第七部 第三章 一陣の風
「私は絶対キメラなんかにならないから」
ダリアがキッパリと言った。
「え? 俺って、そんなにチャラいか? 」
心外そうにアルバートが愚痴った。
『まさか聞いてると思わなかったが、これも命懸けの問題だ。逆に、知って貰ってた方がもしもの時にキメラになった時に後で了承して貰えるだろう』
「「いや、了承はせんぞ!! 」」
アルバートとダリアが声を荒げた。
珍しくウェーズリーが横でその言葉に深く頷いた。
「だが、現実、セシリアちゃんが使えない以上は仕方あるまい」
「自分がキメラになれば良いじゃん! 」
ダリアが叫んだ。
「いや、それは無理なんじゃね? 」
俺がハリーに尋ねる。
「難しいと思います。何よりやった人がいません」
ハリーが即答した。
「じゃあ、イエスがやれば良いじゃん! 」
ダリアがそう断言した。
「いや、俺のイエスの評価は凄く高いのだが、逃げそうだろ」
俺が断定的に話す。
「まあ、逃げるだろうな」
イエスもまたそう深く頷いた。
「全然駄目じゃん」
ダリアが吐き捨てた。
「だから、悩んでいるんじゃ無いか。そもそも、イエスが逃げない訳ないし、ここまで強固な性格してるとハリーもコントロール出来るか分からない。そもそもが無理だろ。能力は羊を操るだけだしな。合体してキメラ化するモンスターを連れて行くのが不可能な以上、ハリーがハリネズミの姿を止めるのは駄目なら、俺達の中からキメラ化する奴を選ぶしかない」
俺がそう話す。
「セシリアで良いじゃ無い」
ダリアが呆れたように話す。
俺とイエスが息を呑んだ。
「索敵は? 」
「反応は無いが、本当に居ないかどうかは分からない」
イエスの質問に俺が即答した。
俺とイエスが無言で部屋の扉とかドアを開けて調べ出す。
「いやいや、あり得ないでしょ。師匠のとこに行くって言ってたし」
「セシリアは俺達と一緒について来て無いからな」
ダリアとアルバートが苦笑した。
「いや、俺はセシリアちゃんをキメラ化する気は無い! 申し訳無いと思ってる! 」
俺が真剣な顔で大声で話す。
俺が真剣な顔をしているのでイエスが何か察したようだ。
「私も同感だ。彼女には悪い事をしたと思っている! 」
イエスも真剣な顔で大声で話す。
「いやいや、だから誰も居ないだろ。セシリアは師匠の所に行くからと言うので連れて来ていないから」
アルバートが呆れたように俺達を見て話した。
「気にしすぎでしょ。全く大の大人がみっともない」
ダリアも呆れ果てたように話した。
「いや、そう言う問題じゃ無いから」
「キメラにしないと決めているのだ」
俺とイエスがそう断言する。
「ったく、セシリアに怯えて馬鹿みたい」
ダリアが嘲笑した。
だが、俺達はダリアの後ろを見て身震いした。
ウェーズリーもダリアの後ろを見てパニックになっている。
「は? 全くわざとらしいんだから」
「やれやれ、困ったもんだ」
ダリアとアルバートがため息をついて背後を振り返った。
そうして、ダリアとアルバートはまた病院に運ばれて言った。
一陣の風が吹いたからだ。
アホが。




