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第九部 第五章 話が違う

「ええと。空気が悪くなるから、エドウィンさんはもう少し考えようよ」


 マシューが困った顔で呟いた。


「いやいや、厳然とした事実だぞ。こいつら、サイレンスマーダーに殺させようとしてるし」


 俺が淡々と話す。


「謝ったし」


「その節は、すまんかった」


 ダリアはひねくれた顔をするし、アルバートは頭を下げた。


「いやいや、そういうドロドロの話を何とかしたいと思ってるんだけどな」


 ジェシーが苦笑した。


「いやいや、冒険者なんて、こんなもんだからなぁ。ジェシーが良い人なのは認めるし、間違いないけど、そんなのは難しいと思うよ。うちに泥棒に入ってたのだって実は半分は冒険者だったし」


 俺がジェシーにそう話す。


 ちょっと、人が好過ぎて心配になることがある。


 俺は基本他人の事はあまり気にしないが、やはり、このエイドリアン様のギルドのまとめ役としてのジェシーはある意味無くてはならない人物だろうし。


「そう言えば、イエスさんでしたっけ? 新しく<チームジャスティス>に入られたんですよね。最初からA級だったようだし。どこで冒険者をしてたんですか? 」


 そうマシューが言ったので初めて気が付いた。


 そういや、こいつ冒険者になりに来たって言ってたのに最初からA級だったよな。


「ちょっと、お前、どういう事やねん」


 俺がイエスに突っ込んだ。


「何で関西弁? 」


 イエスがそこじゃないところに突っ込んできた。


「いやいや、そういう話じゃねーよ。良く考えたら、お前最初からA級だったよな。だから、うちに入れたわけだし。どういう事よ。それまで羊飼いだろうが」


 俺が真顔でイエスに聞いた。


「なんだ、今頃、気が付いたのか? 」


 イエスが苦笑した。


「どういうことだ? まさか、お前も神聖帝国(ホーリネスエンパイア)絡みか? 」


 俺がイエスに身構えた。


「違う違う。エイドリアン様のお父上のハートネット公爵が俺の住んでいたところで政敵の暗殺者に襲撃されたのよ。それをたまたま見てて羊を使って迎撃したらハートネット公爵が感謝の印でいろいろとねじ込んでくれて、それでA級冒険者としてのバッチも貰ったんだ」


 イエスが笑いながら話す。


「何だ、あんたはコネ系かよ」


 ノーマが苦々しく吐き捨てた。


 ケルト王国はギルドの力が強く、各ギルドは貴族によって運営されている。


 だから、まれにコネで階級を貰う冒険者がいる。


 貴族の子弟に多い。


 そういうのをたたき上げはコネ系と内々で蔑んでいる。


「いやいや、B級冒険者まででしょ。コネ扱いは」


「そうだよ。政敵絡みの暗殺者を撃退するとか、俺達でも難しいし」


 ジェシーとマシューがそうフォローした。


 相変わらず性格が良すぎる。


「というわけだよ。分かった? 」


 イエスが肩をすくめる。


 でも、どうも俺はこいつがそれだけじゃないような気がして仕方がない。


 とりあえず、警戒は解いたけれど。

 


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