第一部 第六章 エピローグ
『かくして俺達のグループは元の鞘に戻った。アルバートとダリアは何があったのか髪の毛が真っ白になっていたが 』
そして、仲間と酒場に行くと、何故か酒場の皆がひそひそアルバートとダリアを見て囁いていた。
『俺は正しい事をしたはずだが、どうも世間と言うのは良くないものだ。人を斜めに見ようとする奴等ばかりなのだ。全く、残念な事だ』
「何だ。元の鞘に戻ったか」
エイドリアン様がそう笑った。
ああ、前世でこんな素敵な上司に会えたら良かったのに。
「お陰様で元に戻りました」
俺がそう微笑んでエイドリアン様にお伝えした。
「あのギルドの方に持ち込まれた、大量にあるでかい銀色のオオカミ達の毛皮はサイレンスマーダーか? 」
エイドリアン様が冷やかに笑ってアルバート達を見た。
アルバートとダリアが一瞬肩を揺らせた。
酒場がざわりと騒ぐ。
「まあ、つまんない事を考えたな。こいつはお前等が思ってるより百倍はやばい奴だ。諦めるんだな」
エイドリアン様がにやっと笑ってアルバート達の肩を叩いた。
アルバートとダリアが心底震えているように見えた。
「後で支払いを用意しとく。お前の事だから全部殺したんだな」
エイドリアン様が再度俺に確認するように聞いて来た。
『流石、エイドリアン様だ。良く分かっていらっしゃる』
酒場がさらに騒然となった。
「じゃあ、そっちの報酬も出しとくよ。おかげであそこも通れるようになっただろう」
エイドリアン様がそう微笑んで去った。
『やはり、持つべきものは素晴らしい上司! そして、仲間だよねっ! やはり、ここは俺の大切なパラダイスなのだぁぁぁ! 絶対に逃すものかよ! しがみついて骨までしゃぶったるわあぁぁぁ! 』
「ねえ、エドウィン。今、それを口に出しちゃうのはちょっと良くないと思うの」
そうセシリアちゃんがじとっとした目で俺に話す。
「どうして? 」
俺が不思議そうにアルバート達を見回して聞いた。
「もう……頼むから勘弁してくれ。もう二度としないから」
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい……」
アルバートとダリアが泣きそうな顔して両手を俺に合わせた。
「また、ストーカーやりやがった」
「流石は <ストーカーのエドウィン>だ」
「やばすぎるよな」
酒場のあちこちでさわさわと声がする。
また、誤解をされてしまったようだ。
世の中と言うのは本当に度し難い。
こうして、俺は大切な自分の居場所に残る事が出来た。
やはり、特殊な技能とヨイショとしがみつき。
この三つは人間が生き残るためには一番大切なのだ。
今回もまたしみじみとそれを心から思った。




