第六部 第五章 検問
すでにハートネット公爵家とアーランデル伯爵家の道の境にはハートネット公爵家の兵士が大量に出て検問をしていた。
『何と言う事だ。バリバリやる気だ。エイドリアン様がガチモードに入っていなさる』
「ど、どうすんだ? 」
検問の馬車の列に並んで、アルバートが動揺していた。
兵士達は完全武装モードで臨戦態勢に入ってたからだ。
「いや、とりあえず検問を通って帰らざるを得ないだろう。これで逃げると双方から敵認識されるし」
「ああ、確かに」
俺の言葉にイエスが頷いた。
「じゃあ、とりあえず。このまま行くぞ」
アルバートが腹を括ったように話す。
安易に型どおりの検問で無くて、並んでる間に完全武装の兵士が先に様子を見に来た。
「おお、<チームジャスティス>のアルバートさんですか? 」
いきなり、その兵士にアルバートが声をかけられた。
「はい」
そう言って、アルバートが再度確認させる意味でバッジを見せた。
「帰って来られたぞ」
「エイドリアン様をお呼びしろっ! 」
兵士達が慌てて騒ぎ出した。
「エイドリアン様がお待ちになってたんですか? 」
アルバートが驚いたように聞いた。
「はい。ちょっとした事件が起こりまして……」
兵士が説明した。
俺が何故かひやりとした。
セシリアちゃんもそう思ったようで俺をじっと見た。
そう、俺の家が爆発したのかもしれない。
「参ったな」
俺がそう呟くと同時に完全武装のエイドリアン様がこちらに向かってきた。
「おおお、やはりまだ帰ってなかったか。無事でよかった」
ギルドマスターとしての鎧では無く、ハートネット公爵家の嫡子としての鎧に完全武装したエイドリアン様がやって来た。
「何があったんです? 」
アルバートが不思議そうに聞いた。
「いや、エドウィンの家が大爆発してな」
エイドリアン様が馬車の幌から覗いた俺の顔を見て笑った。
アルバートやセシリアちゃんだけでなくイエスやエドワードまで冷ややかな目で俺を見た。
いやいや、やっちゃった。
「まあ、エドウィンならそのくらいの事はするだろうと思ってたが、崖に仕掛けてたらしい大量の大木が山から落ちてたり、あたり一面に矢が降り注いでたり、巨大な落とし穴に大量のモンスターが落ちてたり、まるで戦争でもあったような有様だったんでな」
エイドリアン様が苦笑した。
「あ、いや、それ、全部、俺の罠です」
「え? どう見ても一個大隊と戦争したような風景になってたぞ」
俺の遅る遅るの話にエイドリアン様が呆れた顔をした。
「どんだけ罠を仕掛けてんのよっ! 」
「やりすぎだろ! 」
セシリアちゃんとダリアが無茶苦茶きつい突っ込みを入れて来た。
「いや、全部作動してると思わなかった」
「恐ろしい奴だな」
俺の言葉にエイドリアン様が呆れた顔をした。
「いや、誰か死んでませんでした? 」
イエスが真顔で話す。
そう、今はそれが一番大事な話だ。
「いや、若干の血の跡はあったが死体は無かった」
『血の跡があったんだ! 』
俺の顔に脂汗が滴る。
「何かあるのか? 」
エイドリアン様が不審そうに聞いて来た。
「神聖帝国とやり合いました」
セシリアちゃんがズバリと話す。
「ああ、アーランデル伯から聞いてる」
エイドリアン様の態度で、セシリアちゃんの予想が正しいのが分かった。
やはり、俺の事は全部知っていたのだ。




