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第五部 第五章 疑念

「引いたぞ? 」


 イエスがアルバート達が動揺している横でそう呟いた。


 あの異様な気配のものが居なくなったのだ。


 それは俺も分かっていた。


「何をしに来たんだ? 」


 アルバートが困惑した顔で答えた。


「様子見かしら? 」


 ダリアがそう呟いた。


「いや、声をかけてくる前に気配が幾つか消えたな」


 イエスがそう呟いた。


「そこまで分かるのか? 」


 俺が驚いて聞いた。


「ああ」


『こいつ、想像以上だ。俺しか察知して無いかと思った。凄腕だと思ってはいたが、何なんだ? 』


「そりゃどうも」


 俺が喋って居たらしくてイエスが苦笑している。


「と言う事は最初から別の奴らにつけられてたんだ」


 セシリアちゃんの目が細くなった。


「ああ、そのようだな」


「あんたなら全部把握してたでしょ。何で始末しなかったの? 」


「様子見してた」


「やっぱり安易に考えてる。神聖帝国(ホーリネスエンパイア)は化け物だよ。死神さんも言ってたでしょ。国家間の戦争すら彼らのコントロール下だと。あんたトンデモナイもんに関わっちゃってるんだよ。多分? 」


「は? 戦争すらコントロール? 」


「どう言う事? 」


 アルバートとダリアが驚いた顔をした。


「最初からどちらが勝つかと言う事から、どれだけの損傷を出して、どれだけの経済活動として全体で利益を出すかを全部コントロールしているのよ」


「まあ、前世にもそう言うのあったからな。軍産複合体だっけ? 戦争が景気対策なのは中世ヨーロッパの傭兵戦争とかも同じだしな」


 セシリアちゃんの言葉をイエスが補足した。


『そうなのだ。もし、そう言う組織があれば間違いなくそう言う事はするだろう。戦争は大規模消費社会だ。世界が長期でデフレ化したり、経済が低迷した時には景気対策としては非常に大きい。大量にものを消費するのが戦争だからだ』


 実際に第一次世界大戦も第二次世界大戦もデフレと不況が長引く中起こってインフレに戻した。


「いやいや、そんな話ってあり得るのか? 」


「いくら何でも、それはちょっと……」


 アルバートとダリアは信じ難いってスタンスのままだ。


 ウェーズリーですら目を大きく開いてた。


「同じ前世を持ってる奴なら、こちらの世界で同じ事をって考えるかもな」


 イエスが俺に失笑して話す。


『こいつ……』


「おいおい、睨むなよ。俺はたとえ話をしただけだし」


 イエスがさらに苦笑した。


「ど、どういう事なの? 結局、何が起こってんの? 」


 ダリアが心配そうに聞いた。


「多分、俺達をつけてた奴を俺に声をかけてきた奴が始末したんだと思う。ただ、今は動かない方が良いと思う。あの声をかけて来た奴が味方かどうかもはっきり分かんないし。こちらとしてもこないだの不滅(インモートリティ)みたいな奴だと準備して無いと倒せない」


 俺がそう皆に話した。


「何が一体、起こってるんだ? 」 


 アルバートが真顔で俺にそう聞いて来た。


「いやいや、分かんないよ! ってーか分かるわけ無いじゃん! 」


 俺が真顔で返した。


「明日は急いで朝早くからここを出た方が良いんじゃないの? 」


 ダリアがそう話した。


「そうだな。とりあえず、夜の見張りは一人だけで交代でやってたけど、今夜からは二人ずつでするか」


 アルバートが真剣な顔で聞いた。


「まあ、最初から胡散臭い話だったから、最悪、神聖帝国(ホーリネスエンパイア)の虎の尾を踏んだ可能性があるのは考えた方が良いかもしれない」


 イエスがまた鋭い事を話す。


『どうも、こいつ、マジで只者じゃ無いのか? 』


 急に不安になって来た。



  


 


 


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