ダジャレじゃないか」
「さすがに本名はマズいでしょ。歳だってサバ読んでるし」
「歳……ハッ!」
そう言えば、文香はまだ十〇歳になったばかりだ。風俗で働くには最低でも十〇歳になっていなければならない。
もしこのことがおおやけになれば、文香本人はもちろんのこと、ラブまみれも、そして俺も無傷では済まされない。
大々的にニュースとなり、会社からの信頼も家族からの信用も失い、芋づる式のバッドエンド。考えただけでゾッとする。
でも、黙っていれば、内緒にさえすれば話は別――。
「パパが黙っていれば済む話だから……ね?」
これも父娘としての特権なのか。
俺の思っていることをそれとなく察してくれる文香。
「う、うん」
ただ、彼女の言う黙っていればは俺が風俗に通っていた事実のことを指すのか、それとも文香自身の年齢詐称の件を指すのかは定かではないが、とりあえず頷いておくことにする。
(それにしても……)
頷きがてらに文香の全身を観察すると、改めてとんでもないカッコウをしていることに気付く。
「なんだよそのセーター。十〇歳が着ていいレベルの露出じゃないぞ」
まじまじと見たのは何年ぶりだろうか。
妻の遺伝子を色濃く継いだバツグンのスタイルと、腕を組むことでこれでもかと強調される妻に負けずとも劣らない脅威の胸囲――。
(一緒に風呂に入っていた頃はまな板だったのに、いつの間にこんなに育ったんだ? コイツ……)
娘の成長が喜ばしいは親としては当然の思考。
とは言え、未だJKでこの育ちっぷりでは数年後はどれほどのムチムチボディになっているのだろうか? と別の意味でも楽しみ……いや、恐ろしくもあるわけで。
「え? 男のヒトってこういうカッコが好きだって聞いたけど?」
「ま、まぁ嫌いじゃないな」
「ふうん」
むしろ大好きです。大好物なんです! なんて口が裂けても言えない。形ばかりの父親の威厳を保つ意味でも。
「それに、これは借り物。あたしがこんな痴女みたいなの進んで着るわけないじゃん」
「そ、そうか。安心した」
良かった。娘に痴女気質がなくて心から安心した。
「ところでさパパ」
安心したのも束の間。文香は意味深な笑みを浮かべながら不意に近寄って来る。
「……ッ」
これも借り物なのか、ふわりと香るオトナの香水にドキリとする。くすぶっていた、男としての本能が呼び覚まされる――。
「なんだ」
「せっかくソープにいるんだし、その、シなくていいの?」
「シなくてって何をだ」
「とぼけたってダメ。時間は有限だし、アレ使わないともったいないでしょ」
「アレ……」
文香の視線の先には浴槽とエアマット。
「お、おい。冗談だろ。俺たちは父娘だぞ」
「父娘でも一緒にお風呂に入るくらいはするでしょ。久しぶりに背中、流してあげる」
「風呂で背中……。そうか、風呂くらい入るし、背中だって流すよな。父娘なら」
「そうと決まれば服、脱いでくるから。パパもそのヨレヨレのスーツとネクタイ、脱いでおいてね!」
「あ、ああ……ああ? ちょ、ちょっと待て文香。脱ぐって……」
娘に背中を流してもらって、父娘で一緒に風呂に入る。
字面だけ見れば至ってフツーの出来事。家庭内であればたわいもない日常の一ページ。
と、一度は納得したのも束の間。残念ながらここは自宅の風呂じゃない。ソープランドの風呂なのだ。
ソープランドで父娘水入らずの服要らず。ああ、何と非常識かつ非日常な一ページの始まりなのだろう?
つくづく、現実はいつだってフィクションの斜め上を行くものなのである――。
◇◆◇
「お待たせ」
「……ッ」
デカい。
童貞を殺すセーター越しでもデカいデカいと思っていたが、リアルタイムで見る双丘の迫力は思わず感嘆の声が出るほどの代物だった。
(ぷりんちゃんと同じくらいにムッチムチ……いや、彼女よりも大きいかもしれない)
ひと昔前なら、娘の半裸を見たところで何の感情も湧かなかった。いや、そもそも湧いたら不謹慎だろうと言う話はこの際置いておいて。
「初めは椅子に座って? 背中洗ってあげるから」
「ああ」
逆に文香は、股間をタオルで覆っただけの半裸の俺に何の感情も抱かないのだろうか?
隣で甲斐甲斐しく両ひざをつきながら慣れた手つきでボディソープをスポンジに馴染ませ、鼻歌交じりに泡立たせていく彼女の横顔には、むしろ余裕さえ感じられる。
などと思っていたら、スポンジのみならず文香の全身も泡にまみれた泡まみれ。
(これはこれでいやらしいな……)
白く美しい肌に張り付くもっちりとした泡の粒。
だが安心して欲しい。大事な部分にのみ都合よく付着する謎の泡モザイク仕様のようで、厳密には見えてはいない。
俗に言う、裸よりもエロいヤツの完成形だ。
「続いて、秘密兵器も追加~♪」
「……」
もうじゅうぶんエロいのに、これ以上何を追加する必要があると言うのか? ないだろ、そんなの。
などと油断していたら――あった!
(ローション。ローションだ!)
突如、俺の視界に入り込んできたのは大胆にも真っ逆さまにされる極太ローションボトル。
「ん゛っ、ぁぅふっ、ひゃぅ……。初めて使ったけど……ぃゃぁん、ぬるぬる……♥」
ねっとりとした粘度の高い液体が滴り落ち、文香の身体の節々に着弾し、そして隅々まで浸透する。
にゅりっにゅりっ、にゅちっにゅちっ、と言う卑猥な水音に加え、そのつど発する甘い吐息のドスケベコラボオーケストラに頭がおかしくなりそうだった。
「すっご。ほら、パパ見て? キラキラな糸引いてる」
「お、おい。何も全部使う必要は……」
「へ? 何か言った?」
「いや、たった一回でボトル一本使い切るなんて、贅沢な使い方だなと思ってさ。そんなに塗ったら洗っても簡単に落ちないぞ」
「へぇ。よく知ってるね。普段から使ってるの?」
「まぁ……」
使っていると言えば使っている。ぷりんちゃんに。
彼女にはいつも俺が塗り役になっていて、豊満なGカップおっぱいをゆっくりねっとりじっくり弧を描くようにこねくり回して楽しみながら浸透させるのだが――今はそれは関係ない。
「常識だ」
「常識ね。娘とえっちなお店にいるのに、常識語っちゃうんだ」
「う゛……」
そこを突かれたらぐうの音も出ない。
「ま、それに関しては私も同じだし別にいいか。とにかく覚えておくね」
「ほっ」
これ以上詰問されないと悟り、ホッと一息ついたのも束の間。
(うッッッわ。エロ過ぎだろ……)
さすがボトル一本丸々使っただけのことはある。
ぬるぬるのテカテカで彩られた、あわあわたわわな肉体。
泡とローションの相乗効果でエロさは倍増。もはや面と向かって直視できないエロの化身に仕上がった娘に、俺は興奮が収まらなかった。
(興奮って、何を考えてる俺。相手は実の娘だぞ……!)
一瞬、本能(男)へシフトしかけた天秤を無理やり理性(父親)へと傾き直す。
(危ない危ない。冷静になれ俺。場所はさておき、文香には背中を洗ってもらうだけ……ただ、背中を洗ってもらうだけなんだ)
念仏のように何度もつぶやき、どうにか平静を取り戻した俺だったが、それを嘲笑うかのように文香は含みのある呟きと共に畳みかけてくる。
「ボトル一本が多いなら、パパと分かち合えばいいだけの話だし……」
「え?」
むにゅっ♥
「おうふ!」
突如、背中に広がる柔らかな感触。
そうか。ついに始まったか。文香のスポンジ洗浄が。
久方ぶりの感覚に一瞬ヘンな声が出てしまったが、不意に幼少の頃の記憶がよみがえる――。
『どぉ? パパ。気持ちいい?』
「あ、ああ。気持ちいいよ」
『良かった♪』
鼻先にチョコンと可愛く泡を乗せながら必死に俺の背中を洗う健気な娘に、俺は反射的にそう答えた。
しかし、枝のような細腕では力任せに洗ってもくすぐったいくらいの感覚だ。でも、大切なのは行動ではなく気持ちだ。
『今日もおしごとごくろうさまです』
「どこで覚えたんだ。そんな言葉」
『漫画』
「なんて漫画?」
『新婚さんイチャラブご奉仕生活二十四時。パパのお部屋の本棚にあった』
「……ちゃんと元に戻しておけよ」
『ママに見つかったら怒られるもんね?』
「そうだぞ。プンプンになって晩飯抜きになっちゃうからな」
『ふふっ、りょーかい。じゃあ続きを始めますね、旦那様♪』
「……」
『んっ、んんっ。背中おっきぃね。洗いがいがあるよ』
「疲れたろ? もうじゅうぶんだよありがとう」
『だめっ。最後までするの!』
「はいはい」
それから、疑似新婚イチャラブご奉仕背中流しは文香がのぼせてしまうまで続き、結局のところ妻に別の意味で怒られてしまったのは言うまでもない――。
◇◆◇
「……パパ? パパ!」
「はッ!」
「どうしたの。のぼせちゃった?」
「い、いや。気持ち良くてついウトウトと……。それにしても上手くなったな」
「背中を流すのに上手いとか下手とか関係あるの?」
「あるぞ。力任せにゴシゴシ擦るんじゃなくて、強くもなく弱くもなく、緩急つけてリズミカルな感じで……」
「カンキュー? よく分からないけど、こんな感じ?」
ずりっ♥ ずりっ♥ にゅっち♥ にゅっち♥
「おほ~! そうそう。そうやって弧を描くように擦ると、よりイイ感じだ……!」
「おっけー」
それにしても最近のスポンジは、ぷにぷにでふよふよでふかふかで、とにかく肌に馴染む上品な質感なんだな。
業界の企業努力に感心しつつ、ふと横を見ると、床に泡立ったスポンジが無造作に置かれていることに気が付いた。
(ど、どうしてスポンジがある……? 文香が持っていたはずじゃあ……)
文香が持っていたはずのスポンジを、文香が持っていない。
と言うことはつまり――。
(文香はいったい、何を使って俺の背中を洗っている?)
素朴な疑問を抱きつつも、現在進行形で繰り広げられる献身的な背中流し。
(こ、これはまさか……アレか? アレなのか!?)
柔らかで温かくてモチふわな感触が俺の背中を余すところなく支配し、思考もろとも甘く溶かしていく。
「ちょっと。動かないでよ」
「わ、分かってる」
「あっ、あっ、ぉっ、ん゛んっ……。肩甲骨、ごつごつしてやっば……」
微熱を帯びた文香の断続的な呼吸に心臓が高鳴る。
これは決定だ。文香は今、女性だけが持つ二つの双丘スポンジを使って俺の背中を洗っている。
「そうそうそのまま。黙っていい子で洗われててね」
「いい子って……俺は子供じゃないぞ」
「つべこべ言わない」
「はい」
ときおり母性(?)すら匂わせつつ、さらにもたれかかるようにして圧力を高める文香。
(ああ、きっと今、双丘スポンジはいびつな形へと変化しているんだろうなァ……!)
背中に意識を集中することで手に取るように分かる、むにゅっとしてぐにゅっとした幸せな感覚。
正面を向きたい! どんな形になっているのかこの目で確認したい! でも、できない! 物理的に不可能!
なぜなら、黙っていい子でいられなくなっているから。俺の股間のダークマターが――。
「相変わらず、おっきぃね」
「げッッッッ!?」
まさか、バレた?
タオル越しにテントを張っているところを見られた?
(や、やべぇ。娘相手になんてザマだ……)
平静を装っても、簡単には鎮まらないのが男の象徴の辛いところ。
ああ、きっと軽蔑される。血のつながった娘相手によからぬ感情を前面に押し出すなんて、父親失格だ。
と、思ったのも束の間――。
「背中。それに、とっても逞しい。洗いがいがあるよ。と言うかこの傷――」
「へ……? そっち?」
「そっちって他に何があるの」
「あ、あはは。いや、なんでもない」
「ヘンなパパ。ほら、終わったよ」
「そ、そうか。終わっちゃったか」
「残念?」
「ああ。おかげで疲れが吹っ飛んだ」
「そんなに良かったならまたシてあげる」
「頼むよ」
「うん。それじゃ、シャワーで泡とローション落とすよー?」
程よく温まったお湯で身体を流されると、汚れと同時に煩悩も洗い流されるようで正直助かった。図らずも、父親失格は免れた。
「じゃ、次は一緒にお風呂入ろ」
「なぬ!?」
一難去ってまた一難。
どうやら、父親としての地位と名誉を賭けた俺のソープランド試練はまだまだ続きそうである――。
◇◆◇
ちゃぷ……。
初めは夢でも見ている気分だった。
しかし、湯船から定期的に響く柔らかな水音によって、改めてこの状況が現実だと言うことを思い知らされる。
(うなじ、色っぽ過ぎだろ……)
あぐらをかいた俺の上に座る文香を見下ろす。
そう言えば、小さい頃に一緒に風呂に入るときはこのスタイルが定番だった。
と、懐かしむ一方、長い黒髪をタオルで束ね、艶やかなうなじを晒す彼女に思わずドキリとしてしまう。
(っていかん。何を考えてるんだ俺は)
父親なら、娘の身体を見たところで別段何の感情もわかないのが普通である。
ただ、あの日。一年ほど前に自宅の風呂の脱衣所でうっかり文香のヌードを盗み見てから、俺の中の何かが弾けた。
だって、ソックリだったから。妻と瓜二つであったから――。
出会ったばかりの妻の姿と重なって、多忙な日々で忘れかけていた男としての劣情が再び燃え上がったのだ。
思えば、その日の夜からだった。
快楽くらぶラブまみれを見つけ、足しげく通い始めたのは。
(そう言えば、ぷりんちゃんともこうして風呂に入るのも定番なんだよな。彼女も今みたいに、おっぱいが湯船にぷかぷか浮いて……って、えッッッッ!!!!!)
不意にリンクする。
ぷりんちゃんで見た光景が、文香においても同じようにリンクする。
俺の背中を洗った疑惑がもたれる文香の二つの双丘が湯面に浮いて主張している。
(改めてデケぇ……。こんな立派なモノで俺のこと洗ってたのかよ)
まるで挑発するようにぷかぷか浮かぶ双丘。イジって欲しそうに揺らめく双丘。手にしようと思えば簡単に収められる無防備な位置で揺蕩う双丘。
(少しくらい触れてもかまわないだろうか? 偶然や事故を装って、少しくらい……)
たとえ父娘と言えど一緒にお風呂に入る仲。きっと文香も笑って許してくれることだろう。
ただひとつ懸念があるとすれば、ひとたび手にしたら止められなくなる。歯止めが効かなくなる絶対的な自信があった。
だから、決して触れてはいけない禁忌なのだ。目の前でこれ見よがしに誘惑する魔双丘には何が何でも触れては――。
「ね」
悶々とする気持ちの中、文香は振り返りながら聞いてくる。
「最後に一緒にお風呂に入ったのっていつか覚えてる?」
「まさに今じゃないのか」
「そうじゃなくて、小さい頃の話」
「覚えてないな」
「小学五年生だよ」
「そうだったか」
「クラスの友達の話を盗み聞きしてたら、パパと一緒に入るのって三年生くらいまでなんだって。それ以降は色々と恥ずかしいからって」
「三年までなんて最近の子はませてるんだな」
「逆。私が鈍感過ぎてたのかも。女の子のカラダって、小学校の高学年に上がるにつれて劇的に変化するからね。私も五年生になった頃には、だいぶ――」
「どうした?」
「なんでもない。それにしても不思議だね。JKにもなってパパと一緒にお風呂に入ってるなんて」
「これが家の風呂だったら大問題だな」
「ふふっ。そうかも。あー、パパの胸板って案外硬いんだね。休みの日はグータラしてるくせに」
「一言余計だ」
「ところでさ」
「今度はなんだ」
「さっきから当たってるよ」
「え? まだ揉んでないぞ」
「揉んで? なにを?」
「い、いや。違う。なんでもない」
「私が言ってるのは、私のお尻にグイグイ当たって主張してるってこと。胸板よりも硬いパパのアレが……」
「げ!!!!!!!!!!!!!」
「生理現象なんだし、とぼけなくていいよ。背中洗ってるときも大きくしてたでしょ。猫背になって必死に隠そうとしてるパパ、とっても可愛かったヨ?」
「……う゛ぐ」
「ママにならまだしも、娘の裸で興奮するなんてさすがに父親失格じゃない?」
「め、面目ない」
「本当、しょうがないパパだなァ。そんなに揉みたいなら、特別にモミモミしていいよ?」
「モミモミってなんだよ」
「さっきからガン見しまくってる私のコレ。男の人の視線ってバレバレだから」
「そ、そりゃ、まぁ……。でも、娘のを揉むのはそれこそ父親失格――」
「ここにいる間は父親禁止にすればいいでしょ。私がまろんで、パパはノブオを演じれば……ね?」
「ッ!?」
スッと肩の荷が下りた瞬間だった。
(ラブまみれでの時間は日常の悩みや不安を忘れ、思う存分現実逃避できる秘密の隠れ家……)
つまり父と娘ではなく、客と店員の立場を利用して、非常識かつ非日常の風俗ロールプレイを体験することも可能と言うことだ。
「ほら、触って? ノブオさんっ」
そう言って妖しく微笑む文香には、最早娘の面影は感じない。
あるのは、風俗嬢まろんちゃんとしてのスイッチが入った蠱惑的な一面のみ。
(郷に入っては郷に従え。ソープに入ってはソープの世界に従うべきなんだ)
こうして俺は晴れてノブオとなり、風俗嬢まろんちゃんに導かれるようにして禁忌の向こう側へ、禁断の魔双丘へと手を伸ばしてしまうのである――。
◇◆◇
案の定、俺の理性は弾けた。
禁忌に触れた瞬間、いとも容易く、簡単に。
「ん゛っ、んぅっ、くふゥん゛っ! ノブオ、さ、ん゛ん゛っ。いきなり強くシ過ぎだよっ、ぉっ、ぉほっ、んほぉぉぉッッ!!」
「す、吸い付くっ。まろんちゃんのとっても柔らかくてふかふかでなのが手にひらにずっしりと吸い付いて……馴染んでくるゥ!」
いや、もしかしたら今日と言う日を待ちわびていたのかもしれない。
ヌードを盗み見てしまったあの日から、こうして手中に収めることを。
「おおっ! 埋まる埋まる、指がズプズプ埋まっていくっ。そのくせ、しっかり反発してくる……なんて生イキなバストなんだ!!」
「男のヒトの指っ、しゅごぉひっ! ゴツゴツして太くて、力だって強くて……ぐにぐにってされるたび、ヘンな声出ちゃ、ひゅ、ぅうにゅぅ゛っっっぽほ!」
「こうされるの、初めて?」
「男のヒトにされるのは、初めてっ……」
「されるのはって、自分ではシてるんだ」
「そ、それはええと……」
「教えてよまろんちゃん。いい子だから」
「ぅ、ぅん……」
「え? なんて言った?」
「シてるっ、自分で。毎日」
「毎日!? どおりでこんなに大きく育ってるわけだ。ちなみに、何カップ?」
「えっち……」
「男は皆エロいんだよ。ほら、答えてよ」
「だ、だから、えいち、カップ……」
「叡智!!!!!!!!!!」
ノックアウト。
情けなくも俺は、まろんちゃんから放たれたたった一文字の強烈なアルファベットで完全ノックアウトされてしまった。
(青天の霹靂。いや、青天の双丘とはこのことか……)
カップが分かったことで、ますます熱が入る俺の指先。
それに比例して、まろんちゃんの声も微熱を帯びてくる。
「ぁっぁっぁっぁっ! だ、だから強いって。そんなにぎゅ~ってされたららめっ。形、変わっちゃぅっ、ぅぅっ、ひゃぅうん゛ん゛!!!」
「ダメって言ってる割には嬉しそうな声出てるよ?」
「そ、それは……」
「本当はめちゃくちゃにされるのが好きなんじゃない? ほら、まろんちゃんの先っちょもだいぶ尖ってきて……イジって欲しいって主張してる」
「ひゃッ!? そ、蕾はらめっ! 蕾、摘ままれたら――」
「どうなるの?」
「おかしく、なるっ。きっとおかしくなっちゃうっ。ヘンな声だって出ちゃうッ……!」
「へぇ。見たいし聞きたいな。おかしくなったまろんちゃんの顔」
「そ、そんな恥ずかし、ぃっ。恥ずかしい、からぁっ、ぁぁっっ!」
「一緒に風呂に入る仲なんだ。今さら恥ずかしいなんて言いっこなしだよ。そらっ!」
「ん゛っっぴゃぉおおほぉ゛お、おお、おおお!?」
「うは。すっごい下品な声。まろんちゃん、そんなみっともない声出すんだ」
「だ、だから言ったのにぃ、ぃひ、ぅひッ、ぁひぃいいいいっっっ……!」
「逃げようとしても逃げられないよ。股座は俺のテリトリーなんだからね」
「ノブオさんの、きちくぅ……ぅっ、ぅぅっ、はぅっ!」
「それに俺以外誰もいないんだ。もっと大きな声出しちゃおうよ」
「いじわる……。ノブオさん、いじわるだぁ……」
「意地悪じゃないぞ。可愛い子の可愛い声を聞きたいのは男として当然だ」
「か、可愛いって……!」
「言われたことない?」
「そ、そりゃあるけど……ノブオさんに言われると、心がキュッとなる……。でも、不思議と安心する感覚もある」
「俺が特別ってことかな」
「そう……かも」
「じゃあもっと言ってあげるよ。だから、下品でいやらしくてみっともない声、たくさん聞かせて? ほら、大好きなモミモミマッサージしてあげるからさ!」
「こ、こらっ。さっきと言ってること違――ぁひゃあああおン゛ぴゅおはあああにゃぁはぁあくあひゃあ!!!」
「どう? まろんちゃん。腹から思い切り声出すと気持ちいいでしょ」
「う、うん。いいっ。荒々しいのに、どこか温かくて優しいノブオさんの手でぎゅーってされながらおっきな声出すの……すごく、イイのぉっ」
「喜んでくれて良かった。これからも可愛がってあげるからね」
「嬉しい……。いっぱいいっぱい可愛がって……」
「もちろんだ! そらそらそらそら!」
「あっあっあっあっ! んっんっんっんっ! おっおっおっおおほぉ~ッ!!!」
打てば響く。もとい、揉めば喘ぐとはまさにこのこと。
ぬるい風呂の温度が、俺たちのイチャラブ熱で沸騰してしまいそうだ。
「ノブオさん! もっと強くしてっ。激しくぎゅ~~ってシてぇっ!!」
「いいよ。俺の指跡がとれなくなるまでマーキングしてあげる」
「まーきん……ぎゅぅぅうひゃくふゥん゛いいッッひあうっっ!!!」
いや、沸騰するのはお湯だけじゃない。
頭はとうに沸騰しまくっている。正常な思考が失われている。
だからこんなことだって平気で言えてしまう。
「すっかり俺のテクニックの虜になったみたいだね」
「はぁっ、はぁっ、ん゛はぁっ……! ど、どうするのよぉ。ノブオさんの指じゃなきゃ満足できなくなっちゃったら……」
「そのときはいつでも貸し出すよ。だからまろんちゃんも遠慮なくコレ、差し出してね」
「ぁぁんッ! そ、それって、なんだか恋人同士みたいじゃない……ひゃぅぅん゛ん゛っっ!!」
「あれ? 違うの? ラブまみれにいる間は恋人ごっこする約束のはずでしょ?」
「恋人……。そうか、そうだったね」
「さ。もっと可愛がってあげるよ」
「うん。思う存分可愛がって? ノブオさんの気の済むまで恋人のカラダ、隅から隅まで可愛がって……?」
それから浴槽でのイチャイチャタイムはしばらく続き、心も身体もふやけきった最高のタイミングで風呂から上がることになった。
「マットにうつ伏せで寝てくれる? ノブオさん」
「こうかい?」
「そ♪ 今度は私がリードしてノブオさんを癒してあげる」
「楽しみだなぁ」
「その前に~、秘密兵器使わないとね」
「まさか……」
秘密兵器。
聞き覚えがあるその言葉と共に俺の真横にトンと置かれたのは、やはりローションボトル。
「まさか、また一本まるまる使うつもりじゃないだろうな」
「使った方が気持ちいいでしょ?」
「そりゃそうだけど、さっき洗い流したばかり――」
「とろとろとろとろ~ぉ♪」
「あひゃ!」
俺のセリフを遮るように垂らされる無色透明の液体。
背中をキャンバスに見立て、着弾と同時にじわりと這うように広がっていく未知の快感にゾクゾクする。
「ふふっ。なぁにその女の子みたいな声。おっかしい」
「し、しかたないだろ。火照った身体にその冷感刺激はあまりに気持ち良くてつい……」
「まだ満足しちゃダ~~~~メ。本番はこれからなんだから」
「本番って……」
「私の谷間にもとろとろとろとろ~ぉ♪」
うつ伏せ状態では、まろんちゃんが何をしているのかが見えないのがもどかしい。
だったら仰向けになればいいだろだって? バカ言え。できるわけないだろ!
なぜなら、尻を向けてるからこそ隠せているからだ。俺の極限まで覚醒した股間のダークマターを――。
「ぁっぁっぁっ、んくゥっ。極太ローションボトル、さかさまにすればぬるぬるでねばねばなのが一気に奥まで入って……ナカでじゅわ~って広がって……不思議な感……じ、ひゃうん゛ぅっにゅッふ」
だから、想像と妄想で補うしかない。
「ふふふ。また一本空っぽになっちゃった。ぃゃぁんっ♪ ローションおっぱい、たっぷたぷ過ぎてカップ数レベルアップぅぅん゛! 肩こりハンパなさそぉ……!!」
まろんちゃんがローションボトル一本を空にするまでの一部始終を――。
(どうやら、残りのローションは無事まろんちゃんの谷間に注がれてレベルアップしたようだな!)
となればきっと谷間はもうどろどろのぐちゃぐちゃで、それはそれはとんでもないことになっているに違いない。
ああ、男の想像力と妄想力はエロが絡めばここまで豊かになるものなのか。
案の定、じきに響いてくるのは想像と妄想通りのえっちな粘着音の数々。
にゅちにゅち、ずちゅずちゅ、じゅちっじゅちっ、ぱっちゅぱっちゅ、ずりずりず~りずり♥
これでエロ妄想してくださいと言わんばかりの怒涛の音、音、音の攻め。
(やべぇ。脳みそに直接語り掛けるバイノーラル耳レイプASMRズリ音、ヤバ過ぎる! ただ、待てよ……)
ただローションを谷間に注いだだけで、これほどまでにえっちな音を奏でられるものなのだろうか?
(否、その限りじゃない)
もしもまろんちゃん自身が谷間を楽器に見立て、寄せたり離したりこねくり回したりして、自ら艶奏を試みているのなら話は別――。
「やば……。寄せて離しただけでローションがブリッジみたいに糸引いて……こねくり回せば自分でもドン引きするくらいにおっぱいテカって……おまけに湯気まで立ってマジえっち……♥」
独り言のようにつぶやくまろんちゃんに、俺は確証を得る。
やはりそうだった。
俺の想像と妄想通り、まろんちゃん自身が鳴らしていたのだ。このえっちなオノマトペを!
さらに最高なのは、想像と妄想が今まさに目と鼻の先で現実になっていると言うこと。
振り向けば見れる。目撃できる。ぬるぬるとろとろのローションブリッジがたぷたぷの谷間にかかってテカテカになったこねくり回しまくりの摩擦で湯気立つホカホカHカップ魔双丘を!!
(ああ、正面を向きたい! どんな情景になっているのかこの目で確認したい! でも、できない! 物理的に不可能!)
なぜなら――。
「そ~~~れ♪」
むにゅぅぅぅ~~ぅぅぅ。ぐにゅぅぅぅ~~ぅぅぅ。にゅりにゅりにゅりにゅり~ぃぃぃ。
すでに迫ってきていたから。泡姫と化したまろんちゃんが後ろから拘束するように、俺に覆いかぶさってきていたから――。
「おごお!?」
「ごめん大丈夫? 重かった?」
「全然平気だよ」
「辛かったら言ってね。では、テイクオフします♪」
「テイクオフ?」
一瞬何が始まるのか思いきや、答えはすぐに判明した。
キャビンアテンダントによる離陸アナウンスだ。俺の背中を滑走路に見立て、泡姫まろん魔双丘が離陸を開始したのだ。
「続けてランディングします♪」
離陸の感動も薄れぬまま訪れたのは凱旋の着陸。
(こ、これはたまらんッ!)
前へ後ろへ行ったり来たり。進んで戻って押しては引いての離着陸の繰り返し。
初めはソフトにゆっくりと、しだいにディープにねっとりと。擦り、触れ合い、押し付けながら、なだらかに滑っていくボリュームのある幸せな膨らみ。
時おり感じるコリコリとした硬い物体に故郷への思いを馳せながら、ただただ極上のフライトを楽しむ。最高の体験だ。
「えっちな音、すっご。ほら分かる? これ、私たちが鳴らしてるんだよ?」
「共同作業だな」
「ふふっ。そうかも」
意味を理解しているかはさておき。
元々素質があったのか、初めこそぎこちなかったまろんちゃんの動きがこなれてくると、わざとえっちな離着陸音をたててくるようになる。
「あっ、あっ、ん゛ッ、んくぅ。アッツぅぅぃっ。摩擦でムネがヤケドしちゃいそぉ……!」
「おほ! その火が点くような密着ズリ、えぐすぎっ!!」
「ノブオさんの背中が逞しいからできる技だよ? ほら、分かる? 私の膨らみがゴツゴツした肩甲骨にぴったりハマってくっついて、むにゅ~っとぐにゅ~っとする感覚……♥」
「分かる! 手に取るように分かる!! きっと今、まろんちゃんのおっぱいはいやらしく形をひしゃげてるんだろうな!」
「うん。めっちゃいやらしいよ? 別の表現をするなら……ガラスに押し付けてる感じ?」
「乳ワイパーか!」
「あはははっ♪ なにそれ、洗車するってこと? ま、あながち間違いではないかな。ノブオさんのこと洗ってるんだから」
「ああっ、見たいなァ! まろんちゃんのリアル乳ワイパーをこの目で……」
全身が火照り、テンションも上がり、雰囲気的にもノってくれば、調子に乗ってそんなことも口走ってしまう。
「えー? じゃあ見る? 私の乳ワイパー、正面から♪」
「見る見る!」
「じゃあ仰向けになってノブオさん」
「なるなる!」
するとまろんちゃんも俺の悪ノリに意気投合。
(やっぱり風俗嬢はこうでなきゃな! 客の要望に柔軟に応えてこそ、風俗嬢の鏡――って)
どたぷん!!!
(叡智ッッッッ!!!!!!!)
柔軟なのは対応だけじゃない。
俺が仰向けになるや否や、眼前に迫る大迫力のHカップ泡姫泡乳パノラマもこの上なく柔軟だ。
(胸板に余すところなく密着吸着する禁断の魔双丘が変幻自在に形を変える柔らか押し潰しビジョン……たまらないッ!!!!!!)
残るッ!
きっと、この光景はこれからも俺の記憶に強く残り続けることだろう。
「ぁっぁっぁっ。ノブオさんの胸板、背中と同じで逞しいっ。ステキ……♥」
「まろんちゃんのおっぱいも柔らかくてボリュームがあって最高だよ!」
「そう? 嬉しい……」
「ね、そろそろ続き、いいかな」
「分かった。一生忘れることができないくらいの極上のまろんフライト、見せてあげるから……ネっ!?」
「お、おお、おほおおおおお!!!???」
情報量が乏しく、想像と妄想で補うしかなかった背中離着陸とは異なり、胸板離着陸はとにかく情報が処理できないほど満載だった。
目に広がるリアル乳ワイパー離着陸アングル。耳に刻まれるリアルズリ艶奏音。鼻から伝わる濃厚ホットな湯気立つ密着摩擦臭。
そして何より、一番の衝撃はまろんちゃんの表情だった。
「はぁっ、はぁっ、んはぁっ! んッ、んっ、んくふぅっっ……!」
頬は朱色に染まり、だらしなく舌を突き出し、顔のパーツも緩みまくった至高のトロ顔。俺の記憶のどこを探しても存在しない、未知の領域へと続く禁断の扉――。
(ヤバい。興奮し過ぎて頭が追いつかないッ! 脳も満たされ過ぎてショートするっ!)
やがて誘われる、まるでモヤがかかったようなめくるめく泡沫の世界。
至福。安らぎ。感無量。柔肌の心地よい体温が俺の意識を甘く溶かし、瞼も次第に重くなってくる。
あまりの気持ち良さにこのままでは天に召されてしまう――そう思った矢先、ふと気付いたようにまろんちゃんが言い放つ。
「ね、ノブオさん。いいの?」
「なにがだい?」
「このまま行ったら私たち、キスしちゃうよ?」
「キス……?」
その一言は、俺のどこかぼんやりとした意識を一気に現実へと呼び戻すには十分すぎる効果があった。
「ハッ!」
距離にしてわずか三センチ。
まるで本当の恋人同士のような距離感に迫る、まろんちゃんの肉厚過ぎる唇。
(お、おいおい。俺とまろんちゃんは恋人ごっこする関係だけど、本当は父娘だぞ……? このまま行ったらさすがにマズい――)
マズいのは重々承知。
だがそのとき、狙いすましたかのように俺の中の悪魔が囁く。
たとえ父娘でもキスぐらいはするだろう? と。
確かに、外国でもよくある単なるスキンシップとして、コミュニケーションの一環として家族でチューするくらいは常識の範囲内だ。
ただ、今まさにしようとしているのはガチのキス。常識の範疇を優に超える、決して言い訳ができない恋人同士で行うガチでマジの粘膜唾液交換なのだ。
(もし、もしもシてしまったらあの時と同じ……)
ふと、手のひらに蘇る豊満な感触。
魔双丘に触れてしまったが最期、歯止めが効かなくなってしまったあの時のように。
唇と唇が触れ合ってしまったらそれこそ理性と正気を失い、正真正銘の雄と化してしまう懸念があった。
だから、叫んだ。
「文香!!!!!!」
「……ッ!?」
その大声はもしかしたら、文香に充てたものであると同時に、腑抜けた自分自身を奮い立たせるものだったのかもしれない。
「さすがにこれ以上はマズいだろ」
「そ、そうだね。マズいよね」
こうして俺たちは唇同士が触れてしまう、ギリギリのタイミングで踏みとどまった。
でも――。
「……」
「……」
超えてはいけない一線。それを越えようとしていたのに、本来は安心すべきなのに、お互い残念そうにするのはなぜなのか?
(どうして、そんな顔するんだよ)
いっそ、ひとおもいに越えてしまった方が良かったのか?
そう思えるほど今俺たちを取り巻くのは、祭りの後のような虚無感、心にぽっかりと穴が開いた喪失感、どこか煮え切らないくすぶった不完全燃焼感――。
「もう終わりの時間だね」
「六十分コースなんてあっという間だな」
「じゃ、私着替えてくる。パパも外で待ってて」
「ああ」
夢のような時間ほど、あっという間に過ぎていくもの。
これで良かったんだよな? 正しかったんだよな?
そう自分に言い聞かせつつも、後ろ髪を引かれる思いで見る文香の背中はいつもよりもずっと小さく感じた。
(文香は今、どんな顔をしているんだろう?)
名残惜しそうに、キラキラとした泡まみれのローションの線がしばらく俺と文香の身体の間を彷徨っていた。
それはまるで俺たちの気持ちを代弁しているかのように――。
◇◆◇
冷静になればなるほどのしかかってくるのは強烈な罪悪感と背徳感。
「パパは飲み会終わり、私が塾帰りに偶然駅で会った。でいい?」
「その作戦でいこう」
まるで先程までの熱狂ぶりが嘘のように、店の外へと出るや否や父と娘の会話に戻る俺たち。
時刻は午後十時。文香に設けた門限を過ぎてしまったが、俺と一緒の帰宅なら問題ないだろう。
「コンビニでジュース買って少しだべってた、も追加しとくか」
「りょーかい。悪知恵働くねー」
「だろ?」
父と娘の誤魔化し共同戦線。こういうところはさすがに息が合う。
「じゃあ私、アイスカフェラテLサイズ」
「口裏合わせの嘘だぞ」
「アイスカフェラテLサイズ」
「わ、分かったから睨むな」
とほほ。口は災いの元。余計な出費が増えたじゃないか。
「パパは門限がないからいいよね」
帰路の折、カフェラテのストローに吸い付きながら皮肉めいたことを口にする文香。
「お前を大事に思ってのことだ」
「風俗通ってる人間が言っても説得力ないよ」
「う゛……と言うか、どうして風俗なんかでバイトしてるんだよ。するにしてもっと他にたくさん――」
「手っ取り早くお金を稼ぎたかったの」
「お金? 何か欲しいものでもあるのか」
「あっきれた。来月、年に一度のイベントが控えてるでしょ」
「はて? 贔屓にしてる推しのライブか?」
「まったく……。ヨレヨレのネクタイを締めたオジサンは記憶力もヨレヨレだよね」
「それは否定できない」
「否定しなさいよ。でも、久しぶりにパパと話できて良かった」
「大げさな。毎日会話してるだろ」
何気ない一言のつもりだった。
しかし、ぴたりとその場に立ち止まった文香は、数秒沈黙したあと、ぽつりとこぼす。
「してないよ」
「……え?」
その答えは意外だった。
現に顔が会えば声はかけているから。
家族としての会話はしているつもりであったから――。
「いつも勉強のことばかりで、私のこと真正面から見て話してくれなかったでしょ」
「……」
「昔はもっと、学校のこととか、部活のこととか、友達のこととか……いっぱい聞いてくれたのに」
「あ……」
言われてみればそうだった。
ここ数年は勉強がどうとか、テストは何点だったのか、そんな話しかしていない。
「それは、お前の将来を心配して……」
「心配してくれるのは嬉しいよ。でも世の中、勉強だけがすべてじゃないでしょ」
「た、たしかに」
「私はもっと、パパとは普通の会話がしたいと思ってるんだよ」
「そうは言っても、プライベートのことをずけずけ聞いたらイヤだろ?」
「反抗期って言いたいの? それは私たちくらいの年頃だったら当然だよ。でもさ――」
「え……」
「娘に真正面から向き合わないで反抗してる。反抗期なのはむしろパパの方じゃないかなぁ?」
「……ッ!」
俺が反抗期。大人である俺が、娘に対して反抗期。
文香はまたもや意外な言葉で俺を縛り付ける。
「だからこれからは、素直な気持ちで娘と向き合えばいいんじゃない?」
「ったく、黙って聞いてりゃ生意気なことばかり言いやがって……」
「あははっ。それはパパの娘だからだと思うよ」
「それもそうか!」
「そうだよ!」
文香が全力で笑うところを見たのはいつぶりだろう?
若干ではあるが、俺と文香の間にあったわだかまりが解消されたような気がする。
そのきっかけが風俗であることが少々残念だが――って、少々どころじゃない! 別の意味で一大事だ。
「と言うかお前、客が俺じゃなかったらどうするつもりだったんだよ」
「いくらお給料がいいって言っても、風俗のバイトに抵抗があったのは確かだよ。パパじゃない男のヒトにご奉仕するなんて経験、ゼロなわけだし」
「そ、そうだな」
女子校に通っている以上、男と接点が乏しいのは当然と言えば当然だ。
ただ、夜な夜なコンビニやゲーセンに入り浸っていると聞いていたし、男の影の一つや二つあってもおかしくないと勘ぐっていた俺にとって、文香のその発言は大きな安心材料となった。
「不安なところにパパがやってきて……驚きもあったけど、それ以上に安心したの」
「安心したのはいい。問題なのは次からだ。もし次にバイトするとしたら――俺以外のヤツの相手をする必要があるわけだろ?」
「それは大丈夫」
「何が大丈夫なんだよ」
「これからも、パパが私を指名してくれればいいじゃん」
「なぬ!?」
「夜職において、安易な指名替えはタブーなはずだよね?」
「そ、それはそうだけど……」
「あ、もしかしてパパは、私がパパ以外の男のヒトにご奉仕しても平気なんだ」
「ば、バカ言え。そんなの絶対に許されない! 俺の目が黒いうちは絶対に――」
「じゃ、決定。い~い? 今夜のこと、ママには絶対に内緒だからね」
「言えるないだろ」
「二人だけの秘密……ね? ノブオさんっ♥」
「……ッ」
不意にまろんちゃんが乗り移り、心臓がドクンと高鳴る。
(いったい俺は今、誰と向き合っているのだろうか?)
成り行きとは言え、妻には言えない爛れた秘密を娘と共有することになるなんて、今まで以上に罪悪感と背徳感がハンパない。
ただ――。
(不適切な行為や行動は、悪いことをしていると言う自覚があるからこそ余計に燃えると言うもの……)
オチがついたところで、文香の持つアイスカフェラテLサイズはすっかり空になっていた。
「公園にゴミ箱、あったよね」
「ああ」
それから他愛のない会話を続け、自宅近くの公園に足を踏み入れようとしたそのときである――。
「あら……?」
それよりも先に、暗がりから染み出るようにして現れたプラチナブロンドの人物が俺と文香を代わる代わる見ながら、のほほんとした声で話しかけてくる。
誰だ? と一瞬思った。しかし、文香と同じ制服を着ていると言うことは、文香の同級生――?
「ごきげんよう、ノブオ様っ♪」
しかし、想像とは裏腹に最初のターゲットになったのはなぜか俺だった。思わず、声が裏返る。
「え、君は……だれだ?」
「ひどい。お店以外では他人同士ですか?」
「お店――ハッ!」
そこまで言われればピンとくる。
肩までのプラチナブロンド、クリクリとした大きなブルーの瞳、整った顔のパーツ、透き通るような色白の肌、今にも胸元が弾けそうな爆盛り双丘おっぱい天使。
そうだ。彼女は――。
「エリナ!!!!!!!!」
「ぷりんちゃん!!!!!!!」
ほぼ、同時だった。
俺と文香が目の前の人物に対して口を開いたのは。
ただ不可解なのはどちらも呼称が違うと言うこと。この意味はいったい――。
「ちょっとパパ。ぷりんちゃんって」
「文香こそ、エリナって」
「同じクラスの同級生よ」
「同級生!?」
「パパ……? あらあら文香さん。もしかしてあなたとノブオ様って……そういう関係でしたの。これはイイコトを知ってしまいましたわ♪」
ここまでくれば察しがつくだろう?
俺の推し風俗嬢ぷりんちゃんが、文香のクラスの同級生であるエリナ。こんな偶然ってあるものなのか!?
「エリナ、あんただってまさかパパとラブまみれであんなことやこんなことする関係だったの!?」
「ラブまみれのこともご存知とは――。あ、まさかわたくしの代わりの新人まろんって、やはり文香さんでしたのね」
「やはりって、どういう意味?」
「栗山文香だけにまろん。さすがに安直すぎるとは思いましたが……まさかわたくしの予想通りだったとは」
「あ、いや、それは……」
「ノブオ様もノブオ様ですわ。あれほどわたくしに、好きだの愛してるだの情熱的な言葉をかけてくださったのに、まさかの指名替え――」
「あ、いや、それは……」
ズイッと胸を張ったエリナに責められ、俺も文香もまったく同じリアクションでズリッと後ずさる。
「奥様がいらっしゃる立場での風俗はまだしも、実の娘と二股をかけるなんてさすがに非常識ではありませんこと?」
「ふ、二股なんてかけてない! ぷりんちゃんでシたあんなことやこんなことはまだ文香ではシてないから!」
「まだってことは、これからする予定があるってことですわよね」
「え、ちょっとパパ。あんなことやこんなことってなに?」
「それは、放送禁止とか、放送禁止とかですわ」
「放送禁止とか放送禁止!? パパ、JKと何やっちゃってるのよ!!!!」
「だ、だからそれはラブまみれでの設定で……」
「とにかく、わたくしも出し抜かれっぱなしは性に合いません。次の指名はわたくしをお願いしますわ。必ずや、ノブオ様を天国に連れていって差し上げますから」
「ちょっと待ってよ。次のパパの指名は私って決めたんだから! ね、パパ?」
「え、ええとそれは……」
「私にシてくれないとママにこのことバラすよ!」
「わたくしにシてくれないと奥様にこのことをバラしてしまいますよ?」
「ママバレしたらどうなるか分かってるよね!?」
「ま、それはそれで面白い展開になりそうですけれど……うふふふ」
「ねぇどっち?」
「どっちにしますの?」
グイッと迫る、ダブル魔双丘の強制指名爆乳インパクト。
それはそれで大迫力だが、それ以上に顔が怖い。これはマジでガチの脅迫顔だ。
ただ、エリナの顔はこの状況を心から楽しんでいるようにも見えて――余計に恐ろしい。
(や、ヤバいぞ。もし妻バレしたら俺は死ぬ。社会的に抹殺されて人生オワタ。この絶体絶命な状況を打破するためには……)
色々な言い訳がぐるぐると頭をよぎり、ようやく導き出した苦し紛れの答え。苦肉の策。それは――。
「二輪車でどうかな?」
「ハーレム……」
「プレイ……?」
「つまり、3Pってこと?」
「ノブオ様を、文香さんと一緒にご奉仕……なんとも楽しみ……いえ、不謹慎極まりないですわ♪」
「なにぶつぶつ言ってんのエリナ」
「お気になさらずっ」
あれ? もしかして滑った?
「じょ、冗談だよ。さすがに調子に乗り過ぎた」
所詮3Pなんて都合の良すぎる男の夢に過ぎないし、それこそ女性に対しても失礼だと、頭を下げようとしたそのとき――。
「上等じゃない。私の方が気持ちいいってこと、パパに証明してあげる」
「受けてたちますわ文香さん。わたくしの方がノブオ様と相性がイイってことをワカラセて差し上げますっ」
「じゃ、来週ね」
「分かりましたわ」
「……」
あれ? なんだか話が勝手に決まり、勝手におかしな方向になってきたぞ。
「それでいい? ノブオさん」
「いいですわよね? ノブオ様」
妻に内緒で、実の娘と娘の同級生との3Pハーレムソーププレイ。
自分で言っておいてなんだが、何と非常識かつ非日常な字面なのだろう?
罪悪感と背徳感を兼ね揃えた、ズッシリと重い四つの魔双丘が俺に揺さぶりをかける。
「わ、分かった」
その有無を言わせないヤり方は正直ズルいと思う。女の怖さってヤツを改めて認識させられる。
ただ――。
バレたら人生終了のゲームオーバーと言う危機的状況の中、爆乳JK二人に囲まれて行うイケナイ火遊びの匂いを全身全霊で感じ、この期に及んで興奮している自分が心底情けない。
(不適切な行為や行動は、悪いことをしていると言う自覚があるからこそ余計に燃えると言うもの……)
そう。突如始まるハーレムな現実はいつだってフィクションの斜め上を軽く突き破って行くものなのである――!
ここまで読んで頂きありがとうございます。
風俗を通じて娘と仲良くなるハッピーエンド的なやつです。
娘ですが、ラブまみれの中では「まろん」と言う別人格なので道徳的にもセーフですね。
短編扱いですが、まろん&ぷりんのWご奉仕ソープ、オナクラ無双編も掲載予定。
ちょっと昔の話、HHMDゼロ編では、ぷりんちゃんとの出会い編の作製も予定しています。
今回の試作品ももう少し調整し、いずれ連載としてまとめるつもりですよ。
ブクマ評価応援感想コメントよろしくお願いします!




