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第九部 第二章 割り勘

 そういうわけでいつまでも引きずられていくのも何なのでしぶしぶといつもの気の置けない酒場へ俺とイエスとハリーとセシリアちゃんと行く。


『ちなみに、俺とイエスは下戸に近い。あまり飲まないのだ。それなのに飲み会だと割り勘とか言って、結局、糞みたいに飲んでる奴の勘定まで払う羽目になる。正直、この手の風習はやめてほしい。エイドリアン様と飲むならともかく、金がかかるだけだ』


「あんた。あっちでそういう事を言ったりしないでよ。本当に空気が読めないんだから」


 どうやら、俺が喋っていたようでセシリアちゃんに睨まれた。


「まあ、つまみは旨いんだけどな」


「酒飲めないってつらいよな。財布的に」


 割り勘で損するのがばかばかしい。


 そんな感じで俺とイエスで愚痴った。


 そうこうしている間にいつもの気の置けない酒場についた。

 

 ドアの外から大盛り上がりなのが分かる。


「派手にやってんな」


「本当だ」


 俺とイエスが顔をしかめた。


「良いから、入るよ」


 セシリアちゃんがそう言うとドアを開けた。


 シーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!


 この効果音を作った手塚治虫先生もびっくり。


 あっという間に酒場が静まり返った。


 皆が山でドラゴンにでも会ったような顔でセシリアちゃんを見ていた。


『あ、そうか。そんなこともあったねぇ。俺はいつもの事だから気にしないけど、他の奴はそうはいかないか』


「は? 」


 俺が喋ってたらしくてセシリアちゃんがガンを飛ばしてきた。


「ははっ、何でもございません」


 俺が慌てて頭を下げた。


「ちょっと、皆、どうしたの? 」


 ジェシー・ミラベル・メイトランドが皆を見回した。


 赤みがかった金髪で青い目の二十五歳の超美人で<チームチェイン>のリーダーである。


 セシリアちゃんとは特に仲が良かったので気になったようだ。


 だが、誰もが口を噤んで喋らない。


 セシリアちゃんも少し居心地が悪そうだ。


 なるほど、それで俺達を飲み会まで連れてきたわけか。


 セシリアちゃんは<チームジャスティス>の飲み会とか仲間のコミニュケーションにはいろいろと言うが、よそのグループとの関係に関してはあまり言わない方だ。


「まあまあ、皆、気にしないでくれ。俺達もおごるからさ」


 アルバートがそう皆に声をかけた。


 そしたら、少し空気が変わって歓声が上がった。


『たまにはリーダーみたいなことするんだよな。まあ、それでリーダーなんだが』


「いやいや、そういう風に冷やかに言わんでほしい」


 アルバートが苦笑した。


 どうも、喋っていたようだ。


 だが、お陰で居心地悪そうだったセシリアちゃんの顔が少し柔らかくなった。

 

 この辺は良かったな。


「ところで、少し聞きたいのだが」


 イエスがアルバートに囁いた。


「俺もだ」


 俺もアルバートに囁いた。


「何? 」


「「割り勘? 」」


 俺とイエスが同時に囁いた。


 そしたらアルバートが頷いた。


 俺達は奥のソファーにハリーとがっくりと項垂れて座り込んだ。

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