第七部 第六章 師匠の元へ
俺達が酒場から出て通りを歩いていた。
俺とイエスとセシリアちゃんとウェーズリーも居た。
ハリーもちょこちょこと俺について来た。
「師匠は隠れてるんじゃないのか? 」
「うん」
「じゃあ、大丈夫なのか? 」
俺があたりを見回して聞いた。
後をつけられている可能性もあるからだ。
「一応、ハートネット公爵の精兵に守られてるよ」
「そんなのが意味無いのは一番セシリアちゃんが知ってるだろうに」
俺がそう話す。
俺の死神と呼ばれた師匠が神聖帝国の暗殺者の一人だった。
死神の師匠は本当に異様だった。
グルナディエ帝国の伝説のSS級チームの<チームコンケット>を最初に撃退した時も瀕死の重傷は相手の幸運によるものだった。
当然、いくら戦上手のハートネット公爵家の精兵であろうと、グルナディエ帝国の伝説のSS級チームの<チームコンケット>に比べれば、数段格落ちしてしまう。
それほど、異様に強かった。
フルで戦った当時のセシリアちゃんですら歯が立たなかった。
まあ、セシリアちゃんは、今はレベルを段違いに上げてるけど。
『つまり死神の師匠と同じクラスはまだいると思われる。それほど絶対的に強いものを抱えているのだ』
「分かってる。でも、私の師匠が貴方が福音枢機卿として目覚めたと聞いたら表情が変わったの。教えないと行けない事があるって。非常に特殊な能力があるらしいわ。だから、教えないとまずいって……」
セシリアちゃんが少し心配そうに囁いた。
「えええ? 単にキメラのリセットだけじゃ無いのか? 」
「うん」
俺の驚きに淡々とセシリアちゃんが答えた。
「とりあえず、行くか。勿論、後をつけられないようにしてだけど」
俺がそう索敵しながら話す。
「そうしてくれる? 」
セシリアちゃんも最近覚えた索敵を使っている様だ。
「となると、アルバートとダリアも居ないとまずかったのでは? 」
イエスが至極当たり前の結論を話す。
「あれは、しょうがないよね」
セシリアちゃんがにっこり微笑んだ。
「そうだね」
「仕方ないよね」
俺だけじゃなく、言ったイエスですら深く頷いて答えた。
いや、そういう風に結局言うなら最初から言うなよと。
「とりあえず、ウェーズリーも気を付けて。 何が起こるかわかんないから」
そうセシリアちゃんがウェーズリーに話しかけた。
それを聞いてウェーズリーが盾を強く持って頷いた。
「とりあえず、どこへ行くの? 」
「ハートネット公爵様の別荘があるの。そこにうちの家族とともに師匠も一緒に匿われているわ」
セシリアちゃんがあたりを見回した後に囁くように呟いた。
「そうか……分かった」
俺が頷いた。
『なるほど、あのハートネット公爵の警備が厳重な別荘に隠れていたのか。あそこなら他国の要人もお迎えするようになっているし、隠し部屋もあるし守りやすいしな。一括で皆を守るには最適な場所だし、あそこしか無いだろう』
「そうね。私もそう思うわ」
俺がいつものごとく喋って居たのかセシリアちゃんが囁いて微笑んだ。
俺がいつもの必殺の毒針の幕をセシリアちゃんに投げた。
やれやれ、そんな、バレバレな事をエイドリアン様がやる訳ないだろうに。




