71 訓練は大事
先日の一件で不安には思いつつも、逃げるくらいわけないのでは、と考えていた。
理由は単純、自主的に戦闘訓練をしているからだ。
箱庭試験のときに現れた黒いドラゴン、あれは明らかに受験生で対応できるものではなく試験メンバーの誰かを狙ってやったものだろう。
最初は事故だと考えていたが学校側から試験の数日前に侵入者が出ていたと言う話しにより何者かが故意に起こしたことだと言うのは確定した。
まぁ、学校側からの話がなくても黒いドラゴンが現れた時点で事故ではなく何者かが故意にやったことだと言うのは察せた。
正直、候補は絞れるものの誰が狙われているのわからない。
誰が狙われているかわからないから、私達は自分の命を守るために六人はなるべく一緒に行動する。大人数で行動すれば、自ずと狙われる機会は減ると思ったからだ。皆、若干あの黒いドラゴンがトラウマになっている節があった。
まぁ、あれからほぼなにもないので取り越し苦労だったのでは?と思ってるメンバーが大半なんだけどね。
あの試験での騒ぎが無差別の結果、たまたま私達に当たってんならとばっちりも良いところだ。
自主的に戦闘訓練を初めて少したったこと、ララとレーピオが参加するようになった。
一応わけも話した上で私達と行動を共にしているのだから、あの二人も肝が座っていると思う。
それに正直__
「あの黒いドラゴンに比べれば令嬢とか子猫も同然だよね」
「永華、あれと人間を比べるなよ……」
ベイノットは永華の発言にツッコミつつも共感していた。
そう思うのも無理はないだろう。あんな遭遇=死みたいな生物……生物?に遭遇した後なんだから。
話しは変わって自主的に行っている戦闘訓練についてはなそう。
戦闘訓練とは言ったものの、内容は様々だ。
一つ目、教師監視のもと魔法有の鬼ごっこだ。
戦闘訓練では?と初参加のララやレーピオは首を捻っていたが戦う力を身に付ける前にまずは身を守らなければならない。
身を守るために背を向けたものを易々と逃がす相手が、あんなヤバイドラゴンを用意するわけがない。その結論から追撃を受けても逃げきれるようにしようという話しになって魔法有の鬼ごっこになった。
ルールは普通の鬼ごっことかわりはない。違うところと言えばタッチされたり魔法でとらえられたりした参加者は脱落で先生のところに行くくらい。
鬼は毎度かわり、くじ引きで決める。鬼は箒は使えて自己魔法も使える。逃げる側は攻撃魔法を使わず制限時間まで逃げるシンプルなものを学校の所有地である森で行う。
二つ目、単純な魔法の撃ち合い。
一対一、多対一、四対四、様々な組み合わせて戦う。これも先生監視のもと行っている。
怪我もするにはするが先生達が魔法をかけてくれたり、各々の治癒魔法の訓練にもちょうど良かった。それに良識あるもの達が揃っているので多少のか擦り傷はあれど、それ以上のものほとんどなかった。
たまにレーピオの性癖が爆発して無茶しいようとするけど、その時は全員で止めてる……。
こっちもルールは簡単、降参するか戦闘不能になったら終了で時間までに決着がつかなければ引き分け。致命傷になるような攻撃は無し。
何度か繰り返した結果、永華とカルタ同士の訓練以外は自己魔法は禁止となった。
それから攻撃はなるべく避けるか防ぐこというルールと殴る蹴るは無しというルールも追加された。……理由はわかるね?
これに関しては戦わざるおえない状況になる可能性を考えたヘルスティーナ先生からの提案だった。
三つ目、ただひたすらに的当てをする。
これはミューが考えた、というか子供の頃からしていたことらしい。
単純に精度が上がるし、魔法を頭と体に叩き込み詠唱簡略化や無詠唱ができるらしい。先生に聞いてみれば、それで詠唱簡略化していた人がいたのでやらない手はない。
これにかんしてはルールもなにも、とりあえず的に当てることだ。あ、他人の妨害は無しで。
やってる戦闘訓練が、その三つ。
そして今やってるのが魔法の撃ち合いだ。
ローレス・レイスVSレーピオ・アスクス。
今日ついててくれる先生は魔法薬学担当教師、ニーナ・ヴィジュル先生。
「じゃあ、初めて良いよ〜」
緩い号令のもと、最初に動いたのはローレスだった。
「全知の神罰、降って災害、降りてその者に害をなせ!サンダー!」
ローレスの放った雷撃がすさまじいスピードでレーピオに一直線に向かっていく。
「おっと!」
レーピオは防御魔法は間に合わないと判断し、咄嗟にしゃがんだが毛先が焦げていた。
「鎌鼬、風切り音色をこの者に。ブレイド」
無色透明の刃がローレスを襲う。
「守護神よ。我、望む。守りを与よ。シールド。いっ!」
咄嗟に防御魔法を張ったは良いものの一歩遅く、左腕に浅く裂傷ができてしまった。
「その者の時さえ止め、永劫の寒さを与えよ。フロストスピア」
ローレスを行動させまいと次いでペットボトルサイズの尖った氷を作り出し、ローレスに向かって落としていく。
ピシッ!__
ローレスのはった防御魔法は次から次に来る氷に耐えきれなくなったのか、少しヒビが入ってしまった。
「うげっ!」
顔がひきつっているローレスに遠慮することなく、氷はさらにふってくる。
次第に防御魔法を覆いつくし、ついには中にいたローレスの姿が見えなくなった。
ピシッ!__
ピシピシッ!__
防御魔法にどんどん亀裂が入っていく。
レーピオは防御魔法をはらせて自分の身を守るためにはった防御魔法から出られなくなる状況を作り出し、ローレスを防御魔法を壊して氷を寸止めして降参してもらおうと思っていた。
バキンッ!__
ギシギシと軋んでた防御魔法が限界を向かえ、あっけなく壊れしてまった。
防御魔法が壊れたところで氷の動きを止めようとしたところ、すさまじい爆音と共に砂埃が舞う。
その砂埃はあっという間に広範囲におよび、レーピオの視界まで遮る。
「砂ぼこり邪魔ですねえ……」
突然の爆発になにがあったのか気になるが、それよりも対戦相手のローレスとニーナ先生が終了を告げていないことが気になる。
はやく砂埃をはらってどうなっているか確認しないと……。
レーピオが詠唱を唱え、風魔法を使って砂埃を動かしたとき背後で魔力が動いたのを感じ取ったが既に時遅く背後から頭に水を浴びせられた。
「うわっ!?」
被せられた水に驚きながらもすぐに振り替える。でも振り返った先には砂埃しかなかった。
「レーピオくんの敗けで〜す。“吹け”」
開始時と同じ緩い号令で勝敗が告げられ、次の瞬間には砂埃が風できれいに吹き飛ばされていた。
「レーピオくん、これが実践なら杖手放し拾いに行く間にボコボコだよ」
「は〜い」
ペペペッと髪についた水をはらう。
感じんの勝者はどこだ、そう思った回りを見渡すも見当たらない。だが不自然な影を見つけて、空を見上げると今まさに降りてきている最中のローレスがいた。
地に足をつけたローレスにレーピオは質問した。
「いつの間に上にいってたんですう?」
「あぁ、氷で防御魔法を少し前にちょっと威力強めの雷魔法の詠唱すませといて割れたとタイミングでブッパして、そんで砂埃を風魔法で煽ってレーピオの視界奪えたって思った瞬間に飛んだ」
「わあ、反射神経すごお」
なおローレスが少しでも遅れた場合、魔法の対象である氷との距離が近づし触れている可能性があるので感電していた可能性がある。
「フフン!……つっても、お前とララちゃんが参加する少し前に篠野部とミューちゃんが似たようなことしてたからパクったんだけどな。しかも腕狙ったのに頭から被せちゃったみたいだ……。悪ぃな」
「別にいいですよう」
ミューがローレスで、カルタがレーピオの立ち位置である。
「交代だよ。ローレス、レーピオ」
二人が自分達を呼ぶ声に気がつくと走って向かっていく。
無邪気でかわゆい戦闘素人の一年生二人の背を見送ったニーナはニコニコとしながらあることを考えていた。
元より一年から僅差で頭少しだけ出ていた子達が更に飛び出してきているなぁ、と。
先生、生徒の成長にニコニコである。




