其の二十一 彼岸
金色の野原、金色の山、金色の太陽。夢世界の大劇場では、舞台は相変わらず熱演中。
第三幕――「追放」。って、待てよ、空にでっかい影が出てきたみたいだ。なんだ、それ。
ドラゴン?!マジかよ、黒い巨大なドラゴンが劇場の上空をサーキットしてる!でも、台本にそんなの書いてない。まずい、あのドラゴンがダイブして、地面に向かってる。これは劇団長が急遽用意した演出なのか、それとも今日の公演がまたノーマルじゃない方向に進むのか?いや、プロの俳優として、リアクションしなきゃいけない。これは僕にとって、きっとえぐい試練でしょう。
よし、それでいく。あの金色の影は気にせず、早く隠れよう!まじか、あのドラゴンが屋外のステージにますます近づいてきて、もうすぐぶつかってくる。いや、ここにいるのはもうやばい、急げ!
「ガアアアア!」
あ、これはドラゴンの咆哮音だ!ええと、なんでこんな音?うん、ちょっと不快だな。ということは、このドラゴンもイメージとは違うのか。首が短くて、真っ黒い頭。全身が黒い羽毛で覆われてて、龍の鱗一枚もないよ。
明らかにカラスでしょ。ふん、この劇団長、俳優の選び方どうなってんだよ。即興演出だからって、カラスをドラゴン役に選ぶなんて。客席の皆も一目瞭然でしょ、そのうちクレームつけて返金要求するに決まってる。どうしよう。こんなに働いたのに、給料もらえないなんて耐えられないよ。
すると、ドラゴンの背中から海賊が飛び降りてきた。ん、アイパッチかけて、赤い髪染めて、手には短い軍刀。このキャラ、かっこいい。僕はこのタイプ好きだ。ええと、待てよ、この海賊ってなんで鳥の頭なんだよ!これ、またカラスじゃん!
ああ,この二人ともこんなにプロじゃないんだから、今日の公演は完全に失敗しちゃいそうだ。そうでしょ、客席の皆、もう怒って叫び出してる。もうちょっとで、倉庫に突入して、前もって買ったチケット代金を全部奪い返しちゃうんじゃないかな。
「ガーア!」
海賊が号令で、ドラゴンが力強く吸気して、そして吐き出す。巨大な嘴から、黒い炎が噴き出した。客席の皆、一瞬で灰になっちゃった。
――よくやった!
僕は舞台に向かって突進し、海賊とハイタッチした。このやつの演技はめちゃプロじゃないけど、決断力は抜群だ。金払ってるバカどもを全部殺して、今日の給料は確保できるんだ!
彼は力強く頷いた。そして、手に持っていた軍刀を振り上げ、僕の首を切り落とした。
――幕切れ。今日の演目は終わり、ご視聴ありがとうございました。
あの、違う。僕はもう死んでる、セリフなんてもう言えないよ。
あぁ、もういいや、どうせ僕も観客も死んじゃったんだ、そんなこと誰も気にしないよ。これでいい。
目を覚まし、急いで懐中時計を見た。朝の四時四十分。
「ガアアアア――」
窓の外で、一匹の寒鴉が気が狂ったかのようにずっと大声で鳴き続けている。それから、口でガラスをガンガンと叩いてやがる。
寒鴉どもはエネルギッシュなやつらだってことはわかってるけど、僕は人間だ。ちゃんと休息が必要だ。あぁ、こんな早朝に僕を起こすんじゃなかった。僕を連れて遊びたくてウズウズしてるのか。こんなに騒がしいとわかってたら、それらをここに泊まらせなかったのにな。
――隊長、うるさいな!僕を起こしたのはお前でしょ!」
「ガアア!」
――なに?「はい」と言ったの?だったら、当然のように認めるつもり?」
「ガアア!」
ふん......ええと、何か変だな。
そうだ、なんで隊長がここにいる?いや、今頭がまだボーっとしてる。早く何とかしなきゃ。そうだ、昔の方法でやろう。
「パチッ!」
頬がずきずきと痛む。ああ、もう少し冷静になった。
ああ、思い出した。彼らをここに駐留させたんだ。周囲の状況を監視するように命じたんだ。緊急事態が発生したら、すぐに連絡を取るように。
つまり、隊長が僕に報告してきた?何かあったのかな。
ベッドから急いで起き上がり、振り向く。白い少女が、まるで何もなかったかのように裸で安らかに眠っている。なんだかんだ、特に変わったことはないみたいだ。
でも、たぶん隊長がうるさいせいで、エミは目をこすりながら起きた。大きなあくびをして、ボォーっと僕を見てくる。
「風鈴、おはよう......いいえ、あの......こんばんは?」
――えっと......おはよう?
「はい......」
エミがうなずく。急に笑顔になり、僕の胸をギュッと掴んだ。
――ひゃっ!エミ、何考えてんだよ!
胸にはふわふわした微妙な感覚が広がって、僕は呆然とエミを見つめる。彼女は愚かな笑顔を浮かべ、うつらうつらして、そして目を閉じた。
「ふふ、可愛い......私、この夢が好き。」
――ちょっと待って、夢じゃないよ、エミ。早く目を覚まし......
「ううん......いやだ。」
寝言を話してるかのように。そして、再び横になり、またぐっすり眠り始めた。
ふっ、やっぱりエミの力を甘く見てたな。こんなに敏感な耳と、こんなに大きな警報でも、この居眠り虫を完全に目覚めさせることはできない。でもまあ、それでもいい。これでエミに何も起こってないってことが証明された。今は、僕たちはかなり安全なはずだ。
じゃ、隊長がなんで警報を鳴らした?もしかしたら他の事かもしれない。だめだ、油断はできない。寝転がってまた眠りたい気もするけど、慎重に考えて、やっぱり外に出てみるべきだと思う。
着替えて、準備万端。そうだ、今回は絶対に忘れないようにしないと。状況がますます危険になってきてるから、手ぶらで出かけるわけにはいかない。ええと、そういえば、エミが僕の武器をどこに置いたかな?
この打刀、エミのベッドの下に一週間以上も転がってる。その名は「星滅」、霧の紗以外の僕の第二相棒だ。手でそっと黒い鞘をなで、上の埃を払った。そして、柄を握った。
うん、慣れ親しんだ感触が指から手のひらへと広がっていく。心地よいけど、なんだか違和感もある。ずっとずっと前に使ったこの武器。今日も、刀を抜く必要はないと願ってるよ。
でも、今は別に昔の相棒との再会の時じゃない。早く武器を腰にしまって、出かける準備をしよう。
実を言うと、昔の習慣は今の変化に合わせるのが難しいこともある。武器が床に落ちたとき、初めて気づいた。そう、今着てるのはエイの服だ。厚いコート、厚いズボン、ブーツとマフラー、腰には全然ベルトがない。僕も昔の軽装に戻りたいけど、エミみたいに耐寒性がないんだ。しょうがない、手で持っていくことにしよう。
急いで階段を下り、外に駆け出した。墨雪家の周りを一周走り回りながら、周囲の様子をチェックした。うーん、どうやら問題なさそうだ。何も危険な兆候は見当たらない。ただ、隊長はまだ鳴き続けていて、鴉の群れを率いて空をぐるぐると飛び回っている。
夜明けが近づいている。地平線を見ると、微かに太陽の輪郭が見えるようだ。その点火されたような赤い線が、暗い空と冷たい海を分けるように彩る。燃えるような光がその溝から飛び出し、空の小さな雲を血のような真紅に染め上げる。
僕は暗闇の空が、夜明けの光で赤く染まると思っていた。しかし、隊長の集合の号令と共に、青い光点が頭上に突然現れた。
「ガアアア!」
――隊長、どうかした?あ、まさか......
ここだけじゃない。同時に、村のどこかや雪山の方向にも、青い光点が見えた。つまり、篠木家と花見家に駐在していた寒鴉たちや、雪山の寒鴉たちも、この強力な呪術に呼び出された。以前に何度も見た光景と同じように、青い円環が呪力を吸い上げ、巨大な呪術陣を形成した。隊長は寒鴉たちを集め、そして鴉群を率いて呪術陣に向かって突撃していった。
――待ってよ!
隊長は僕の声に応えることなく、そのまま呪術陣へと突っ込んで、跡形もなく消えてしまった。中尉や他の寒鴉たちも、弾丸のように次々と飛び込んでいった。
やっぱり、それらは転送されたんだ。んっ、どうやら海の方で何かが起きているようだ。
待って、海か?やだ、もしそれが海だったら......
僕はつい想像してしまう。誰かが海に侵入しているという、恐ろしい光景を。
もしかしたら、それらの寒鴉たちは緊急の危険があるわけではなく、ただ海からの呼び声を感じ取っているのかもしれない。今、彼らはその召集を受け、海へと向かって、侵入者と対峙しなければならない。
ちくしょう、もうためらう時間はない。その勇敢で頑固なバカを見つけ出し、海で死なせてはならない!僕たちの探偵団はこれまで苦労してきた。いかなる場合も、白雪村にはもう犠牲者は出してはならない!
空はだんだんと明るくなってきたから、視界が制限されることも心配しなくていい。誰かが今海に侵入しているということは、まだあの黒煙が現れていないということだ。
この機会を逃すわけにはいかない。行こう!
氷原の果てが見えない広大な世界の中、僕は目標を見失いそうになってた。でも、望遠鏡を持ち上げると、すぐにそれを見つけた。遠くに、小さな黒い点があって、それが氷原を進んで、海の奥深くに向かっていく。
くっ、これはまずい。あの人が僕から遠すぎて、もうあの時の仁と会ったのとは比べものにならない距離にいる。認めたくないけど、遅れてきたのは確かだ。
――おい!
大声で叫んだけど、相手は何も反応しない。
まったくだめだ、やっぱり距離が遠すぎる。彼は僕の声さえ聞こえてない。このままじゃ、彼に追いつくのは無理でしょう。
いや、違うよ......これはもっとまずい状況だ!あの人、なんとスピードがさらに速くなっているんだ。
なんだ、これは一体どういう意味だ?まさか......ちくしょう、逆効果かな。
声が相手の警戒心を引き起こしたのか、ますます海へ向かって逃げていく。ふっ、彼は僕に捕まれるのを恐れてるってわけか。それでも、こんなに無駄に頑固になるなんて。
もしかしたら、最初から引き返すつもりなんてなかったのかもしれない。じゃ、僕はどうしようかな。彼が死ぬことがほぼ確実だってわかってるのに、前に進むのか。彼も、前に死んだ連中と同じように、海の亡霊に殺されるってことも理解してるのか?知ってるかもしれないが、気にしないのか?
とにかく、彼の動機が理解できない。自殺願望でもあるのか、そんな馬鹿な。
走り続けても、不吉な予感がますます強くなる。もう遅い気がする。彼は遠すぎて、走り続けている。追いついたときには、もう海神に殺されているかもしれない。
ちくしょう、何とかしなきゃ。彼が引き返さないなら、僕が捕まえるしかない!でも、どうやって?彼に追いつけないし。まさか僕はも寒鴉のように、呪術陣に飛び込んで彼の前に転送するしかないのか?バカげてるな、これは。
待てよ、転送?そうだ、気づいた。そういえば、寒鴉たちは今どこだ?もう呪術陣に入っているなら、今どこにいる?もしかして、もうすぐ現れるのかな。
思った通り、遠くで空に呪術陣が出現した。先ほど呪術陣に入った寒鴉たちが、次々と姿を現した。黒い点々が空中で集まり、地上の人に向かって急降下していく。やはり、また鴉の群れが現れた。
もし寒鴉たちが彼を海に行かせないってことなら、まだ望みがある。でも、それらはほんとにそんなことするのかな。彼を攻撃するつもりなのか、それとも守るつもりなのか、わからない。今できることは、ただグッと我慢して観察することだ。具体的な状況を確認する前に、鴉の群れに攻撃するのは待てない。まずはきっちり観察して、遠くで何が起こってるかを把握しなきゃ。
大群は黒い嵐みたいに、あの人を呑み込んでいった。彼は攻撃しようとはせず、隊長の指示で陣形を変えて、その周りをぐるぐる回り始めた。
いいよ、その通り。以前僕と仁也がやられたように、あの人に警告を選んだ。これはチャンスだ。寒鴉が彼を囲んでくれてるうちに、僕も合流する時間が作れる!
だが、まさかまだ修正の余地があると思った瞬間、その黒い嵐の中で、なにやら急に現れたみたいだ。眩い青い光が、まるで新星のように、その嵐の中心からぼんやりと上昇している。そして、その光点がパッと爆発して、でっかい衝撃波が広がり始め、接触したかんたちはみんなすごい勢いで吹き飛ばされた。その黒い籠が、強烈な波動でパッと崩れ去った。隊長の指示で、鴉の群れはさっと高度を上げ始めた。それらの妨害が消えて、あの人の姿が一気に現れた。
彼は何かを高々と掲げている。それは......長い鉄パイプ!その鉄パイプは松明のように、先端が青い炎で燃えている。寒鴉たちはそれに近づこうとするが、その炎を怖がっているみたいで、天空でグルグル回って、低い鳴き声をあげていた。
鉄パイプ?なんでこんなに馴染みがあるんだ。そう、寒霜。彼の手に持ってるのは、寒霜杖だ!その魔杖の力を使って、彼を守ろうとする寒鴉たちを近づけさせないようにしていた。その後、寒霜杖を高々と掲げながら、再び走り始め、海の奥深くに向かって走っていった。
やばい、こいつ、寒鴉の行動を予測してたのか?もしかしたら、彼のすべての行動は、ひとつの計画に基づいていたのかもしれない。そうだ、そういえば、さっきエミの部屋にいたとき、寒霜杖があるかどうかを確認しなかった。普段ならエミが壁に立てかけてるんだけど、僕はそれをチェックし忘れてた。
墨雪家にスムーズに入ることができた。寒鴉に敵対されずに済んだ。寒霜杖の役割を知っていた。鴉の群れが海への進路を阻むことを知っていた......すべての手がかりを組み合わせると、遠くで走る人物の顔が、ますます脳裏に鮮明に浮かんできた。
まさか、それが君の意味するところだったのか。今日の午後、冗談じゃなく、本当にそうするつもりだったのか。君は僕にそれをほのめかしたけど、僕は全然気づかなかった。ちくしょうっ、ちくしょう!なんとか理解した気がする。全部わかった。なんであの時、君はあんな表情をした。なんで君は悲しそうにしながらも笑ってた。そうか、君は計画してた、ついにそうすることを決めたんだ。でも、死ぬよ、これで行くと、君は死ぬよ!それを知ってたはず、きっと知ってたはず。なんで、なんでこんなことを!
――仁也!
思い出すように、間もなくこの海の中で、僕と仁也もいた。彼の正体を知った後、僕も彼の名前を叫んだ。ああ、彼が以前のように、振り返って、一緒に家に帰ってくれることを願ってやまない。
僕の言葉を聞いて、少年が足を止めた。
混沌の中、彼が僕のそばに戻ってきたのを感じた。僕を見つめながら、微笑んだ。
――仁也、なんで行くの?
僕が尋ねる。
「言ったじゃないか、風鈴。無生を死なせはしない。」
彼が答えた。
目の前、金色の影が話している。その声は小さく、多くの雑音が伴っていた。
――でも......
「知ってるだろ?海の奥に、時間神の秘宝があるって。伝説では、その秘宝が時間を逆戻りさせることができるって。無生を救うためにそれを使うんだ。」
――馬鹿なこと言うな!それは不可能だ!
「違う、風鈴。俺は、必ず見つける。」
――仁也、やめろよ!
「いいえ。もう遅いんだ、風鈴。さようなら。」
一瞬の間に、少年の姿がぼやけて、僕は目を閉じた。再び目を開けると、彼がまだ遠くに立っているのを見つけた。
仁也は僕の言葉に反応もせず、振り返ることもなかった。数秒後、彼は足を速め、止まらない列車みたいに、大海の奥深くへと進んでいった。
悲しみを覚えながらも、彼がもう振り返ることはないし、もう振り返ることもできないことを理解した。
彼は全てを忘れたかのように、ぼさえも見向きもしなかったかのように、まるで意識を失った人形みたいだった。けれども、彼が最後のわずかな偽りの「希望」を捨てたくないだけだと知っていた。ある信念を抱き、大海の彼方へと向かっていった。あの虚無の泡影を、追いかけるためだ。
もう彼に追いつくことはできないこと。僕は自覚した。
黎明が訪れ、地平線には太陽の半分がすでに顔を出していた。
視界の果てに、何かが現れたようだ。そう、黒いものが。
それは黒煙?もしかしたら、黒煙が現れたか。でも、違うような気がする。広がる黒いものは、連なる山々のようでもあり、人の髪の毛のようでもある。からみつく黒い糸のようでもあり、頭を持ち上げる毒蛇のようでもある。とにかく、不快な形で群がって立っている。もっと遠くに。
もっと近づいて、もっと近づいて。
遠くにいる仁也は、それらの前で立ち止まった。顔を上げ、見つめた。そして、僕もその時に、それらの姿をはっきりと見た。
仁也の前には、巨大な森が広がっていた。この森が、黒煙の後ろに隠れていたものだ。
でも、それって本当に木かな。直径は約三メートル、高さは数十メートル。数百本がそびえ立ってる。それらは巨人のようで、大海の上に立ち並んで、灰色の巨大な城壁を形成してた。枝も葉もなく、上に行くほど細くなるし、高塔みたいだし、巨大なタコの触手みたいだ。
大木たちはただ立っているだけ。木の幹は灰色で、表面は粗くなく、逆にすごく滑らか。通常の樹皮のようじゃなくて、人の肌のようだ。そう、見てると、これらの木が生きてるみたいに感じた。幹を刺せば、黒い血が流れ出すんじゃないかと思えるほど。
木の幹には、いろんな大きさの穴が開いていて、そこからたくさんの黒い小動物が出てきた。そう、それがまさに寒鴉だ。一匹ずつ頭を出し、何百、何千という数の寒鴉がいた。正直言って、こんなに寒鴉を見たことない。
そこまでして、やっと信じられた。ここ、海の奥深くこそ、本当に寒鴉の故郷なんだ。
その時、遠くからある寒鴉の鳴き声が聞こえてきた。
「カアアア!」
その尖った声......そう、神官。それの声、覚えてるから。
一瞬のうちに、全ての寒鴉が一斉に穴に引っ込んでいった。
今、もう一羽の寒鴉の姿はもう見当たらない。この広大な氷原の中、ただ大木だけが、静かに僕たちを見つめている。
世界は静寂に包まれたけど、それは一時的なものだ。僕はわかっている、これはただの前触れ、暗示に過ぎない。本当の恐怖がやってくる前の、ちょっとした安らぎ。
恐ろしい現実を予感した後、僕も少し怖くなってきた。この時、頭の中にまたある言葉が浮かび上がってきた。
「海に近づかないで。不幸になる。」白い少女の声。
「神を冒涜する者は、裁きを受ける。」老人の声。
「夜。死。海神。」屍鬼の声。
夜が明ける頃、黎明。
運命の鐘はもう鳴り響き、裁きの時が来た。海の中の死神、夜明けに降臨する。手に鎌を持ち、神の意志を代わりに執行し、海を冒涜する者を罰する。
彼が来た。やっと来た。
――海神だ!
小説を読んでいただき、ありがとうございます。
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一つ星でも問題ありません。もちろん、より高い評価をいただけると嬉しいです。
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