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第六部 第三章 全力で帰国

 と言う事で朝靄の中で全力で馬車を走らせる。


 今までの呑気な気分は吹っ飛んだ。


 急がなくてはならない。


「やれやれ、とんでもない事になったな」


 羊さん達も必死で走ってついて来ている。


 ちなみに、ハリーは大変な事させちゃ駄目と言うセシリアの意見が通って、馬車の中に居た。


「もし、家が爆発していたらどうするんだ? 」


 イエスが興味深げに聞いて来た。


「エイドリアン様の様子次第では全力で逃げると思う」


 俺が真顔で答えた。


「そうか、なるほどな」


「エイドリアン様の本音も分かるだろうし、神聖帝国(ホーリネスエンパイア)なんて本当にあるなら敵対してるグループもいるかもしれないし、その辺は出たとこ勝負だな。ただ、感覚は大事にしたい。大体、勝ち負けって感覚で分かるだろうよ」


「それも分かるな」


 俺の話にイエスが頷いた。


「ぶっちゃけ、勝てると思ってんの? 」


 ダリアが真顔で聞いて来た。


「条件付けにもよるよな。死神の師匠見てても、別に味方だから助けるって組織には見えなかった。随分とドライだったし」


「秘密主義で行くのは良いけど、逆にそのせいで内部の対立はかなり激化してるって私の師匠は言ってた」


 俺の話にセシリアちゃんが同意した。


「となると、厄介なのと関わっちゃったんだ」


「ぶっちゃけ、倒しちゃったからな。不滅(インモートリティ)を。キメラを潰されるってのは向こうにとっても最大の敵対行為かもしれんし」


「ちょっと、ちょっと、受けなきゃ良かったって事? 今回の依頼を? 」


 ダリアが凄く動揺していた。


 まあ、俺とかと同じで本質的には生活の向上で頑張ってた分、落胆は大きいだろうな。


「とんだ話が出て来たもんだな」


 アルバートがため息をついた。


「つーか、分かっててエイドリアンさんが依頼を出してるような気がするけどね。わざわざ、その後でエドウィンとか来させるんだもの」


 セシリアが冷やかに話す。


「いや、それは私が頼んだのであるから微妙であるが」


 エドワードが済まなさそうに話す。


「アーランデル伯は何て言ってるの? 」


「藪から毒蛇が出て来たと言ってたである」


「じゃあ、知ってるわけだ」


「こうなるとそう言う事になるであるな」


「あーあーあー、明るい話が無いなぁ」


 ダリアがげっそりしたように呟いた。


「何か情報は無いかな? 」


「いえ、私は先代の時の記憶しかありませんから」


 俺がハリーに聞いた。


「先代? 」


「申し訳ありませんが言えません。貴方の紋章の中で眠ってましたんで。それしか言えません」


 ハリーが申し訳なさそうに話す。


「となると、何故女の子に入らなかったのであるか」


「それは非常に大切なポイントだな」


 エドワードとイエスがいきなり真顔で話しに乗って来た。


「いやいや、まだ、言ってんの? 」


 セシリアちゃんがブチ切れた。


 まだ、諦めて無かったんだ。



  

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