第六部 第四章 エイドリアン様しだい
「あの、一つ聞いて良いのですか? 」
ハリーが不思議そうにイエスとエドワードに話しかけた。
「なんであるか? 」
「もし、私が美少女に入って戦うキメラになったとして、主の為に戦って血まみれになるのを主は喜ぶのでしょうか? 前の主との記憶しかありませんが、私が戦う生物なら別だと思いますが、そんな美少女だったとして、そんな美少女を敵の矢面に立たせる主と言うのはどうなんでしょうか? 」
ハリーが不思議そうに聞いた。
イエスとエドワードが瞳孔が開ききるくらい驚愕の表情をして固まった。
「むう、確かに、そんな主は嫌だな」
俺も頷いた。
「確かに」
「そう言われれば糞であるな」
イエスとエドワードが震えるように話す。
「いや、あんたは羊を戦わせているじゃん」
「あれは雄だし。強いし」
「羊と美少女とあまり変わらないように見えるけど? 」
セシリアちゃんとダリアが代わる代わる突っ込んだ。
「いや、羊と美少女は違うである」
エドワードが応援のように断言した。
「いやいや、両方か弱いでしょうに」
ダリアが呆れたように吐き捨てた。
「な、何の話をしてんのかな? 」
アルバートが馬車を走らせながら呆れた声で突っ込んできた。
「いや、やはり主と仕えるものは美少女たるべきと言う心構えの話である」
「そうそう、俺ら前世持ちはそういう感覚なんだよ」
「あまり、そう言う方は神聖帝国には居なかったですけどね」
エドワードとイエスの力説する話をハリーがあっさり否定した。
「前世持ちで無いのであるか? 」
「前世持ちでは無いのかもしれんな」
イエスとエドワードが断言した。
「前世持ちというものはそういうものなのでしょうか? 」
同じ前世持ちとして俺を知ってるようなのでハリーが心配そうに見た。
「いや、彼らは特殊だから」
俺がそうハリーに話したらほっとした顔をしてた。
「汚っ! 手のひら返し汚いっ! 」
「いささか、卑怯であるな」
イエスとエドワードが同時に突っ込んできた。
「いやいや、もう少し緊迫感を持とうよ。マジでやばいんだから」
アルバートが困り切った顔で再度俺達に突っ込んできた。
「まあ、いつもの事だけどね。今回は二人増えたけど」
セシリアちゃんが苦笑した。
「と言うか、どの程度の動きになってるかはもう少し行かないと分かんないだろ」
俺がそう話す。
「え? 検問とか出してるって事? 」
セシリアちゃんがそう話すと馬車の中がざわりとした。
「いや、やる気ならエイドリアン様はそうするだろ。あの人の冒険者時代の話を聞くとやると決めたら徹底的にやるみたいだし」
俺がそう話す。
「まあ、そう言う話は俺も聞いたな」
アルバートが珍しく俺の話に乗って来た。
「だから、動きがあるなら動きがあると思う」
俺がそう話す。
「正直、勝てる戦いだと良いけどな」
意味深にイエスが呟いた。
まあ、その辺は同感だ。
『駄目だと思ったら、全部捨ててその場で逃げないと。そう言う戦後の修羅場をくぐった人の忠告で、やばいと思ったら歩きでも良いからドンドンとその場所から安全圏に向かって少しでも離れる事って言ってた。電車でもバスでも飛び乗ってひたすら安全圏へ移動する。これが一番の生きる秘訣なんだそうな』
「おいおいおい」
セシリアちゃんが突っ込んできた。
「逃げるのかよ」
アルバートまで声が引き攣っていた。
むう、本音を喋ってしまったか。




