第九部 第一章 プロローグ
世界中の神聖帝国による激しい内紛と破壊が始まるきっかけを作った二人はイエスの屋敷で愚痴をこぼしていた。
エドウィンは一生懸命やったのにぼろくそに言われて、その事をいまだに引きずって愚痴っていた。
イエスの方は羊の草刈りにクレームが出た。
羊の糞が多すぎるというクレームだ。
おかげで庭が臭いと言うのだ。
これは日本でも問題になっていた話だ。
それをイエスが胸を張ってチベットの遊牧民がやっていたように、糞を乾燥させて燃料にとか言ったもんでさらに揉めていた。
おかげで、今まで受注した草刈りのキャンセルが増えて儲からなくなってしまった。
「チベットの遊牧民とかは乾燥させて燃料にしてエコな生活をしているというのに……」
イエスの愚痴が止まらない。
「お互い真面目にやってるのに、それがうまくいかないのは本当に腹が立つよな」
俺がそれを見て苦笑した。
「ウンコだって田舎の方では紙がもったいないって言ってクソベラを未だに使ってるくせに、羊の糞が汚いってどういうことだよ」
羊使いのイエスにとって羊を臭いと馬鹿にされたのが耐えられないようだ。
「世界共通だよな。昔の日本も使ってて、上流の方では使ったクソベラを川に流してたが、下流に用があって行ってみたら、流したクソベラを箸として使ってたって笑い話があったらしいが」
「つまんない事は良く知ってるな」
イエスがそう突っ込んだ。
「つまんない事って失礼な奴だな」
「いやいや、これを何とかしないと俺達の副収入はどうするんだ? 」
「いや、それはそうだが」
俺とイエスが言い合った。
「まあまあ、落ち着いてください」
そう言ってハリーがお茶を盆にのせてもって来た。
「おお、ありがとう」
「世の中世知辛いよな」
ハリーのお茶をひとすすりして、俺とイエスが落ち着いて話し出す。
「まだ、こんなとこにいるの? 」
いきなり背後からセシリアちゃんに言われて二人して驚いた。
おかしい、索敵は味方に対してもしてたのに……。
相変わらずセシリアちゃんはそこが知れない。
「こんなとこにって何かあったっけ? 」
イエスがそう聞いた。
「いやいや、<チームチェイン>が戻って来たから、皆にお礼の飲み会を開くって言ってたでしょ」
セシリアちゃんが呆れたように話した。
「いやいや、お金もったいないし」
俺が愚痴った。
「いや、おごりでしようが」
「おごってもらったら、結局、おごり返す羽目になるじゃない」
セシリアちゃんの言葉に俺が返す。
『なんか知らんが、この街はお礼のはずの飲み会には返礼の飲み会がセットされている。全然、お礼じゃないじゃん』
「ほー、それは知らなかった。変わってんな」
俺が喋っていたのか、イエスが呆れた顔をした。
「いやいや、そういうのがコミニュケーションでしょうが」
「「お金無いんだよ」」
俺とイエスが悲しそうに呟いたら、引きずって連れていかれた。
あーあーあー。




