第六部 第十章 ゾンビ化
「主、どうしますか? 」
ハリーがそう言ってきた。
「いやいや、毒針なんかゾンビに効く? 」
俺がそう言った。
「周りについてる細かいのは潰せるかもしれませんよ。見る限り、デカい奴と一部の細かいロックワームが部分的にゾンビみたいです」
「ええ? そんな中途半端なの? 」
「ロックワームと言う性格上、一気にゾンビ化せずに徐々に広がってる感じです」
ハリーがそう冷静に説明した。
「えええ? そうだったのか? 」
ラウルさんが驚いてる。
「お前、自分のキメラの状態も把握して無いのかよっ! 」
エイドリアン様が突っ込んだ。
「やかましいわっ! 」
ラウルさんも言い返す。
『泥沼だなぁ』
その時、ハートネット公爵の兵士の一人が細いロックワームに噛まれた。
噛んだ奴がゾンビロックワームだったらしくて、そいつが噛まれた兵士が血を吐きながら青白くゾンビ化していく。
「ヤバイからごめんね」
ダリアがファイヤーボールでそのゾンビ化した兵士を焼き払った。
その過程を見て、ハートネット公爵側の兵士が息を飲んだ。
まあ、ゾンビ化したらそうするしか無いとは言え焼かれてはたまらないしなぁ。
「ちょっと、加勢するなら早くしてよ! 」
ダリアが俺に対して怒鳴った。
「よし、仕方ない。やってくれ」
もう、逃げれないから俺がハリーにそう話す。
ハリーが背中を押し上げるように背中の針を伸ばして突き出した。
そこから、針が連弩の矢のように、中心の馬鹿でかいゾンビロックワームのまわりにいる細かいロックワームの身体に突き刺さる。
ハリーの身体から分離された途端に針は巨大化して三十センチくらいの矢のような針になって相手に突き刺さった。
なるほど、こうやって面で刺さるとゾンビの部分とそうでない部分が良く分かる。
ゾンビでない部分は即絶命した。
だが、ゾンビである部分は死なない。
何と言う面倒くさい敵なんだ。
「良し。とうとうお前は我々の敵であると言うはっきりした行動をとったな。これで福音枢機卿殿は我らの敵が確定したと言う事だ」
ラウルさんが不敵に笑った。
「ふん、やせ我慢を言いやがって! 」
エイドリアン様が小馬鹿にしたように笑った。
そしたら、あたりが揺れ始めた。
「ふははは、ゾンビロックワームが一体だと誰が言った? 」
ラウルさんが高らかに笑った。
「ええええええ? 」
俺達が絶句している間に、次々と地面を突き破って最初のゾンビロックワームと同じくらいの巨大なサイズの奴が四体も出て来た。
それぞれが同じように細いゾンビロックワームをメドゥーサのようにでかい頭の当たりにわさわさとつけている。
「キモっ! 」
「流石にキモイのである」
ダリアとかエドワードとかがグチグチ言う。
「お前さ。枢機卿で他のキメラも作れるはずなのに、なんで、このゾンビロックワームばかり増やしたんだ? 」
エイドリアン様が呆れたように話す。
「やかましいわっ! さあ、大量の小型ロックワーム達の面として攻撃を受けて見ろっ! 」
エイドリアン様はそう貶したが、小型のロックワームが面として一斉に飛び掛かってくる攻撃はかなり厄介で、次々とハートネット公爵の旗下の兵士が噛まれてゾンビ化するものが増えていく。
仲間の首を斬り落として頭を潰したり、焼き払えればゾンビは死ぬとは言え、仲間に対しての抵抗があるらしくて皆がゾンビ化した仲間に怯んでいる。
「ふはははははははははははははははは! 」
ラウルさんが大喜びしていた。




