第九部 第八章 腹ごしらえ
ようやっとアイシクルケイブの山が見えてきた。
そしたら、羊達が騒いで何かと思えば、襲ってきた熊のモンスターを倒していた。
「いやいや、熊はねーだろって思うんだが」
俺が呆れて馬車を止めてもらって降りた。
中型だがそれでも熊のモンスターは大きかった。
「最初におとり役が蹄で身を守りながら、他のが目と鼻先を潰してって感じだな」
羊たちの蹄が血濡れていた。
「凄いね」
「本当だ」
ジェシーとマシューが感動していた。
まあ、羊が戦闘生物って無茶苦茶だもんな。
しかも、また綺麗に吊るして血抜きしてるし。
「戦う前に、皆で腹ごしらえしてはどうかな? 」
コリーが提案したので、皆が賛成をとるまでもなく焚火などを始めた。
『まあ、山奥のダンジョンのスタンピードなんて、別に街に被害がすぐに出るものでもないし、ケイシーの話だとまだ数日かかるとか言ってたから、戦いになって食べれなくなる前に腹ごしらえするのは大事だろう』
「弱小モンスターとはいえ数はそれなりだろうしね」
俺が喋っていたせいでセシリアちゃんがそう答えた。
「熊のモンスターの肉っておいしかったっけ? 」
アルバートが聞いてきた。
「熊肉は血抜きがちゃんとできてると旨いよ」
イエスが答える。
この分だと羊達が熊を倒したのは、初めてでは無いようだ。
恐るべし戦闘羊。
という事で、皆で熊の解体をして食べる。
「この肉のついた骨を罠に使おう」
コリーがそう言いながら、パタパタと骨とついた肉のあたりを拾って籠に入れ始めた。
コリーはいろいろと器用で罠にも長けていた。
「そうかあ、ワームとかは捕まりそうだよね」
セシリアが感心している。
「確かになぁ」
アルバートも同意した。
「あんたも罠系は得意でしょ」
ノーマがちらりと俺に話しかけてきた。
「いやいや、俺のは陰湿な罠ばかりだから」
俺が謙遜してそう話す。
そしたら、皆が頷いた。
謙遜のつもりだったんだけど、どういう事なんだか。
「まあ、毒で相手を削ってくタイプだからね」
セシリアちゃんが勝手に話を拡げていく。
「おい、ハリー。言われてるぞ」
「いや、ハリーのは良い毒だから」
俺がハリーに突っ込んだらセシリアちゃんが即答して、ダリアもジェシーも微笑んで頷いた。
納得いかない。
「まあ、とりあえず、焼けたから食べよう」
イエスが良く焼けた熊のモンスターのステーキを皿にもってくれたのでおしゃべりは止めて、肉を食べることにした。
旨い。
本当に旨い。
「熊って本当に旨いんだな」
アルバートが感心するくらい旨かった。
だけど、索敵に妙な動きがあって、食事を堪能できるかどうか分からなくなった。
あれ?
スタンピード?
どうも雰囲気が違う。




