第五部 第四章 神聖帝国(ホーリネスエンパイア)
「何者だ? 」
アルバートがその言葉に反応した。
流石、バートランド家の嫡男だっただけはある。
『自意識過剰すぎる。お前に言ってねーよ』
「そもそも、人間じゃねーって言ってんのに……」
「え? 」
アルバートが動揺していた。
「話をちゃんと聞いてくれ」
イエスも突っ込んでる。
『正直、俺もその存在は知らない振りをする気だった。匂い的にやばいような気がするからだ。
知らんふりして知らんふりして相手が去るのを待つつもりだったんだがなぁ』
「えええ? 」
アルバートが困ったように目を泳がす。
『ウェーズリーもまだ半病人だし、いつものフォーメーションで戦えそうに無いのに、まあ現状把握の甘い事』
「ひ、羊達はどうなんだ? 」
アルバートが羊達を見てイエスに聞いた。
「いや、良く分かんないもんに大事な羊はぶつけたくない」
イエスも即座に拒否した。
『俺も同感だ。どうも、厄介な話に俺達は突っ込んでんじゃ無いかと言う気がするこないだの俺の胸の紋章の件もあまり宜しくない話に思えた』
「こないだの紋章を気にしてるなら、あの滅もそうだけど、多分、神聖帝国だと思うよ」
セシリアちゃんが真顔で囁いた。
「は? 」
「え? あれは都市伝説じゃ無いの? 」
俺よりもダリアが驚いた。
魔術をやっているものなら、誰もが噂は聞いた事がある話だ。
全ての世界の支配者にして全ての国の王や貴族を支配し、世界に対して間接支配を行う神聖帝国。
ぶっちゃけ、元の世界のイルミナティみたいなもんだ。
「ううん? 実際にあるよ。エドウィンの師匠の死神さんはそこの専属殺し屋の一人だから」
セシリアちゃんが俺とセシリアちゃんの大事な秘密だった話をあっさり話した。
「えええ? 」
俺が慌ててセシリアちゃんを見たら、意地の悪い笑いを浮かべていた。
『ま、まさか、怪力の話を話した俺に対する報復ですかぁぁぁ? 駄目じゃん、師匠の話をしちゃああ! 』
「当り前じゃない。もう正直に皆に話しなよ」
「いやいや、でも、エイドリアン様にも口止めされてるのにぃぃぃ! 」
「いやいや、そろそろ話した方が良いよ。あんたもどうも関係してる臭いし」
セシリアちゃんの目に意地悪でなく、賢者としての警戒心に満ちたものが浮かび上がった。
「いやいや、しかし、エイドリアン様も言うなと……」
「あの人、何か隠してるよ」
あっさりとセシリアちゃんがそう断言した。
「そ、そんな馬鹿なエイドリアン様に限って……」
俺が必死にエイドリアン様を庇った。
「馬鹿ね。祖国ケルトの王家に深く関係して、祖国ケルトでもっとも深い闇を抱えているって言われてるのがハートネット公爵家だよ? あんた、自分にエイドリアン様は素晴らしいって洗脳をかけるのは良いけど、良く考えないとその辺はやばいよ」
セシリアちゃんがじっと俺を見た。
「おお、そんな洗脳を自分にかけていたのか。確かに、それならゴマすりも自然になるからなぁ」
イエスが感心していた。
「あんたさ、本当に腹を括った方が良いよ。神聖帝国はそんな簡単に関われる世界じゃ無いしね。仲間にも一応話した方が良いと思うから話したけど。安易に思ってると命がけになるよ」
セシリアちゃんがマジだ。
そのせいでアルバートとかダリアちゃんが動揺しまくっていた。




