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第二部 第二章 飲み会

 いつもギルドの仲間が集まる、気の置けない酒場に着いた。


『まあ、実はエイドリアン様が経営してらっしゃるので、別にここで飲み会をするのは構わない。エイドリアン様への献金のようなものだ。そう考えれば、これはエイドリアン様への奉仕だ。くだらない仲間の為の飲み会じゃ無いと思えば良いのだ』


「だから、喋るなって言ってんのに」


 セシリアちゃんが深いため息をついた。


 気がついたら、<チームジャスティス>の仲間がドン引きした顔でいつもの奥のソファで座って俺を見ていた。


「貴方に悪い事をしたと思ったから、飲み会やってるのに」


 そうダリアが愚痴った。


「いや、そう言う気遣いはいらんぞ」


 俺が微笑んで答える。


「ほら、やってもしょうがないじゃない」


 ダリアが不貞腐れた。


「これから、命をかけて助け合うんだから、仲良くしないでどうするの? 」


 セシリアちゃんがキレた。


「いや、気を遣わないでくれって言いたかったんだが」


 俺がしどろもどろになった。


 俺はセシリアちゃんには弱いのだ。


「まあまあ、とにかく、この間は悪かった。首にしようとしたのも、お前が常に戦わなかったからだ。あんなに強いなら、今後とも頼みたい」


 アルバートがそう頭を下げた。


「いや、俺は索敵と渉外がメインだから戦わないぞ? 」


 ドンッ! 


 俺がそう言うと同時にセシリアちゃんが机を激しく叩いた。


 顔が鬼のようだ。


『これはまずい、セシリアちゃんがキレると、凄くヤバイ。かって、村にオーガ族の襲撃があった時に、セシリアちゃんの親父さんが撃退したような話があったが、あれは実はセシリアちゃんがパワーファイトで掴んでは投げてボコボコにして倒したのだ。あの時の修羅を見てしまった俺からすると笑えない。流石にご両親が、将来有望の賢者であり、しかも可愛らしい娘がパワーファイトの修羅はまずいので慌てて自分達がやった事にして隠蔽……』


 ゴキンッと鈍い音がした。


 セシリアちゃんが俺を一撃したのだ。


「ちょ! 」


「え? 」


 アルバートとダリアが動揺している。


「あ、手が滑っちゃった」


『セシリアちゃんがそう誤魔化そうとするが無理だろう。だって、俺がめこりとテーブルに埋まるくらいの……』


「喋るな」


 その短く殺気の籠ったセシリアちゃんの声は何故か酒場中に広がって、皆が静かになった。


『見事な猫を被っていたが、ついに本日に被っていた猫を脱いで本当のセシリアちゃんがデビューした』


「あんたがペラペラ喋るからぁ! 」


 セシリアちゃんが机にめり込んで鼻血が出たままの俺をゆさゆさした。


「いやいや、今日は本音で話そう。まさか、こんなに強い連中が仲間に隠れているとは思わなかった」


 アルバートには悲願がある。


 お家騒動で嫡男なのに領土を追われたが、その領土を取り返して領主に戻る事だ。


 だから、いろいろと融通が効くS級やSS級になるのに拘るのだが、これは悪手だな。


 セシリアちゃんの目が三白眼になっている。


 今までの可愛い賢者のセシリアちゃんでは無く田舎のヤンキー娘だ。


「まあ、何だ。アルバート。お前んとこはお前が把握して無いだけで、SS級になってもおかしくない奴がごろごろいるって事だ」


 エイドリアン様が酒場に笑いながら入って来た。


『流石、エイドリアン様だ。絶妙のタイミング』


 そして、俺もまた、絶妙のタイミングでクスシヘビの酒漬けを渡した。


「おお、もう作って持って来てくれたのか、ありがとうよ」


「いえいえ、エイドリアン様にはお世話になっておりますから」


 エイドリアン様に喜んで貰えて嬉しい。


「ところで、飲み会の最中に悪いが、お前を訪ねて変な奴が来てるんだが」


 エイドリアン様がそう困ったように呟いた。


 はて、一体誰なのだろうか?

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