第八部 第二章 依頼
「でだ。かなり我がハートネット公爵領にグルナディエ帝国にいる神聖帝国の一派の密偵が入っているらしい。それをお前達に捕まえてほしいんだが」
そうエイドリアン様が俺のベッドの横の椅子に座りながら話す。
「え? 俺は怪我してますよ」
「俺もです」
「いや、俺だって怪我してるだろう? 」
俺とイエスが反論したら、エイドリアン様がそう話す。
「えええええええええええ? 」
参った。
お仕事ですか。
俺とイエスが顔を見合わせる。
そしたら、ハリーがお茶を盆にのせてエイドリアン様の所と俺達の所に持ってきた。
「ああ、ありがとうって……ええええ? キメラって接客までするの? 」
エイドリアン様が驚いた。
「衣類の繕いとか洗濯とかもやってくれますよ」
俺がそう話す。
「マジか。俺が神聖帝国から得た知識と全然違うんで本当に困惑するよな。セシリアといいなんなんだろう」
エイドリアン様が本当に困惑していなさる。
「まあ、うちはアットホームと言う事で」
俺がそう話す。
俺の前世でうちはアットホームでとか自称で言う会社は大体ブラックだったが。
あれは何でなんだろうな。
「あー、前世あるあるだな」
俺が喋ってたらしくて、イエスがそう話す。
「後、うちにノルマはありませんとか言ってるとこに限ってノルマだらけとか」
「残業はありませんとか書いてあって、サービス残業だけあるとかだな。金の出る残業が無いとかさ」
「労基にチクると、中小だと貴方の会社の事情は分かりますとか言っちゃうアホな奴も労基にいたりしてな。何のための労基か分からん」
「社員の給与は安いのに、社長が経費でとんでもない高い車に乗ってたりな」
「福利厚生も経費にできるのにな」
俺とイエスが前世の愚痴で盛り上がる。
「いやいや、すまんけど、前世の話とかされても俺には良く分からんぞ」
エイドリアン様が苦笑した。
「いやいや、あちらに比べたら、ここは天国ですよ」
俺がそう笑う。
「そうかぁ? 」
「まあ、精神的なストレスはないな」
イエスが頷いた。
「セシリアがいるのにか」
どうもエイドリアン様にはセシリアがストレスになっている様だ。
「まあ、俺には幼馴染ですし」
「うちの亡くなった親父に比べれば面倒くさくないです」
イエスもそう笑った。
いや、お前の親父はどんなんだったんだよっ!
「まあ、とりあえず、明日からで構わないから、密偵探しをしてくれ。明日には大体包帯とかとれるんだろ? 」
エイドリアン様が苦笑しながら頼んできた。
「分かりました」
「とりあえず、捕まえたら渡しますけど、殺しちゃったらどうします? 」
イエスが先回りで俺の懸念を聞いてくれた。
「こちらで処分する。死体があると向こうがそれで難癖をつけてきても困るしな。まあ突っぱねるだけだけど、ここでグルナディエ帝国にいる神聖帝国の派閥と戦争モードに入ると流石にこちらの準備が間に合わない」
エイドリアン様がそう言うと部屋を出て行った。
ちょうど良いお休みだったのだが仕方あるまい。
俺とイエスはため息をついた。




