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週末天使  作者: いちの
1/1

今枝と私

今枝義隆って知ってる?


私が今まで会った中で、一番嫌なやつ。


無駄に高身長から見下ろす感じが嫌。

自分が一番賢いって思ってる感じが嫌。

意味もなく鋭い目付きも、ぶっきらぼうな口調も

とにかく何もかもが大嫌い。


でもね、あの男はね

週末には天使になるの




「ホントに嫌いだよね。しおんって、今枝の事」

ケラケラ笑いながら、そう言われたから、私はムッとして口を尖らせた。

「あの男を、好きな人間なんているっ!!」

お弁当のエビフライにフォークを突き刺して叫んだら、また、笑われた。ひどい!


「今枝のこと、なんでそんなに嫌いかな。格好よくない?背も高いしさ。頭だって悪くないし、それから…」

「わあ、もう聞きたくない、聞きたくない」

あんな男への誉め言葉なんて、世界で一番聞きたくない。

「隣の席になったらわかるってば。ホント無理。絶対無理。無理ったら無理」

「すごい嫌いかただね」

「なんかもう、今枝の存在が出してる空気があわないの!!何で無駄に偉そうなの?自分のことハイスペックだと思ってるの?なーにーさーまーなのよっ!」

「落ち着きなって、もう。エビフライ振り回してないで食べたら?」

呆れたように言われたから、エビフライを口に運んだ。美味しい。今枝のことなんかでイライラしてるのがもったいない。そう思って心を落ち着かせた時


「うるせー女だな」

頭の上から、一番聞きたくない声がして、一気に食欲がなくなる。

「今枝」

見上げるとあの憎たらしい顔が、私を見下ろしてた。まあ、整った顔なのかもしれない。切れ長の目とすっと通った鼻筋とちょっと薄めの唇。一部の女子にクール系のイケメンだって言われてるのも知ってる。私は一回も思ったことないけどねっ。


「もうすぐ昼休みも終わるんだから、さっさと食えば?」

「大きなお世話だけど」

「まあ、そうだな」


せせら笑うみたいな嫌みな言いかた。これが標準装備な男なんて絶対嫌でしょう!とフォークを握りしめたところでチャイムがなる。


「ゆっくり食えよ」

今枝が隣の席に座りながら言う。ああ、本当嫌いだわこの男。そんな気持ちが変わることなんてないとずっと私は思ってた。


なのに

そんな今枝の印象がちょっとだけ変わったのは、週末のことだったの。











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