其の二十九 エミと魂の挽歌
「ガアア――ガアア――」
紫のカラスが話しているけど、何を言っているのか全然わからない。
私の表情を見て気づいたのか、彼女は顔の羽を全部むしり取ってしまった。細長い金色のくちばしが、ポトリと地面に落ちて雪に突き刺さる。それから、紫の羽がふわりと舞い落ちて、地面に根を張り、ちっちゃな木になっていく。
「ねえ、エミ!」
あれ、風鈴だね。カラスみたいだけどカラスじゃなくて、風鈴なの。
彼女はそっと耳元に近づいて、何かをささやいたけど、ちっとも聞き取れない。私の視力はすごくいいのに、耳だけが聞こえない。でも思い出した、昔はその逆だった。どこかの時間で、どこかの場所で、視力は悪くて耳だけが異常に良かったんだ。世界の設定って、まるでくるくる回る円みたい。行ったり来たり、やがてまた戻ってきて。
「へえ?視力がいい?なら、すぐに射的大会を開くから、参加しなさいよ。」
え、何も言ってないのに、風鈴には私の考えがバレちゃってる?これって本当?ちょっと試してみたいな。風鈴は貧乳。うん、貧乳だ。
「ガアアアア!!!!」
目の前の少女は怒り狂って叫び声をあげた。あまりに怒りすぎたせいか、さっきむしり取ったはずの顔の羽がまた生えてきてる。彼女はそのことにすぐ気づいて、ふっと口を閉じ、深呼吸をして落ち着こうとしている。
「僕が貧乳って!?フン、罰を与えてやる!」
彼女の体がふわりと軽くなり、空中にひょいっと飛び上がった。
その時、四角い世界の四隅にある高い塔が明るく光り始めた。四本の巨大な光が一つに集まり、地面に大きな円を描き出した。
私が瞬きをしたら、次の瞬間にはその巨大な円は消えていた。
あれ、円じゃなかったの。白くて大きな布だ。布の中心が少しずつ盛り上がってきて、何かが隠れているみたい。
「よく見ろ!」
風鈴は布の端をつかんで、一気にめくり上げた。その瞬間、雪が舞い散り、世界が轟き、吹雪が顔にぶつかってきて、思わず目をつむる。
次の瞬間、吹雪はぴたりと止まった。舞台の中央に、見覚えのある影がゆっくりと立ち上がる。
「エミ、おはよう。」
白い少年が微笑んで手を振っている。
お兄ちゃんだ!
「そうだよ、僕だ。」
抱きしめようと飛び出したその時、空の風鈴が首を振った。彼女は今、巨大な悪魂の頭に座っている。えっと、この悪魂って、さっきの白い布が変化したものだよね?
「エミ、あんたは試合をクリアしないと、兄さんを助けられないのよ。わかる?これはあなたが選んだことなんだから。」
試合か…どうしたらいいでしょ?こんな不条理な世界で、私はどうすればいいの?
「簡単なことよ。足元を見て。」
風鈴がひらりと手を振ると、空に黒い巨大な時計が現れた。その時計は流星のように地面に落ち、針や数字がガラスのように砕け散って、黒いカラスの羽根へと変わった。
目をこすって見直すと、足元には大きな弓が現れていた。それはとても大きいのに、妙に軽い。私は簡単に拾い上げ、そっと弦を弾いてみた。すると、弦の振動とともに、奇妙な旋律が流れ出した。
ポツリ、ポツリ…
耳はあまり聞こえないけど、あれは時計の音だってわかる。
「ねえ、エミ!それは弓であって、時計じゃない!わかった?」
風鈴は怒ったように叫んだ。それから、いくら弦を弾いても、時計の音は聞こえなくなってしまった。
でも、風鈴の準備に少しミスがあったみたい。弓はあるけど、矢がないじゃない。これじゃあ、どうやって試合を始めるの?
「矢?自分の腕をよく見てみなさい。」
腕?そういえば、私の腕に確かに一本の矢が刺さっている。そうだ、凛がくれた矢だっけ。
腕に刺さっていた矢を思い切って引き抜いた。でも不思議なことに、血も出ないし、痛みも感じない。まるで、肌が弾力のあるボールみたいに、傷つくことを拒んでいるかのよう。
矢をそっと弓にかけ、弦を引きしぼる。
「ちょっと待って!ルールをまだ言ってないじゃないか!」
風鈴が説明しなくても、わかっている。試合のルールは、カラスを射ること。すべてのカラスを射抜けば、私はお兄ちゃんを助けられて、一緒に家に帰れる。
「そう!頭が良いね、エミ。でも、さっきの無礼な行いのお仕置きとして、特別ルールを追加するわよ。いい?一度でもミスしたら、あなたは巨大な風船になって、破裂するまで膨らまされるよ!」
ふむ。試合が面白くなってきた。いや、これは試合じゃなくて、命をかけた大きな賭けだ。
すべてのカラスを倒せば、お兄ちゃんと家に帰れる。でも一羽でも逃がせば、私もお兄ちゃんも死ぬ。
そう思った瞬間、汗がぽたぽたと地面に落ちていった。
「おやおや、怖くなった?」
私は首を横に振った。
「はは!」
風鈴は手を叩いて大笑いしている。それが応援なのか、それとも嘲笑なのか、わからないけれど。
「じゃあ、始まるよ!」
巨大な灯台から、カラフルな光が放たれ始めた。その光は雲を貫き、雲はまるで虹のように色とりどりに染まっていく。世界全体が、綺麗な虹で包まれたようだ。
「やっほー、エミ!」
誰かが手を振っている。あれ、探偵団のみんなだ。仁也、無生、それに凛…。みんな楽しそうに跳ねながら、私に手を振っている。
次の瞬間、仁也と無生は金色のカラスに、凛は赤いカラスに変わってしまった。
「ガアガア!」
彼らは叫びながら、飛び立とうとしている。もし早く矢を放たなければ、私はこの試合に負けてしまう。
心の奥から湧き上がる衝動が、自然と弓を彼らに向けさせた。その時、空にいる風鈴は得意げな顔を浮かべている。
「そう、その調子だ!」
ふん、風鈴の思惑通りにはさせないよ!
私は素早く身を翻し、風鈴に狙いを定めて、弦を解き放った。矢は流星のように飛び、風鈴の胸を貫いた。
「な、なんで…見破られた!?」
驚愕の表情を浮かべた風鈴は、バランスを崩し、巨大な悪魂の頭から落ちていった。
「ガアアアア――!」
次の瞬間、紫のカラスが地面に落ちて息絶えた。
「くっ…!エミ、これで勝ったつもり!?」
彼女は地面に倒れ込んだまま顔を上げた。死んだカラスが話すなんて、ルール違反のはずなのに。でも、今の彼女にはもうどうでもいいらしい。
「ちょっと!エミ!僕の話、ちゃんと聞いてるの!?」
風鈴がいくら叫んでも、もう私は彼女の罠にはかからない。今は邪魔されないように集中して、すべてのカラスを仕留めるだけ!
シュッ!シュッ!シュッ!
最初の矢が仁也の胸を射抜き、次の矢が無生の手に命中、そして三本目の矢が凛の喉元を貫いた。三羽のカラスはしばらくもがいた後、地面に落ちていった。
やった!これで勝った。一、二、三、仁也、無生、凛。そして、最後の四、風鈴!これで全部のカラスを倒したんだ。これでお兄ちゃんを無事に連れて帰れるよね?
「そう思う、エミ?じゃ、よーーく見よう!」
風鈴が指を鳴らす。
「五!」
その瞬間、巨大なカラスの鳴き声が再び響き渡った。驚くことに、なんとお兄ちゃんまで白いカラスになっているじゃない!
「ガア!ガア!」
お兄ちゃん、お兄ちゃん!
「ガアア!」
いくら呼んでも、彼は全然返事をしてくれない。羽ばたきながら、どんどん高く飛び上がり、もう少しで完全に逃げてしまいそうだ。
心臓がドキドキと激しく鼓動し、息が荒くなって、頭が混乱していく。世界がぼやけて見え始めた。
だめ!もしお兄ちゃんが逃げてしまったら、私は試合に負けて、そして死んでしまう。でも、もしお兄ちゃんを撃ってしまったら、どうやって一緒に家に帰ればいいの?
「ハハハハ!」
足元で風鈴が狂ったように笑い出す。雪の上をゴロゴロ転がりながら、円を描くかのように頭を転がしている。
次の瞬間、私は弓を持ち上げた。呼吸を止めて、震える手を必死に抑え、白いカラスに狙いを定める。そして、弦を放った。
「おやおや、いい選択だね。これで風船にならなくて済んだね。でも、エイは?」
鋭い矢が白いカラスを貫き、するとそのカラスは巨大な風船に変わって、突然大きく破裂した。
肉片、血、内臓…おぞましいものが、その白い死体から四方八方に飛び散っていく。瞬く間に、世界は真っ赤な血の色に染まった。
危険が迫っていると気づいたときには、もう遅かった。
巨大な牙が私の頭に食い込み、視界が真っ暗になった。叫ぼうとするのに、声が出ない。
それから、世界が暗闇の虚無へと沈んでいった。
「うわぁああ!!」
やっと声が出た。そう、確かにこれは私の声だ。自分の喉から出てくる声が、はっきり聞こえる。
そのとき、視界が再び明るくなり、世界が黒い闇から抜け出していった。
「あ、目が覚めた、エミ。」
隣で少女が私に微笑んでうなずくと、ポケットから懐中時計を取り出した。
「午後二時。うーん、ランチには遅れちゃったけど、少なくともちゃんと休めたはずよ。じゃあ、そろそろ出発しようか。」
出発?ちょっと待って、まだ何もわかってないんだけど。風鈴がそばにいるのは安心できるけど、私たち二人は一体どこにいるの?
広い洞窟。頭上から差し込む光。せせらぎ。青々とした草。霧に覆われた松の木。そして、垂れ下がる蔓。
あ、ここは大公の館なんだ。
「はぁ、うちの可哀想なエミはまだ寝ぼけてるみたいね。忘れちゃった?墓場を出た後、家には戻りたくないって言って、どうしてもここで休みたいって言い張った。ほら、可哀想な大公、突然の訪問者の僕たちを迎えるために眠ることもできなかったんだから。」
風鈴がそう言うと、くるっと振り向いて誰かに向かってウインクを飛ばした。
「そうでしょ、マイ・ロード?」
「ガアア…」
大公は洞窟の中央でうずくまっていた。明らかに疲れ切っているようで、ゆっくりと顔を上げ、ため息をつくように鳴いてからまた頭をそむけた。
「ほら、エミ。これ以上ここに居座ったら失礼になっちゃう。さぁ、家に帰りましょ?」
風鈴の話を聞いていると、私も少しずつ思い出してきた。そうだ、今朝確かに墓地で何かがあった……そう、凛のことだ。
腕を見てみると、確かに包帯が巻かれていて、かすかに痛みを感じる。彼女は私を殺そうとしたけれど、あの恐ろしい怪物に襲われて……
凛、今も生きているのかな?風鈴が「もう気にしないで」って言ってたような気がする。
「あ、そう。ごめんね、エミ。僕はエミと一緒に帰れそうにない。もう一度墓地に戻って凛を探しに行かなきゃ。」
まさか凛がこんな結末を迎えるなんてね。たぶん一時的な狂気だったのかもしれないけれど、仲間である彼女がこうなるのは……とても残念だわ。凛が私にしたこと、きっと忘れない。でも、彼女はもう死んでしまったんだから、たぶん許そうとするべきなんでしょうか。彼女がしたことを忘れるのではなく、記憶としてちゃんと残したい。
そう。忘れるよりも、覚えること。
「凛ったら、同情するような子じゃないのにね……仲間に死の手をかけ、亡霊の仲間さえも殺しちゃうなんて。まぁ、あの悪魂が始末してくれたなら、この話はもう終わりでいいでしょ?」
風鈴の言葉に少し興味を引かれた。もしあの化け物が現れなかったら、風鈴はどうしたんでしょ。
「僕?さぁね。もし緊急事態だったら、考えてる暇なんてないでしょ?たぶん、死ぬのは凛だったかもね。もし彼女じゃなければ、僕とエミだったかもしれない。」
風鈴はそう言うと、大きく伸びをして、ゆっくりと立ち上がった。
「あー、ぐっすり眠れた!」
そう言って体についた埃や雪を払って、私の肩を軽く叩いた。私はうなずき、彼女を見つめると、その時、風鈴の表情が突然、真剣なものに変わった。
「よく聞いて、エミ。凛のことは秘密にしておいてほしい。」
秘密に?彼女はどういうつもり?だけど、風鈴の顔を見ると、本気のようだ。
「はい、エミ。凛のことは何も知らないふりをして。今朝のことは誰にも言っちゃダメ。今朝は何もなかった。ずっと家で寝てたんだってことにするのよ。分かった?」
うーん、そう言われると確かにその方が良い気がする。でも、村長のおじいちゃんや、花見さんにも黙ってないといけないのかな?
「ダメ!」
風鈴は強い口調で首を横に振った。
「村長もダメ、花見さんには絶対にダメ!もし村人に僕たちが凛と一緒に雪山に来て、そこで凛が死んだことが知れたら、どうなると思う?凛の行いは確かに自業自得だけど、僕たちが被害者だとしても、憎しみの炎が人を狂わせて、目を曇らせる。信頼できない人々に正直に向き合っても、返ってくるのは命を奪う手だけなの。そうじゃない?」
風鈴は感情をあらわにして、私の前に一歩近づき、ぎゅっと手を握った。その瞳には強い決意が宿っていて、彼女の荒い呼吸さえも感じ取れるほどだった。
「これはあなたを守るため、そして私自身を守るためでもあるの。エミ、よく聞いて。今すぐ村に戻りなさい。村には気づかれないように、村人たちに絶対に見つからないようにするのよ。凛のことは、しばらくの間隠しておくわ。その後のことは、私が何とかするから!」
真剣な眼差しで訴えかける風鈴に、私は頷いた。
「うん、これでいい。」
彼女は安堵の息をつき、微笑んだ。
「それじゃ、ここで一度別れましょう。」
とはいえ、少し不思議な気がした。どうせやることもないのに、どうして風鈴は私を先に帰らせるんでしょ?一緒に墓場へ行くことはできないのかな?
「えっと、別に大した理由はない。ただ、あそこにいる凛と墓守を簡単に埋葬してあげたいだけ。雪の上にそのまま放っておくのはあまり良くないし。エミにはもう見せたくない、怖い思いさせたくないから。」
うん、納得できる理由だ。風鈴が私のことをこうして気遣ってくれるのは本当に嬉しい。
でも、本当にそれだけ?
ふんふん。さすがは頼れる大探偵さん。こんな複雑で緊迫した状況でも、ちゃんと自分の仕事を忘れずに調査を進めているんだ。きっと、風鈴には何か手がかりが掴めているんじゃないかな?
「ああ、隠しきれないね、エミ。」
やっぱり私の予想は当たってた。
「ええ、そう。実はね、エミ。僕には少し気になっていることがある。」
何?
「飛行船だ。」
飛行船?それって、村長おじいさんの飛行船のこと?
「そう、WSS-001号、『白落号』。今、どこにある?」
言われてみると、たしかに村長の飛行船をずっと見ていない気がする……あの時のこと、ええっと、いつだったっけ?
風甲月、木乙月、水丙月、火丁月、土戊月、氷己月、雷庚月。それから光、光……
「光辛月、影壬月、星癸月。七日で一週間、十ヶ月で一年。正確な時期は伝えなくていいよ、エミ。」
そうね、おおよそ一年半前のことかな、村長の飛行船が没収された。
「没収?何だって?」
目の前の風鈴が驚いた表情を見せる。
うん、村長が教えてくれた。王国からの命令で、風花湾の港はもう飛行船の停泊場として使えないって、村長の飛行船が小さすぎるとか何とか……理由は正確には覚えてないんだけど。
それで、村長の飛行船が没収されちゃったんだ。当時は本当に腹が立って、王国のお偉方に文句を言いに行こうと思ったくらい。だって、村長とその飛行船がなかったら、きっと兄はここで死んでしまっていた。
「そんなことあった?全然知らなかった。で、村長はどうやって戻ってきた?飛行船で王国の都市まで行って、そこから公共の飛行船で帰ってきた?」
ううん。村長は直接行かなかったみたい。飛行船の引き渡し場所は、風花湾からあまり遠くない寒山町だったはず。村長が言うには、この飛行船は不思議な魔法の船で、向こうまで自分で飛んでいけるって。
「へえ、自動巡航か。」
自動……何?
「ああ、気にしない。魔法ってことでいい。王国には不思議なものがたくさんあるもの、飛行船が魔法を使えたって驚くことじゃない。」
つまり、風鈴は飛行船のことだけ気にしているんだね?
「そう。今朝、村長が自分には立派な大きな飛行船があるんだって自慢してきたから、『じゃあ、その飛行船を見せてくれる?』って聞いてみた。そしたら彼、色々と言い訳してはぐらかしてくる。ああ、やっとわかった、こんな事情があったね。後で村長のところに戻ったら、思いっきり笑ってやるよ。」
ふふ、確かに風鈴と村長の間でありそうな出来事だね。
やっぱり風鈴はそういう人だ。一度疑問が湧くと、それを突き止めるまで落ち着かないんだもの。これこそ私たち探偵団が誇る名探偵だね。
うん……探偵団といえば。探偵団……。
今や、私たち二人だけになってしまったんだね。
ほんの数日で、みんながいなくなった。仁也も、無生も、そして凛も……みんな、もういない。
じゃあ、風鈴はどう思ってる?友達が次々と倒れていって、恐ろしい敵がまだ潜んでいるこの状況、風鈴は怖いと思っているのかな。
悲しんでいるのかな?それとも、より勇敢に、より強くなっているのかな?それとも、感覚が鈍ってきて、冷静に現実を見つめているのか……私は知りたい。
「ありがとう、気にかけてくれてね、エミ。でも、僕の考えは、今僕がしようとしていることそのものよ。」
そう言うと、風鈴は大公に向き直った。
「消極的なことや余計なことを考えるより、今とこれからのことを考えるべきよ。僕たちは、死んでしまった仲間たちの責任や使命を背負っているから、時間を無駄にすることはできない。たとえば今なら、ここを離れること。そして、エミが村に戻り、僕は墓場に行くこと。暗い過去を思い出すのはやめましょう。未来はもっと暗いかもしれない。だからこそ、僕たちはそれに立ち向かうのよ。」
でも、私は忘れたくない。彼らの顔も、声も、忘れたくないんだ。
「大丈夫。ただ、その想い出と記憶を、僕たちの勇気と決意に変える。そして、それを前に進む力にする。」
うん、それは私も同じ気持ちだ。
「そうでしょ。だから、今僕と一緒にやりましょう。」
そう言うと、風鈴は手をパンと叩いて、大公に向かってお辞儀をした。
「さようなら、マイ・ロード。」
手を叩いて、お辞儀をする。
「また、マイ・ロード。」
別れの儀式を終えて、私は顔を上げた。
風鈴は、静かに微笑んでいた。
小説を読んでいただき、ありがとうございます。
もし良かったと思っていただけましたら、作品に評価をお願いいたします。
一つ星でも問題ありません。もちろん、より高い評価をいただけると嬉しいです。
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