17.浴衣と紫陽花
七里ヶ浜にあるコーチのサーフィンショップの二号店に戻って、着替えを済ます。
そうして、その晩はコーチの家に泊まることになった。
これも毎年恒例の行事。
いつもは、僕と咲姉ちゃんしか居ないが、今年は、あすかさんと樹里さんも居るので、コーチとコーチの奥さんは張り切って料理を振る舞って出してくれた。
「そしたら、六月ということで、マー君は本当にお誕生日おめでとう。小学校の頃はずっと、スイミングに通って来てくれていたので、自然と誕生日を覚えました。」
コーチはニコニコ笑う。皆から拍手が贈られ、顔を赤くしながらも頭を下げる僕。
「あ、ありがとうございます。」
僕は恥ずかしながらそう言って、頭を下げた。
「そして、今年も、二人とも、来てくれてありがとう。お互い全員、スイミングを辞めてからも、こうして、二人が中学で写真部に入ってくれたから、毎年、ウチの店の夏のポスター、夏のホームページを、こうして、出すことが出来てます。」
コーチはそう言いながら、僕と咲姉ちゃんを改めて見た。
ニコニコと頭を下げる、僕と咲姉ちゃん。
「そして、あすかさんと、樹里さん。本当に、来てくれてありがとうございました。二人のお陰でより、今年は華やかなホームページになりそうです。」
コーチはそう言って、樹里さんとあすかさんに深々と頭を下げたのだった。
「ということで、お礼で、家内と僕が、料理を振る舞いました、遠慮せず食べてください。」
コーチはそう言って、テーブルに並べられた料理を指さす。
僕たちは、コーチとコーチの奥さんに、深々と頭を下げて。
「「「「いただきます。」」」」
一斉に声を揃えて食事をした。
鎌倉近海、つまり、相模湾近海で獲れた海の幸。刺身は勿論、天ぷらや、焼き魚と色々あった。
そして、鎌倉は和の文化。精進料理を模したおかずもいくつかあり、流石は、伝統の呉服屋を営んでいる奥様の料理だと感じる。
それぞれの料理を美味しくいただき、それぞれ入浴を済ませ、用意された部屋に泊まる。
そうして、翌日。朝日が昇る海を見ながら、僕たちはいつもよりも早めに起床。
その後、身の回りの掃除を済ませ、朝食を食べて、コーチの家をあとにする。
例年であれば、ここで、コーチたちに別れを言って、鎌倉観光を楽しむのだが、今年に関しては少し違った。
「折角、大人気グラビアアイドルの方がいらっしゃっていますし、女性陣の皆様もお綺麗な方が多いですから、私の方のお店のPRにもご協力をしていただけると嬉しいです。」
というコーチの奥様の言葉。
「うちのお店の浴衣を着ていただいて、鎌倉観光を楽しんで頂ければ。」
奥さんはさらに説明をする。
その言葉に、ニコニコと笑顔になる僕たち。
「やったー!!」
ニコニコと喜ぶ、咲姉ちゃん。
「すごく嬉しいです。多分、浴衣なら、事務所の方にもすぐ許可は出るので、ホームページにアップしても問題ないと思います。」
あすかさんはうんうんと頷きながら笑っている。
「えっと、私も、嬉しいです。浴衣なら。その。」
顔を赤くしながら樹里さんは笑っていた。
「ふふふっ、そしたら決まりね。行きましょう。」
コーチの奥さんに促され、僕たちは車に乗り、再び、由比ヶ浜のお店へ。
お店に着き、昨日とは反対側の、呉服屋の入り口から入る。
「ああ。申し遅れました。私は、大倉美和子と申します。コーチの奥様やっています。」
奥さん、美和子さんはあすかさん、樹里さんに改めて、自己紹介をする。
「「よろしくお願いします。」」
あすかさんと樹里さんは声を揃えて頭を下げた。
「それじゃあ、浴衣に着替えて。色々、種類をパパっと見繕っちゃったけど。こちらも三つ用意しました。」
奥さんは三つの浴衣を僕たちに見せる。
いずれも紫陽花が描かれ、それぞれ、白地にピンクの紫陽花の浴衣、紺で紫の紫陽花の浴衣、エメラルドグリーンで青の紫陽花が描かれている浴衣の三着が渡される。
その浴衣も目の色をキラキラ輝かせながら見ている女性陣の姿がある。
「ああっ、マー君は男性用の浴衣で、これね。」
奥さんは、僕にグレーのチェック柄の浴衣を手渡してくれる。
「あっ、ありがとうございます。」
僕は奥さんに深々と頭を下げる。
「早速、二階で着替えて来て。お店の構造は、夫のお店とほぼ同じ。一階が着物売り場で、二階が着替えのスペースだからね。そして、着替え終わる頃には、可愛い女の子たちの浴衣姿が見れるはずよ。」
奥さんはそう言って、僕を二階の更衣室に促した。
僕は頷き、二階の更衣室へ。目の前のカーテンを閉め、浴衣に着替え始める。
浴衣に着替え始めるとすぐに、二階に上がり更衣室の前を通りかかる、女性陣の声がする。どうやら、それぞれ、着る浴衣は決まったようだ。
そうして、着替えが終わり、更衣室から出て、一階に降りる僕。
奥さんの、美和子さんに迎えられる。
「うんうん、良く似合ってる。良さそうね。」
そんな感じでうんうんと頷く、美和子さん。
そして。
「「「お待たせしました。」」」
女の子たちの声がする。二階の更衣室から、順番に降りてくる皆。
先ずは、咲姉ちゃん。彼女は、落ち着いた感じの、紺色の浴衣を着ていた。
続いて出てきたのは、あすかさんで、白地にピンクの紫陽花の浴衣だった。
最後は樹里さん、エメラルドグリーンで青の紫陽花が描かれている浴衣だった。
「樹里ちゃん、ちょっと冒険したんだよね。樹里ちゃんが紺色かなと思ったけど。」
咲姉ちゃんはニコニコ笑って、樹里さんを見る。
「はい。その、浴衣だったら、明るい色のを着てみたいと思って、その、あすかさんにも勧められて。」
樹里さんは恥ずかしそうな顔をしながら言う。
「すごく似合ってるよ。元々は、可愛い顔をしているんだから。」
あすかさんが樹里さんを見て言う。
僕もうんうんと頷く。確かに、少し明るめの浴衣を着た樹里さんは、普段よりも明るい表情になった気がする。
「さてと、みんな揃ったので、一旦ここで、写真撮影しましょう。」
奥さんの言葉にみんな頷き、僕はカメラを取り出して、浴衣姿の、あすかさん、樹里さん、そして、咲姉ちゃんを一人ずつカメラに写していく。
僕のカメラは、昨日の競泳水着姿の彼女たちと同じように、今日の浴衣姿の彼女たちも記録していく。
最後に、シャットタイマーにして全員で、記念撮影。
「うん。良い感じね。そしたら、今日一日、この姿で、鎌倉観光に行ってらっしゃい!!」
奥さんはニコニコ笑いながら、僕たちにそう提案してくる。
「良いんですか?」
思わず嬉しそうな表情をするあすかさん。
「す、すごい。夢みたい。」
樹里さんは思わずときめいているようだ。おそらく、皆と同じ浴衣姿で嬉しそうなのだろう。
「本当に、大丈夫ですか?」
咲姉ちゃんはそう言って、奥さんに聞く。僕も同じような表情で、お伺いを立てる。
「勿論よ。行ってらっしゃい。今の時期は、紫陽花の季節よ。楽しんできて。おすすめは、すぐ近くなら、長谷寺。そして、江ノ電と横須賀線を使って、明月院もあるからそこに行ってみて。」
奥さんはそう言って、僕たちを送り出してくれる。
「「「ありがとうございます。」」」
僕たちは奥さんに頭を下げ、浴衣姿で、紫陽花の咲く、鎌倉の街へと向かった。
先ずは奥さんのおすすめ、このお店からも、一番近い、長谷寺という所へ。
江ノ電の長谷駅の踏切を横切り、仲見世通りのような小さな個店が点在するようになってくる。
スマホの地図を確認しながら、紫陽花の一つ目の名所、長谷寺へ。
長谷寺の山門を確認し、受付で、拝観料を納める。勿論、ここで、追加料金となっているあじさい路、と呼ばれる場所の入場券も購入。
そうして、山門をくぐる。すると、山を登るように順路を進んでいく。
「こういう小高い丘の上にお寺が多いのも、鎌倉の魅力ですね。」
僕が皆に説明する。鎌倉はいわゆる天然の要塞。だから、大昔、幕府を開くことが出来た。
切通しの道や、小高い丘、山に囲まれた場所である。
「そうですね。山の上や、丘の上にお寺が建てられて、眺めも良くていいですね。」
樹里さんがニコニコ笑っている。
「マー君、皆、浴衣だから、ゆっくり行きましょう。」
咲姉ちゃんの言葉通り、僕はゆっくり歩を進める。それもそのはず、僕たちは今、全員、浴衣姿とそれに見合う草履を履いている。足袋を履いているとはいえ、少し歩きやすいようにゆっくりと歩みを進めた。
そうして、山の中腹だろうか、順路通り、階段を少し上って行くと、大きな本堂が出現する。中にある、観音像を少し見て、いよいよ、鎌倉のメインスポット、紫陽花の場所へ。
明月院と長谷寺、鎌倉の紫陽花の有名スポットと言えば、ここの二つがあげられる。
前者の方はどちらかというと、林の中にあり、陰の要素を含んだ紫陽花のスポットならば、こちらの長谷寺は、高台にあり、海や町が見渡せることから、陽の要素を多く含んだ、紫陽花のスポットだろう。
山の中腹にある本堂から、また更に登って行き、あじさい路へ。
満開に咲き誇る紫陽花が僕たちを出迎えてくれる。
「すごい。」
思わず、息をのむあすかさん。
「きれい。」
樹里さんは、一つ一つの紫陽花に見とれている。
「本当、綺麗。皆で来てよかった。」
咲姉ちゃんはうんうんと頷きながら、一気にカメラを構えて、撮影をしていく。
ここからの撮影は、花と自然の撮影が大好きな咲姉ちゃんの仕事。
紫陽花を背景にして、大人気グラドル、糸崎あすかの浴衣姿をどんどん撮っていく、咲姉ちゃん。
あすかさんも、咲姉ちゃんの指示通り、次々とポーズをとっていく。
勿論、僕も、一緒に写真を撮る。そして、あすかさんは勿論だが、樹里さんと咲姉ちゃんのことも忘れずにカメラに収めていく。
「ふふふっ、ありがとう。マー君。」
咲姉ちゃんはニコニコ笑って、僕の写真に応じている。
樹里さんも、あすかさんと咲姉ちゃんと一緒なら、怖いものなしのようで、一緒にニコニコ笑いながら、写真撮影に応じてくれた。
そして、それぞれ、自分の浴衣にプリントされている同じ色の紫陽花を見て、ものすごく喜んでいた。
そんな姿も、僕はカメラに残す。
そうして、長谷寺の、あじさい路のいちばん奥、つまり、この山のいちばん上まで来た。
「うわぁ~。」
「き、きれい‥‥。」
感嘆するあすかさんと、樹里さん。
「本当、うっとり。」
咲姉ちゃんも、思わずため息。
「すごい。これは僕も、何度来ても嬉しい風景です。」
僕も思わず、ため息が出る。
これが、鎌倉の陽の紫陽花のスポットと言える所以。
振りかえれば、鎌倉の街と、海が一気に見渡せた。
遥かかなたの水平線迄広がる海。そして、その水平線と一緒に続いていく、三浦半島の海岸線。
忘れないようにカメラを構え、風景と、そして、それをバックにしながら浴衣美女三人の写真を撮っていく。
その景色をカメラと、目に焼き付けて、山を下りる僕たち。
次に訪れる場所は、このまま、大仏がある寺院の方に行ってもいいが、折角の紫陽花のシーズンだ。少し足を伸ばして、鎌倉のもう一つの紫陽花のスポット、明月院に行くことにした。
再び、長谷駅に戻り、江ノ電に乗る僕たち。
踏切が鳴り、江ノ電が現れる。
「すごい。風情がある車両。」
あすかさんが少し驚く。
「本当、この車両を見ると、マー君が鉄道好きになったの、頷けるわね。」
咲姉ちゃんが笑っている。
「はい。」
樹里さんもうんうんと、頷いている。
現れた江ノ電は、10形と呼ばれる、青と白を基調とし、レトロな柄のラインが入っている車両。
その色合いと、柄が、昔ながらのレトロな風情を醸し出している。
車内に入ると、昔ながらの雰囲気をこれまた醸し出すような感じだ。茶色をベースにした、レトロな車内である。
この10形の江ノ電に乗り、江ノ電の終点、鎌倉へ。
由比ヶ浜、和田塚と停車していく。この区間は線形が良く、比較的早いスピードで、江ノ電は鎌倉の住宅地を駆け抜けていく。
当然、住宅地のスレスレを走っていくで、JR線や他の私鉄の電車と比べると速度は遅いが、それでもかなり速い感じがある。
そうして、あっという間に、終点の鎌倉に到着。
ここから横須賀線に乗り換えて、一駅先、北鎌倉という所で下車。明月院の最寄だ。
文字通り、鎌倉の北の駅。
鎌倉の市街地とは離れた、静かな場所にあり、少し山林部分にあることから、静かな場所で修業する寺院などがこのあたりに建てられている。
その一つが明月院であり、鎌倉の紫陽花のスポットの一つ。
林の中にひっそりとたたずむ紫陽花たちが僕たちを出迎えてくれる。
「すごく静かな場所。林の中にあって、とても綺麗。」
あすかさんが周りを見ながら言う。
「たとえて言えば、長谷寺が陽の紫陽花のスポットなら、こちらは、陰の紫陽花のスポットでしょうか。どちらも人気ですが、こっちの方が林の中にあってものすごく静かですね。」
僕がそう説明する。
その説明に納得したのか、樹里さんがうんうんと頷いている。
咲姉ちゃんもうんうんと頷き。
「それでも紫陽花はとても綺麗ね。まさに、満開。それに、他の観光客も居るから、静かというわけではなさそうね。」
咲姉ちゃんはそう言いながら、笑っている。
「でも、林は勿論、竹やぶの中にある紫陽花も素敵ね。こう、竹やぶを背景にすれば、紫陽花と竹が両方カメラに入ってくれるし。」
咲姉ちゃんはそう言いながら、いくつかの紫陽花を写真に収める。
僕も紫陽花は勿論だが、浴衣姿の美女たちも写真に収めることも忘れない。
林の木漏れ日の中の紫陽花を背景にして、良い表情をした浴衣美女たちを写真に収めた。
そうして、順路に従い、明月院を一周した僕たち。
再び、北鎌倉の駅に戻り、横須賀線で、もう一度、鎌倉駅に戻った。
ここからは鎌倉市街地の散策。小町通と呼ばれる、仲見世通りを通りながら、鶴岡八幡宮へ。
「丁度お昼時ね、八幡宮に行く前に何か食べましょう。」
咲姉ちゃんの提案に僕たちは頷く。
小町通を見ながら、どこか食事が出来そうな場所を探す。
少しいいお店は、小町通沿いの建物の二階部分にある。
僕たちは良さそうなお店を一つ見つけ、そのお店に入る。二日続けて海鮮のお店になったが、やはり海沿いで食べる、海の幸は何度食べても飽きない。
そうして、注文した海鮮丼にはあるものが入っていた。それが、生シラスというものだ。
「生シラスですね。かなり新鮮な状態じゃないと食べられません。」
そう言いながら、普段のシラスとは違う、白く透き通ったシラスを指さす。
「本当だ。食卓に出てくるシラスより、透き通ってる。」
あすかさんは目を丸くしてこちらに興味津々のようだ。
「すごいですね。私も興味があって、ハルさんと同じものを頼んでみました。」
物静かだが、色々勉強したくて、好奇心旺盛な樹里さんは、僕と同じ生シラスの海鮮丼が運ばれてくるのを見て、ニコニコしながら興味を示している。
「本当よね。ここら辺ではよく、生シラスを提供していて、美味しいわよね。」
咲姉ちゃんは、うんうんと頷きながら、こちらを見ている。そして、自分が頼んだ料理が運ばれてくるとすぐに、彼女のカメラに収めるのだった。
そうして、昼食を食べ、いよいよ、鎌倉のメインスポット、鶴岡八幡宮へ。
大きな鳥居をくぐり、石畳の道を通っていくと、巨大な石段が現れる。
「ゆっくり行きましょうね。浴衣と草履なのだから。」
咲姉ちゃんの言葉に僕たちは頷く。
彼女の言葉通り、ゆっくりと、しかし、確実に一歩一歩、石段を登っていく。
そうしてたどり着いた、八幡宮の本宮。はっきりとした朱色の建物はこの町のシンボル。
本宮を見学して、後ろを振り返るとやはり、感嘆の声が響く。
そう、巨大な石段を登ったのだ。鎌倉の街並みが一望できる。
「すごい。」
あすかさんがニコニコ笑う。
「海まで見える。」
樹里さんもそう言って、遠くの海の方を見つめている。
「本当、この景色、私も大好き。」
咲姉ちゃんがうんうんと頷き、カメラを構える。
そうして、再び、ゆっくりと石段を下り、ゆっくりと石畳の道を戻る僕たち。
その後は、ゆっくりと、小町通を見学し、スイーツを食べ、お土産のお店を覗きながら、鎌倉駅へと戻った。
「ふうっ、今年も楽しかったわね、鎌倉。」
咲姉ちゃんはニコニコと笑って僕を見る。
「そうだね。今年は、あすかさんと樹里さんも来てくれたから、普段の二倍、三倍楽しかったかも。」
僕はそう言って、笑顔で、あすかさんと樹里さんの方を見る。
「はい。あの、誘っていただき、ありがとうございました。」
樹里さんは僕と咲姉ちゃんにお礼を言う。
「ありがとう。私も楽しかったわ。」
あすかさんも深々と頭を下げて、可愛らしい笑顔でお礼を言った。
「ううん。お礼を言うのはこっちの方、コーチも、奥さんも、二人が着てくれたからとても喜んでいたよ。」
僕はそう言いながら、笑った。咲姉ちゃんも同じく頷いた。
そうして、僕たちは再び江ノ電に乗り、コーチのお店で浴衣と草履を返し、お礼を言って、鎌倉の街をあとにした。
帰路の道は、鎌倉駅から横須賀線に乗って、そのまま、武蔵小杉まで行くことにした。
武蔵小杉の駅で、樹里さん、あすかさんと別れ、南武線から溝の口へ行き、自宅の最寄の二子玉川に戻った。
「本当に楽しかったわ。今年もありがとうね。」
咲姉ちゃんはニコニコと笑っていた。
「うん。本当に今年も、鎌倉に行けてよかった。」
僕はそう言いながら、ニコニコと、咲姉ちゃんと笑い合い。お互いに手を振って家に戻った。
そうして、楽しい余韻に浸りながら、毎年恒例、僕の誕生日記念を含めた、鎌倉の旅を終えるのだった。