8.個室露天風呂付きの部屋で
引き続き、芦ノ湖の湖畔を散策しながら、今日宿泊する宿屋、ホテルへとたどり着いた僕たち。
フロントでチェックインをし、宿泊する部屋へと向かう。
和風の高級感漂うホテル。ホテルの廊下を歩くだけで、ドキドキしてしまう。
そうして、宿泊する部屋へとたどり着いた僕たち。部屋の扉を開けるとビックリ。
ものすごく広々とした部屋に出迎えられる。
ベッド、そして、団らん用のソファーが備え付けられ、和風の畳のスペースもある。
そして、バルコニーには、備え付けられた、客室専用の露天風呂。いわゆる、貸し切りの露天風呂だ。
「すごい。本当に、ありがとうございます。」
僕は、費用を出してくれたあすかさんに頭を下げる。樹里さんも同じだ。
「いいのよ。私が止まりたいと思って、選んだところだから。それに、予約してくれたのはハルさんだし。」
あすかさんはそう言って、優しい目で僕を見てくる。
「そう言われても‥‥。」
僕はそう言って、少し顔を赤くするが、大きく頷いて、彼女の優しさをそのまま受け取る。
「さあ、箱根の温泉、この宿屋のお風呂、楽しみましょ!!」
あすかさんの言葉に僕たちは大きく頷いた。
「と、言うわけで、早速。私から、浴衣に着替えてくるわね。そうね。その間に、ハルさんに露天風呂のお湯を入れてもらおうかしら。ハルさん、お願いしてもいいかな?」
あすかさんは僕の方を見る。僕は頷いて、バルコニーに出て、あすかさんの指示通り、備え付けの露天風呂にお湯を入れる。
バルコニーは檜の板が敷かれており、それもまた、風情を感じる造りだ。
露天風呂の浴槽は大理石のような石でできており、どこか重厚な雰囲気を感じる。
「樹里さんには申し訳ないんだけど、順番に着替えたいから、荷物を見てて。」
あすかさんの言葉に樹里さんは頷く。
そうして、バルコニーで作業をしている僕を見届けた後、あすかさんは和風の畳のスペースに移動して、障子の仕切りを閉めて、浴衣に着替えるのだった。
当然、障子で仕切られているので、中を見ることはできないが、推しのグラビアアイドルが、すぐ傍で着替えているとなると、少しドキドキしてしまう。
しかし、あすかさんの指示があるので、手を止めてはいけないと思い、僕はバルコニーで、露天風呂のお湯が満たされていくのを見届け、十分に入ったのを確認して、お湯を止めた。
そうして、僕が部屋に戻ると、障子の仕切りが開き。
「ふふふっ、お待たせ。」
温泉の浴衣姿のあすかさんがニコニコ笑って、障子の向こうから出て来た。
白地に紺色の模様、厚手の抹茶色の羽織という、どこの温泉旅館でもあるような浴衣だが、大人気グラドルが着ると、一気に華やかさが増す。
僕も樹里さんも、その姿に見とれてしまう。
「さてと、皆も順番に着替えないとね‥‥。と、言いたいところだけど。」
あすかさんがニコニコ笑って、大きく頷く。そして、この後、思ってもみなかった言葉が飛び出す。
「ちょっと、今さら遅いかもしれないけど、入部テストの課題、やってしまいましょうか。もしかしたら、先輩たちに、もう会わないかもしれないけど、今度会ったら、ぎゃふんと言わせるために、ねっ。」
あすかさんが僕の方を見て、ウィンクする。
「えっと。」
僕は戸惑うが。
「カメラの準備、万端かな?ハルさん。私でよければ、写真、撮って良いよ。ああ。でも、撮った写真をSNSに流すのはダメだよ。グラビアアイドルやってるから。色々、バレると怖いし。そして、それが守れるなら、今後もオフ会で、私でよければ写真撮って良いよ。」
僕はごくっと、息をのむ。
「い、良いんですか?」
「モチロン♪」
あすかさんがニコニコ笑って頷く。
「さあ。始めましょう。」
あすかさんの合図で、僕はカメラを取り出し。彼女の、浴衣姿の写真を撮っていく。
あすかさんは、ポーズを決めるのもものすごく上手い。本当に流石といっていいほど、写真に撮り慣れている。
樹里さんも、僕と、あすかさんの撮影に食い入るように見つめている。
撮影を進めるにつれて、僕も笑顔になって行く。
そう、僕のカメラのデータに、初めて、人をモデルにした写真が入っていく。しかも、僕が推していた、大人気グラビアアイドル、糸崎あすかの写真が。
シャッターを押すにつれて、僕も慣れて行く。
その慣れてきたところで。
「ふふふっ、慣れてきたようで良かった。そしたら、もっと素敵なプレゼントをハルさんにするね。」
あすかさんはそう言って、浴衣の帯を解き、一気に浴衣を脱いでいく。
現れたのは、濃い緑色で、白色の縫い目と刺繍が施されたビキニ姿になる。
そして、ビキニからはいかにもはじけ出そうな胸の谷間がのぞいている。そして、下の方の部分もピッタリな造りになっているのか、お尻の形も想像できる。
確か、これ、どこかのグラビア作品の動画で着ていたやつだよな‥‥。
僕はそう思いながら、思わず手が止まっている。
そして、推しのグラビアアイドルの水着姿にドキッとなる僕。胸の高鳴りを押さえられない。
「どうしたの?ハルさん、続きを撮影しよう。」
あすかさんの言葉に我に返る僕、ドキドキして見とれてしまっていた。
「い、良いんですか?」
「モチロンよ、さあ、早く、早く。」
そうして、あすかさんは次々とポーズをとっていく。僕もそれを目で追い、そして、カメラのレンズで追う。
そして、まるでグラビア動画のシーンにあるような、自然な形で、あすかさんはそのまま、バルコニーに備え付けられた、露天風呂の元へ。
露天風呂に言っても、あすかさんは、胸の谷間、そして、お尻を強調させるかのようにポーズをたくさんとってくれ、僕のカメラの中に自然と収まるように撮影を進めていく。
そうして、露天風呂の湯船の中に入っていくあすかさん。水着が濡れ、濃い緑色のビキニが、濡れた感じのさらに濃い色となり、何だろうか。エロさというものがかなり増して来る。
「どう?少しは心が癒されたかな?」
あすかさんは僕にそう聞いてくる。
「はい。すごく。すごく。満たされました。」
僕はそう言って、あすかさんにお礼を言う。
「樹里さんはどう?」
あすかさんの言葉に、僕は振り返り、樹里さんの方を見る。
どうやら彼女も、興味津々で、僕の後ろにずっとついていたようだ。
「あの、す、すごいです。その‥‥。えっと‥‥。」
頬を赤く染めている、樹里さん。どうしたのだろうか。
「どうしたの?」
あすかさんが樹里さんに聞いてくる。
「わ、私も、あ、あすかさんと一緒に、やってみたいです。撮影。あすかさんと一緒で、ハルさんが写真撮ってくれるなら‥‥。」
樹里さんは、僕とあすかさんにそう告げる。
「えっ。大丈夫?無理してない?」
僕はそう聞くと。
「う、うん。無理してない。ここに来るまで、ハルさん、電車の写真、たくさんとってた。すごく写真好きなんだなって。ハルさん、すごく上手そうだし。ハルさんに撮ってもらえるなら、私も。水着に着替えて、その、私も、推してる、あすかさんと一緒に。」
樹里さんは顔を赤くしながら、はっきりとした、何かに満ち溢れているような目の色をしている。
「ふふふっ、そういう事なら、私、グラビアで使ってた水着、色々持ってきてるから、一緒に着てみよっか。」
あすかさんの提案に、樹里さんはさらに顔を赤くする。だけど。ハッキリコクっとした表情で頷いた。
「はい。あすかさんと一緒に、そして、ハルさんが撮ってくれるなら。」
と樹里さんは笑顔で応えた。
「そしたら、着替えに案内するわね。ああ。その間に、ハルさんも浴衣に着替えたら。」
あすかさんの言葉に僕は頷く。そして、あすかさんの案内のもと、持ってきたリュックサックをもって、着替えるスペースに向かう樹里さん。
あすかさんによって、障子が再び閉められる。
「ちょっと待っててね。ハルさんも、着替えてて。」
あすかさんはそう言って、障子を閉めた。
再び、男女の着替えのため、障子とふすまで仕切られる、温泉旅館の部屋。
僕も、水着、そして、その水着の上から浴衣に着替え、部屋の露天風呂に入る気満々だ。
しかし、どうも気になってしまう。障子の向こう。
着替える際に細心の注意を払う僕。勿論、迷惑を掛けないようにするのもそうだが。水着に関しては、腰の上、へその上までパンツを上げる。僕の経験上、こうしておけば、目立たない。何がとは言わないが‥‥。
その水着の上に浴衣を着て、準備万端。脚の方に目を向け、少し安心する僕。どうやら目立ってないようだ。
ふうっ、と、深呼吸して、障子の方を見る。
「準備できた?ハルさん。」
あすかさんの声。
「はい。出て来て大丈夫です。」
僕は大きな声でそう言うと、障子の扉が開いた。
最初に出てきたのはあすかさんだ。しかし、その姿に再び見とれてしまう。
彼女は最初とは違う、二着目のビキニを身にまとっていた。
大人の黒ビキニ。上は勿論、谷間がはじきれるように覗かせているが、今回気になってしまうのは下の部分。
下の部分は、重ね着のレイヤードタイプのもので、重ね着の上部の部分はしっかりと覆っているが、重ね着の下部の方は、何かが見えてしまいそうなそんな黒ビキニだった。
このビキニは、グラビア動画で見たことが無い。
「ふふふっ、完全なプライベートで着るビキニの一つ。ハルさんだけの特別なやつだよ。」
あすかさんはニコニコと笑っている。
そうして、大胆にポーズを取りながら、笑っている。思わず僕は、カメラを構えて、シャッターを押す。
そして。
「そしたら、もっと、驚いてもらおうかな。私も一緒に着替えてて、すごかった。」
あすかさんは満を持した表情にかわる。そして。
「樹里ちゃん。おいで。」
あすかさんは手招きをする。すると。
「えっ。」
僕は思わず驚く。
そこに現れたのは、黒髪をストレートにおろし、クリクリッとした瞳の色、整った顔立ちの美少女だった。
その美少女は、推しのグラビアアイドルに貸してもらったのであろう、濃いめのピンク色をした、光沢感の溢れるビキニに身を包んでいた。そして、上部からは、あすかさんに負けないくらいにはちきれる胸の谷間が現れていた。
「す、すごい。本当に樹里さん。」
僕は思わず目を疑ってしまう。樹里さんはコクっと頷く。
「ねっ、すごいよね。眼鏡を取って、ストレートにしたら、本当に美人さんなんだから、それに胸の大きさも私と変わらない。アルファベットも私の一つ下よ。」
あすかさんはそう言いながら、樹里さんを手招きして。
「ハルさんに、いっぱい写真撮ってもらおうね。」
そう笑いかけて、樹里さんの目を優しく見つめていた。
「あのっ、よろしくお願いします。」
樹里さんは緊張しながらも僕に頭を下げる。
そして。あすかさんと一緒にポーズをとって、撮影を続けていく。
樹里さんの水着姿も、僕はしっかりと目に焼き付け、そして、写真に、一枚一枚、収めていく。
はじめは緊張していたが、あすかさんと一緒だからだろうか。徐々に緊張がほぐれ、ニコニコと笑いながら、こちらの指示に応じる樹里さん。
巨乳美女二人のグラビア撮影のカメラマンをしている僕。初めての人をモデルにした写真が、こんなふうに、夢のような写真になるとは思ってもみなかった。
「本当に、良かった、プライベート用の水着を着て来て。樹里ちゃん、綺麗で可愛いから。」
あすかさんはニコニコと笑う。
あすかさんの黒ビキニも良く映えるもので、ドキドキしている僕。
「そしたら、もっとドキドキさせてあげる。これは特別。グラビアの撮影でも、この水着は、着たことないから。」
あすかさんはそう言って、恥ずかしそうな顔を一瞬するが。
「よ~く見ててね。」
少し深呼吸して、笑顔でこちらを見た。そして。ビキニの下半身部分、その、レイヤードタイプで二枚重ね着をしている、いちばん上の部分の結ばれている紐を解き、一枚目を脱ぎ捨てた。
僕も樹里さんも顔を真っ赤にしてしまう。
下半身部分に残っているのは、面積の小さいビキニのパンツ一枚。
「さあ、後ろを向いて、背伸びをしながら、顔だけ振り返るから、その姿を撮ってみて。」
と優しく僕に微笑みかけた。
そうして、後ろを向く、あすかさん。
その姿にドキッとしてしまう。
何とかバックビキニだっけか。そういうものを聞いたことがある。
そうして、そのまま両手を広げ、背伸びをし、顔だけ後ろを振り向いて、ウィンクする。
指の先まで、体温が熱くなりそうだ。
僕は慎重に、本当に慎重に、カメラのシャッターボタンを押した。
男の冒険心、それを初めて、くすぐられた感じがした。
「その‥‥。ありがとうございます。」
僕はあすかさんにお礼を言う。
「どういたしまして。元気になって、良かった。」
あすかさんはニコニコ笑っていた。
「次のオフ会も、写真、撮らせてあげるし、樹里ちゃんにも、水着、貸してあげるね。」
あすかさんはそう言って、ウィンクする。
「はい。ありがとうございます。」
僕はあすかさんにお礼を言う。
「あ、ありがとうございます。」
樹里さんも、あすかさんに頭を下げる。
そうして、露天風呂付きの部屋を背景にした、僕の初めて人をモデルにした写真。僕だけの、大人気グラドルの撮影会を終える。
その後は、水着のまま、露天風呂に入り、美味しい豪華な夕食を食べ、ベッドで寝息を立てた。
部屋に戻ってからも露天風呂を見る度、僕だけの撮影会の光景が忘れられなかった。
ベッドに潜ってからはぐっすり眠った。夢は見なかった。見なくて当然だったし、見ない方が、今日はいちばん良かった。
なぜならば、この部屋での、人をモデルにした、初めての写真撮影が忘れられなかった。おそらく、今後も、一生、忘れないだろう。
そう思って、ベッドで眠る、僕の姿があった。